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『ARTISAN』開発者インタビュー2025、表面貼り替え可能マウスパッドRMシリーズのテスト販売を年内に実施

国産ゲーミングデバイスブランド『ARTISAN』の最新展開に関する座談会の内容をお届けします。

座談会について

座談会は、ARTISANのオフィスにて2025年2月15日(土)に実施しました。記事冒頭の写真は、ARTISANオフィスの前に設置されているマウスパッドをイメージした看板になります。

参加者

  • 小林敏博:ARTISAN代表、製品開発責任者
  • 田原尚展:ARTISANスタッフ、運営業務担当
  • yukishiro:eスポーツキャスター。プロゲーマー時代にARTISANがチームスポンサーを務めていた。その縁もあり、製品を愛用している。
  • Yossy:当サイト運営者

待望のRMシリーズを含む新商品にまつわる話題を含め、かなりのボリュームとなっていますが、以下よりぜひご覧ください。

待望の表面貼り替え可能マウスパッドRMシリーズの開発状況

yukishiro
ずっと待ちわびているRMシリーズについて改めてお伺いしたいですよね。現状はどんな感じですか?

田原
ARTISANやRMシリーズのことを知らない、最近知ったという方もいると思うので、RMシリーズのこれまでの流れとか文脈をおさらいしておくといいかなと。

まず、マウスパッドの構造って簡単です。ベースになる発泡体と、マウスを動かす滑走面の2つを組み合わせたものです。摩耗していくのが、表面の滑走面なわけです。発泡体の方は、摩耗して性能が下がっていったりすることは基本的にありません。

だったら、表面だけ新しくできたら良いのではないかというアイデアが社長から出てきました。ARTISANが誕生して2年目ぐらいからこの構想があって、実現に向けて開発を進めているのがRMシリーズということになります。

小林社長
うちの場合は、下の発泡体が高いんですよ。高い上に、耐久性がまだまだあるのに表面がダメになったらマウスパッドをまるごと捨てちゃうわけです。あまりにも、もったいない。

だったら、発泡体は残して表面だけ新しく買えるようにしてあげれば良いという発想です。これができたら、マウスパッドの表面を1週間に1回替えるようなこともできるし。

田原
プロなんかだと、そうできたらうれしいはずです。本当にこだわる人だったら、それこそ3日に1回替えるようなこともできるわけです。

小林社長
発想はすごく簡単なこと。そうなんだけど、実際に作るとなると結構難しくて。相反する条件をクリアしていかなきゃいけないとか、別の問題が出てきたりとか。

10年近く開発しているけど、今でも100%解決できていないんですよ。だけど、なんとか実用できるレベルまで来ることができました。

Yossy
難しいのはどんな点なんでしょうか?

田原
しっかりと接着するけど、貼り直すことができるという粘着部分です。くっつけるだけなら簡単なんですが、貼り替え可能にするには剥がさないといけないわけです。

その時に、粘着が強すぎて発泡体が剥がれてボロボロになるようなことがあってはいけません。さらに、お客さんが貼り替える時に表面同士をくっつけてしまったり、ズレてしまったりということが起きる可能性があります。こうなった時にリカバリーできるようにしたい。

ゲーマーの皆さんが簡単に貼り替え作業ができる形に持っていくっていうのが、難しいということですね。


条件ごとに剥がしやすさが検証されている

Yossy
なるほど。自分で貼るとなると、絶対に失敗はありそう。スマートフォンの保護フィルムを自分で貼って失敗して、何枚も捨てるはめになっています(笑) 最近のは、貼りやすくなっていますけど。

田原
もう一個、硬さの部分にも課題があります。ARTISANにはXSOFT、SOFT、MIDという3種類のベースとなる発泡体があります。発泡体の沈み込みのメカニズムが、快適な操作を実現するにあたって非常に肝になっています。

貼り替え式にする場合、発泡体と表面素材の間に粘着テープが挟まることになるわけです。この粘着テープが硬かったりすると、使い勝手が全然別物になってしまいます。

理想的には、粘着テープが間に入っても全く硬くなく、何も無いと感じる状態が良い。絶妙な粘着の強さと柔らかさ、再剥離を両立したい。社長がこの点についてずっとこだわりを持って、色々なメーカーさんと試行錯誤を10年近く続けているというわけです。


試作品で違いをチェックしている様子

小林社長
ユーザビリティを無視したら、もう何年も前にRMシリーズを出せているんですよ。でも、この課題をクリアしないと絶対にクレームがくるんですよ。器用な人ばっかりじゃないし、誰でも失敗する可能性はあるから、簡単に張り替え作業ができるようにしないと商品として出すのはちょっと難しいなと。

いまは、なんとかそこをクリアできる状態になりました。これだけで本当に何年もかかっています。100点で解決できたわけではないですけど、いったんこの段階で使ってもらって、そこからさらに改善していくような形にしようと思っています。

RMシリーズ ベータ版のテスト販売を2025年内に開始予定

yukishiro
おお~。では、RMシリーズはいつ頃から触ることができるようになりますか?

田原
とりあえず年内ぐらいで構えておいてもらったら良いのかなと思います。

小林社長
もう少し早く触ってもらえると思うよ。テスト販売する形を考えています。ベータ版をどの滑走面でやるかっていうのは、課題かな。「ヒエン」は、RMシリーズでやるのが難しいんですよ。だから「ヒエン」以外になるかな。「ヒエン」以外だったら何でやっても大丈夫な状況です。開発は、一番難しい「ヒエン」をベースにやっているんですけど。

田原
RMシリーズが実現すると、製造管理が楽になるんですよ。今だと表面が複数種類あって、発泡体はXSOFT、SOFT、MIDとあって、これを全パターン組み合わせて作らないといけない。新製品が出たり、発泡体の硬さにHARDとXHARDを加えましょうなんてことになったら、さらに製造する数がものすごいことになるわけです。RMシリーズなら、お客さんに貼ってもらうから膨大な製造や発送が必要なくなります。これは、メーカー側としては大きなメリットになります。

小林社長
これは言ってもいいと思うんだけども、究極的にはマウスパッドは自分で作ってくださいと。 材料はうちが提供するから、好きなもの選んで組み合わせて下さいと。 卓球のラケットとかああいう世界ですね。そうなるのが理想かな。そこまで実現できるかはわからないけど、そうできたら良いと思っているんだけどね。

表面やテープは、自分が好きな物を探して使ってもらうようになったら面白いと思う。テープは本当に難しいから、我々が提供させていただきますけど。そうやって自分で組み合わせていくと、ARTISANがしてきた仕事の価値というものをわかってもらえると思う。自分でやってみると、大変さがわかりますから。ARTISANにできあがった形で提供してもらっていたのはありがたかったなと思ってもらえるようになったら、うれしいですよ。

改良に終わりはないのがARTISAN製品

田原
RMシリーズのベータテストで出す製品は、それがイコール完璧な最終プロダクトだとは思っていません。この考え方は、RMシリーズに限らず全製品に対しても、弊社はそういう考え方ですけれども。

今回、みなさんにRMシリーズを手に取ってもらって、評価してもらえるところまでは来たと思っています。ユーザーさんの声をいろいろ聞いてブラッシュアップしていけば、次世代のマウスパッドのベーシックな形というか、そこまで数年でいけるんじゃないかなという気がします。

小林社長
既存製品の改善もずっと行なっているんですよ。例えば、静電気防止のために導電糸を組み込んだり、湿度に対して強くするために吸水速乾の機能を持たせたり。実は色々と変えているんですよ。ただ、そういうことをやると、今度は別の問題が出てくるんだけどね。色を入れたい時にそれが邪魔になって、そこだけ色が乗らないとか。

田原
何かいじると、そういう別の課題が出てくるんですよ。本当に布はアナログなんで、別に大丈夫だろうと思ってやると、予想外のところに影響が出てしまってそれを次は改善して、という繰り返しになっていきます。

小林社長
これが去年出した新製品ですね。「キ83」と「99式」。

田原
「99式」の抹茶色は社長が「良いの思いついたって!」と言って。出したら想像以上の反響でびっくりしましたけども、かなりご好評いただいています。この「99式」に吸水速乾繊維というのを使っていて、水を早く吸う。それが拡散することによって早く蒸発するので乾くのも早いという特徴があります。従来のものと比べると、手汗などの影響を小さくできるようになっています。

Yossy
東南アジアなどは、湿気でマウスパッドが滑らなくなるなんていう話もありますから、これはうれしい仕様になっていそうですよね。

田原
そして、この「キ83」の方には「導電糸」というものを採用しています。この中に導電糸が一定のピッチで走っていて、よく目をこらすと見えるんですよ、実は。

小林社長
言われないとわからないレベル。

田原
もうほぼ見えないところまで来ました。これ実は、最初のプロトタイプは結構見えたんですよ。

yukishiro
確かに、ここに線があるように見えますけど、これなのかどうかわからないな。

田原
多分そうだね。なんで静電気を押さえようとしたんだという説明が抜けてしまっているんですけど、いくつかの課題を解決するためです。

1つはマウスを動かしている時に、マウスとマウスパッドが静電気で張り付く場合があるんですよ。本人が自覚していなくても、起きている場合がある。これによって操作に結構いろいろ影響が出ている。特に加湿器とか使わないゲーマーは、日本でも静電気の影響を受けてる人が多いと思います。

Yossy
そうなんだ。自分はそう感じたことは全くないレベルだけど、静電気に影響を受けている場合があるというのは、新しい気づきですね。

田原
もう1個は、すごい話です。海外だと、マウスパッドの静電気でモニターの画面が消えてしまう場合がある。

yukishiro
画面が消える???

田原
海外のすごく乾燥してるところで起きるのですけど、そういうところで使われているのはナイロン製のマウスパッドであることが多いんですよ。ナイロンは静電気が発生しやすいんで、マウスを速く振ったりした時に静電気が大量発生して、その影響で画面が消えるらしい。

Yossy
ええ~!?

田原
理由がわからなくて、「グラボが壊れたかも…!」と青くなるとか。それで色々試した結果、マウスパッドを変えたら発生しなくなることがわかってきて、ナイロン製マウスパッドをやめたらそういうことが起きなくなったと。実は、マウスパッドからそんな影響が出たりすることもあるんですよ。

Yossy
自分だったら絶対に原因がわからなそう(笑)

田原
いまの画面が消えるという2つ目は極端な例ですけど、一番の課題は静電気が操作を妨げる可能性があるということですね。それを低減するために、導電糸を組み込もうという発想が出てきました。現状、導電糸が入っているのは「キ83」ですね。今後新しく出てくる「ハヤテ乙 V2」も導電糸を入れた製品になります。

小林社長
「99式」に入れてもいいんだけど、そうするとこの抹茶色がきれいに出ないんですよね。

田原
ブラックはできますね。ただ抹茶はできないから。色の都合なんですね、そこは。実は初期のテストでも入れていて、「99式」も導電糸を入れようっていうのが、元々のプランではあったんですよね。

小林社長
導電糸を入れると思ったとおりに色が染まらないんですよ。糸の材質が違うから。

新型マウスソール「水蜘蛛フタエP8」

田原
RMシリーズのベータが始められそうですよっていう話が一番目玉かと思うんですけど、2025年は他にも新製品を発売予定です。水蜘蛛フタエというマウスソールですね。フタエは、忍者の「二重息吹(ふたえのいぶき)」から来ています。

水蜘蛛シリーズは過去にも出していて、これが社内で見つけた貴重な最後の1つです。ちゃんと保存しておかないといけないやつです(笑)

マウスソールは、まだ議論が全然されてなくて、もったいない世界だと思います。マウスパッドと同じくらい可能性がある領域です。

前に作っていたの水蜘蛛は丸形のものですね。縦横どちらに動かしても摩擦が少ないのが特徴です。今回新しく作った水蜘蛛フタエは、過去のリブートバージョンで、水蜘蛛という名前をベースに色々なバリエーションを出せればなと思ってるんですけど。

yukishiro
前の製品と、今回の新製品では変化があるんですか?

田原
あります。もともと売っていたのが高分子ポリエチレンって言われる素材を採用したものでした。ARTISANが世界で初めてマウスソールに使った、かもれしない…という言われがあります。自分も意識していなかったですけど、言われてみればそうかもしれないというもの。

新製品の水蜘蛛フタエは、ジュラコンのPOMという樹脂を採用しています。ナイロン66だとか色々な素材も試したんですけど、今の製造方式に対して滑りや持ちが良かったので、POMを採用しました。

yukishiro
形にも違いがあるように見えるね。

田原
厚みがちょっと大きくなっているのと、「マルチカーブ形状」というのをうたわせてもらっています。平面形状がガッツリ出ていて、エッジが丸まっているというのはいっぱいあったと思うんですけど。

この製品はラウンドエッジっていう、角を丸めて引っ掛かりを少なくしつつ、本当に微妙なんですけど、ちょっと山のある平面になってます。本当にギリギリ目でわかるかわからないかぐらいのカーブが実はかかっています。2段のカーブ形状になっているので、「マルチカーブ形状」と呼んでいます。これが、フタエ命名の由来です。

マウスって、みんな無意識に平面に対して設置しているから、均等になっていると思うんですけど、実はそんなことはありません。一般的なグリップの場合、指が2本乗るマウス右上に大きな荷重がかかり、それに対して左下は極めて軽い荷重が行われる傾向にあります。クリック時には押下ボタン側に強い荷重が行われるので、更に荷重バランスが変化します。


マウスを操作している時の荷重を可視化したもの。2つの赤い点はクリックによってボタン直下のソールに大きな荷重が発生している部分。

つまり、マウスというのは、均等なバランスと思いきや、ずっと傾いた形で埋まっている状態になっています。布製のマウスパッドを使っていると、特に沈み込みが発生するわけなんです。この状態に対して、絶妙に滑りやすく操作しやすい、引っ掛かりが少ないものを作るとしたらどうかと、色々な形状を試しました。その中で、一番面白かったのが、実はお椀型のものでした。

この形で何が起きたかっていうと、お椀型は恐ろしく滑るのが速くなるんですね。その結果、マウスを沈み込ませても、沈み込みで発生する横方向の摩擦抵抗をいなしてしまい、止まらないっていう事態が起きてめちゃくちゃ感動したんですけど。これ、自分は使えないけど、これ好きな人はいるだろうなっていう。エイムトレイナーの特定のシナリオで活躍しそうなものでした。

このままだと行き過ぎなのと、摩耗していくからあまりお椀型を強くすると安定しなくなっててしまう。その良い落とし所としてギリギリのカーブをつけるっていうのを今回やってみました。それが、この水蜘蛛フタエP8という商品になります。

Yossy
これは、布マウスパッドに最適化しているソール?

田原
布用のものとしておすすめです。ARTISANのMIDタイプを使ってる方は特に。一応ガラスパッドとか、固めのものでも使えるという報告は来ています。ただし、XSOFTやSOFTだと、点型のソールでは沈み込みが深く、マウス本体の底面が当たるっていう問題があります。これに対するカウンターの商品も企画しています。それも出てきたら、自信を持って全ベースタイプ向けとして売れるかなと。

このソールは、だいぶ前にソーシャルメディアで出しちゃってるんで、「早く売れ」とすごい怒られているんです(笑) もうちょっとで出すので、待ってください。

yukishiro
じゃあ今年中には出る?

田原
今年中っていうか、すぐ出る。すぐ出なかったらまた怒ってください(笑) 先行提供している方やソールマニアみたいな方たちには好評です。気に入ってずっと使ってますって言ってくれてる方も多いので、ぜひ期待してください。

新製品マウスパッドスウィーパー(ブラシ)

田原
もう1つの新製品はこれですね。マウスパッド用のブラシ。これも作ってから1年ぐらい経つんですよ。これは特殊なことをやっているというよりは、国産で作った天然のウマ毛ブラシで、それをうちのマウスパッドを痛めないくらいの重さとかに調整しつつ、机の上に転がしておいても邪魔じゃないサイズにしたものです。

欲しいと言ってくれている海外ゲーマーがすごく多いんですけど、わざわざ高い送料をかけてこれを買う必要はないから、服用ブラシとかで大丈夫ですよ、という話を正直にしています。でも、「オレはARTISANのロゴが入っているやつが欲しいんだ!」と言われて(笑) ありがたいなと思っています。

yukishiro
マウスパッドのメンテナンス方法として気になっているんだけど、車のシートとかをさ、スチームで掃除するやつあるじゃないですか。あれでマウスパッドをきれいにするのは、どうなんだろう?

小林社長
大丈夫ですよ。痛まない。あれ100度くらいですよね。全然問題ない。マウスパッドは基本的に皮脂汚れだから、何でやっても大丈夫ですよ。単に布なんだから。

田原
このベースの方が熱に弱いんで、あまり高い温度だと変形してしまうかもしれない。

小林社長
100度でも、布側をさっと清掃する分には問題ないですよ。

田原
マウスパッドを快適に使おうと思ったら、汚さない、新しいものに変えるというのが基本になると思います。洗い方を聞かれることもあるので、その際には消極的に、ぬるま湯と中性洗剤を使って洗う方法をご案内します。ただし、まず汚さないようにする、というのをやってもらうだけで、マウスパッドの寿命は何ヶ月も延びるんで。

マウスパッド滑り防止シート「アカギ」

田原
あと、「アカギ」というプロジェクトも動いています。今回、実物は残念ながら無いのですが。以前売っていた「鉄壁」というマウスの滑り止めシートがあって、これを元にしたマウスパッドの滑り止め防止シートになります。

MIDモデルのマウスパッドがちょっと滑りやすいというフィードバックがあったり、他社のマウスパッドでも滑ることについては問題を抱えています。そこで、「この上に置いておけばマウスパッドは滑りませんよ」というものがあれば良いんじゃないかと。

RMシリーズを展開するにあたっても、この「アカギ」があれば防滑素材のことを考えなくてよくなるので、みんながWin-Winになることができる製品だと思っています。

小林社長
「アカギ」と「アカギ・改」という製品が出てくる予定です。

田原
ネーミングとしては、マウスパッドが全部日本の戦闘機を由来にしているんですけど、「アカギ」は空母の船「赤城」に由来しています。戦闘機(マウスパッド)が「赤城」に乗っていることをイメージしたネーミングというわけです。

Yossy
なるほど!それは意味があって面白い。

マウスパッドに対する反応・評価の変化

Yossy
新製品についてお聞きしたところで、ARTISANとして、ゲーマーからの反応や評価の変化をどのように感じているか聞いてみたいと思っています。ARTISANの製品が誕生したのが2008年頃で、15年以上が経ちました。いまでは、トッププロが公式世界大会で使用しているのもよく目にするようになりました。

yukishiro
2008年というと、僕がちょうど『クロスファイア』を始めた頃で、その頃に最初のマウスパッドが出始めた記憶がありますね。

小林社長
ここまで来るのにあっという間だったなというのもあるし、長かったなとも思いますね。
我々としてずっと変わらないのは、「日々より良いものを」で取り組みをしているということですね。まだ商品にはしてないけども、新しい製品の開発もやっています。それはずっと続いてるんだけども。こういうのもやってみようか、と言いながらどんどんチャレンジして、良いものができればいいねと。それで「99式」や「キ83」も出てきました。

Yossy
新製品の開発は積極的にやっていきたい感じですか?

小林社長
うん。違うテイストのマウスパッドを作るというのは、やってみないとわからないところがあるんですよね。作って実際に使ってみないと、わからない。本当にアナログなんで。シミュレーションどおりにこうなったということがありません。だからやってみるしかないのが基本なんです。

Yossy
初期のARTISAN製品は、文句を言っている人が沢山いたと思います。今は理解のあるゲーマーも増えましたし、プロも大会で使っている人が多くいますし、新製品が即完売になることもあり、かなり信頼ある製品になったと思います。小林社長から見て、この変化はどう感じますか?

小林社長
ようやく理解してもらえた、という気持ちはありますね。私が言っていることは、昔も今も全く変わっていないんですよ。ARTISANに追従したりコピーしている製品も出てきて、だから言ったじゃないか、という感じ。最初から言っていたでしょう、私が言った通りじゃないか、という風に今なってきているので。個人的には、あと10年早くブレイクしてくれていればなぁ~、という思いはあるよね。

Yossy
15年以上かかって、ようやく製品を通じて伝えたかったことを理解してもらえた。

小林社長
ようやく通じた。 私は今年75歳だからね。なかなか道のりは遠かったなぁという感じですよ。

yukishiro
ここ数年、他社さんからもさまざまな競技マウスパッドを出すようになったという印象がありますね。それはARTISANの影響が大きいかもしれない。他社からマウスとかキーボードはたくさん出るけど、マウスパッドに力を入れている感じはありませんでした。

小林社長
使ってる人が一番変化を感じることができるのはマウスパッドなんですよ。 操作感が一目瞭然に変わるわけです。

yukishiro
マウスパッドが評価されるようになった背景には、マウスが昔と今で大きく進化したことがあると思っています。僕の世代だとマウスはみんなIntelliMouse Explorer 3.0、というほど選択肢がなかった。そこから製品がどんどん増えて、ソールの形状も変わるし、ワイヤレスになり、重さも100グラムを超えていたものがいまはその半分の50グラム前後が標準になっている。

このようにマウスが変化していくことで、マウスパッドと組み合わせた際の操作感が変わるんですよね。そこでARTISANの高い品質や選択肢のある製品展開が再評価されたのではないかと、個人には思います。

小林社長
あと、マウスのトラッキング性能が上がったことが大きいですね。

yukishiro
センサーは変わりましたね。光学式センサーの次に新しいのが出て。あれ、なんて言うんでしたっけ。

田原
レーザーセンサーだね。光学式よりもカタログスペック的には優れているので切り替わっていったのだけど、eスポーツにおいては安定性がなくて全くダメで。結局光学式センサーに戻っていまもそうなっている。

yukishiro
レーザーセンサーだと速く振るとカーソルが飛んでいってしまって、どうしようもないと言われましたね。

小林社長
その頃、私はマウスパッドを作っていて、色々なマウスで何度も検証しているからレーザーセンサーはeスポーツに合わないとわかっていました。マウス側がオーバーフローしちゃって処理しきれない。

でも、当時は最新センサーなのだからマウスは問題無い、受け止めきれていないマウスパッドが悪いという評価になっていた。実際はそうでなく、レーザーセンサーはどんなマウスパッドでも対応しています、とうたっていたけど、トラッキングできていなかったんです。

Yossy
いまは基本的に、どんなマウスとマウスパッドでも安定してプレーできますから、昔みたいにポインタが飛ぶなんていうことは話題にもならなくなりましたね。

QcKキラーとして出した「ゼロ」、Counter-Strike向けに作った「99式」

Yossy
昔はARTISAN製品の良さがあまり伝わっていなかったという時代もあって、そのあたりのことをお聞きしてみたいです。

小林社長
今は「ゼロ」なんかがすごく売れてますけども、あれはSteelSeries QcKキラーと言って出したんですよ。いま「ゼロ」は本当にたくさん買っていただいているんですけど、当初は全然QcKキラーにならなかったの(笑)

SteelSeries QcKのブランドや信頼が出来上がっていて、なかなか牙城を崩せなかったですね。時間がかかって、ようやく「ゼロ」の良さを理解してもらえるようになった。

Yossy
「ゼロ」はQcKをかなり研究して作ったんですか?

小林社長
いや、うちの商品の製品の中で、最も簡単に作ったのが「ゼロ」です。頭を何にも悩ませていないくらいです。

Yossy
ええ~!?

小林社長
これはもう少しこうしなきゃダメだなってのがあったけど、本当に簡単にできた製品でした。シンプルな設計ですし。QcKと全く同じじゃないけど、少し寄せてあげようかなということはしました。

Yossy
QcKユーザーがあまり違和感なく乗り換えられるように。

小林社長
そうそう。QcKから簡単に乗り換えられる、別の選択肢のマウスパッドとして考えた製品でした。「99式」もすごく簡単に作ったんです。あれはCounter-Strike系のプレイヤーに向けたマーケットに切り込もうということで作ったものです。ちょっと考えて、試作を2回か3回して完成させました。

田原
「99式」を企画した流れとしては、自分がARTISANに入社する前からゼロよりもスピードの遅い領域がうちのラインナップにはないっていうのがはっきりわかっていたので、そこに当てにいくものが欲しいなっていうのがありました。

この製品を実現するために、社長を納得させるのに一番早い方法を考えて、これがCounter-Strike系で一番売れている他社さんのマウスパッドなので触ってみてくださいと持っていって。

「こんなもん、十何年前から変わってねえじゃねえか!うち流のやつを作ろうじゃないの」となって(笑) その後、完成までめちゃめちゃ早かった。

小林社長
だから、ARTISANとしては「ゼロ」と「99式」は全然自慢のマウスパッドじゃないんですよ。たくさん使っていただいているのはすごく嬉しいし、ありがたいのですけど。

小林社長が本当に使ってみて欲しいと思うマウスパッド

Yossy
社長が本当はこれを使ってほしいと思っている製品をぜひお聞きしたいです。

小林社長
ハヤテ乙」だとか、ジャガード系素材のマウスパッドですね。あとようやく売れてきたけど「ライデン」もね。みんながこのあたりを使ってくれるようになったら、同じ方向にやってきてくれたなと感じるようになるのかな、というふうなことを思ったりするわけです。

私は、ゲームをやらないじゃないですか。だからゲームでどうこうということではなく、基本的に物理法則に基づいて考えるわけです。マウスをローセンシで長い距離動かしていたら時間がかかるし、負担も大きくて大変に決まっているんですよ。

ですから、ハイセンシにしてマウスの移動距離を短くする方が良い。そして日本人は俊敏性があるから、ハイセンシのスタイルは日本人には向いてると、私は今でも信じている。

Yossy
タクティカルFPS系の競技だと、Best of 3形式といった複数試合する流れが主流なので、マウスの操作量が多いのは身体的な負担の積み重ねにもなりますね。

小林社長
プレイスタイルを道具に合わせて変えていこうというのも私の持論の1つです。物理法則に基づいたら、ハイセンシの方が明らかに負担が少ない。

速いマウスパッドは使いにくいと選択肢から外してしまうのではなく、これを使って勝てるようにプレイスタイルや操作方法を変える方が理にかなっていると思うわけです。これも、理解してもらえるまではあと10年かかるかもしれないですけども(笑)

田原
プレイフォームやエイムテクニックに関心を寄せるプレイヤーが増えたというのは、感じていますね。多くのプレイヤーは、本人がそれまで使ってきた設定やデバイスを固定した状態で、マウスパッドを変え、即座にそれまでより良い結果が出たかどうかに重点を置いて評価を行いがちだと思います。マウスパッドやデバイスが「自分に合っているか」を検証する視点ですね。

そうした評価方法を否定するわけではありませんが、そのマウスパッドの特性を基に、自身のプレイフォームや感度設定を変えて「合わせに行く」という試行錯誤を行うことを強くお勧めしたいです。

一時的にパフォーマンスが低下するリスクや、新たなスタイルが定着するまでに時間を要するといったデメリットはありますが、様々な気づきに出会えたり、プレイングだけでは打ち破れなかった、それまでの自身の限界を突破できる可能性があります。

小林社長
野球のメジャーリーグだってさ、昔はダウンスイングが主流で、それからやはりレベルスイングだと言われるようになって、今ではアッパースイングが良いと常識が変化しています。道具、データ、環境など様々な要因でプレーや考え方がどんどん変わっている。

プレイヤーは、より良いパフォーマンスを出すためにどうしたらいいかを考えて対応していかなければならない。eスポーツではいつまでも同じ製品や操作スタイルのままで、それが良いと信じ込んでいる。本当にこれで良いのか、勝つためにもっと良い方法はないのかと模索してほしいですね。

yukishiro
ここ数年は、デバイスやマウス操作を改善していくことについて注目され始めてるかなと感じています。上手いプロが使ってるからとりあえず使ってみるということで興味を持つ人は増えてきているなと。操作技術やデバイスに関する理論・知識・ノウハウが広まりきっていない印象ですね。

競技エイムのシーンも追いかけているのですが、こちらはスコアを出すために動作や操作の仕方を試行錯誤が行なわれていて興味深いです。

田原
社長の言っている事を一言でまとめると、「試行錯誤をしましょう」ということだと思うんですよね。自分に合った方法を見つけよう、という。やはりホビーとしてプレイしているのが楽しいから、ずっと遊ぶというのに終始してしまう人が多い。

それは1つの方向性でありつつ、勝ちたい、技術を向上させたいということをゴールにするのであれば、やっぱり、試行錯誤を自分なりにする。調べるとかもそうだし、いろいろ変えてみる。その結果、ダメなんだったら、何がダメだったのか考えて、というのを繰り返していく。

なぜ趣味でも仕事みたいなことをやらなきゃいけないんだと思うかもしれませんが、やってみると、そっちが面白かったりする。なんとなく遊ぶのも当然楽しいですが、あれこれ試行錯誤しながら遊んでみるのもとても楽しいので、ぜひお試しいただきたいですね。

エイムや操作方法に大きな影響を与えるエイムトレーニングツール

田原
あと、最近操作方法・フォーム・デバイスに注目するプレイヤーが増えたことに関するトレンドとして、エイムトレーナーの出現というのが大きいんですよ。エイムトレーナーは、エイムをトレーニングするためのツールで「Aimlabs」や「Kovaak’s Aim Trainer」が有名です。それだけをやるっていう子たちもどんどん出て、スコアアタックを通じてエイム力を競うシーンが出てきた。

yukishiroさんが言っていた、競技エイムの世界がこれですね。日本はFPSの国際的なeスポーツにおいて、安定して上位に入るような成績を出せていない印象があります。団体競技で、かつ対人戦となると超えるべきハードが非常に多く、まだまだ日本は苦戦するだろうなと個人的には考えています。

それに対して個人で、かつ対戦相手の干渉が存在しないエイムトレイナー系の競技に関しては、日本からも世界的なトッププレイヤーを輩出できる可能性がより高いのではと考えています。競技エイム好きのプレイヤーの皆さんは、ぜひ真剣に世界一を狙っていただきたいなと思いますね。

yukishiro
エイムの技術を指導することでお金を稼いでいる人が海外には結構でてきています。日本人でそういうことをされている方はおそらくまだいないと思うのですけど。

Sengoku Gamingのリャングルコーチによるリャングル式とよばれるエイム方法があります。これを習ったプロ選手が成績を出しているということで、日本のVALORANTシーンで結構話題になっています。僕も1回コーチングを受けたんですけど、非常に参考になりましたね。それを今後やる人が日本でも現れてくれたらいいなと思います。

小林社長
野球の大谷選手なんて世界一のプレイヤーと言われるほどの結果をだしていますけど、今シーズンまた色々なことを変えているんですよ。バッティングフォーム、ピッチングフォームどちらも。それに合わせてトレーニングも変える。現状に満足しない。本当にすごいと思います。

田原
野球のメジャーリーグはデータ分析や分業化によるバックアップ体制があって、色々なことが進化しつづけていて面白そうな世界ですね。こうした現状を打破するスタイル変更などはプレイヤーだけでは実現できないですから、eスポーツでもそうしたエイム操作に特化した分析・提案を行うサポートがより普及すると更に進化が進みそうですね。

小林社長
常に動画撮って、動き分析したり、モーションキャプチャーなど色々なものを活用して、すごく綿密にトレーニングしていて、これはすごいなと。

yukishiro
eスポーツも、そこまでやる世界になったら面白くなりそうだなあ。

新型のマウスパッド中間層スポンジを開発中

小林社長
デバイスの使い方や練習方法には、色々なやり方や選択肢があると思うけど、最終的に正解は1つじゃないからね。だからARTISANとしてさまざまな要望に適応できるよう、色々なタイプのマウスパッドを提供しようと思っています。これも最初から言っていることです。

ゲーミングデバイスというのは多種多様で、100人いればその100人専用の仕様があってもいいんですよと。出来る限りそれに近づけたい。実際は無理難題なんだけど、可能な限りそうしようと努力はしている。だからARTISANは商品ラインナップが多い。サイズは少しずつ大きいものも出したい。

あとは、スポンジを改良したり選択肢も増やしたい。まだ商品リリースしてないんですけど、結構いいスポンジを作れていて、いずれ出てくると思います。一言で言えば反発弾性を上げるものです。反発弾性って何?それはどんな良いことあるの?と思うかもしれませんが、リリースされたら使ってみてください。使えばすぐにわかると思います。

田原
昨今のマーケティング的な王道とは真逆の発想ですが、「あらゆるプレイヤーに最適解を」というフレーズをモットーに、より多くの選択肢を提供していきたいですね。

反発弾性が高いことによるメリットの詳しい話は別の機会にお話しできればと思いますが、感度設定がより高い方は特に違いを感じやすいはずです。

反発弾性に限らず、様々なデバイスの特徴は感度を上げれば上げるほどシビアに出やすく、逆に感度を下げれば下げるほど違いを違いを感じにくくなる傾向があります。感度を上げるのは容易ではありませんが、それに堪えうるデバイスをお使いの方はぜひ感度を上げて楽しんでいただきたいです。

小林社長
マウスの感度を上げて、小さく素早い動きで操作しようと。私どもの理論はそれなんですよ。そうすると日本人がもっともっと勝てるチャンスが増えてくる。

俊敏性については日本人が一番ある。日本人は、高い感度を活かすマウス操作ができると信じている。力任せなローセンシ振り回しに負けている場合ではない。

yukishiro
俊敏性か。対抗は中国かなと思いました。中国は卓球のような俊敏性が高いスポーツが強いです。

僕が所属する「ASH WINDER」の代表は中国の方で、東京にeスポーツ施設を持っています。その施設を作っている時にデスクが思ったより小さくて、これだとこんな小さなマウスパッドしかおけないのでは、と言ったのですが、中国人はほとんどがハイセンシなので、これで充分なんだと言われて(笑) 確かに、中国出身のスタッフはみんな小さなマウスパッドを使っています。

小林社長
反発弾性ってハイセンシで動かす時に効いてくるんですよ。eスポーツって、0.0何秒の違いで勝負しているわけでしょ?マウスを動かすというのは、マウスパッドを押すということ。そこで反発弾性が高いとマウスの沈み込みが異なって、動きも変わってくる。そこでアドバンテージが生まれてくるわけです。

15年以上変わらない小林社長の主張

田原
今の話、自分なんかは理解できているんです。でも、プレイヤーの方は聞いただけだと何言ってんだって終わっちゃうかもしれない。

多分、ビジュアルと共に説明したらみんなすぐにわかるんですよ。マウスを動かしたりクリックする時って、こうなるよね、そうすると沈み込むから抵抗が生まれるよね、とか。図解で理解してもらえるようなことも考えていきたいと思っています。

小林社長
この話もしつこいかもしれませんけど、私が言っていることって15年以上前から全く同じなんですよ。なんで同じだと思いますか?

それは、物理の法則って変わらないからです。だから答えは何十年経っても変わるわけがない。物体は軽くて抵抗が低いほど、速く負担なく動かせる。マウスとマウスパッドはこの関係性で動くんです。

田原
社長は昔から「マウスは軽いほど良い」と言っていて、これも近年になってようやくその流れになってきましたね。昔は100グラム以下なんて軽すぎてダメなんていう意見もありましたけど、いまでは50グラム前後が当たり前になっています。

小林社長
そうそう。マウスは軽いほどよいというのは私がずっと言っている持論。ようやく軽くなってきたのは良いけど、軽量化競争によって剛性が全然ない製品も出てきてしまったのはちょっと良くないなと思うけど。剛性は絶対に確保しなくてはならない。

yukishiro
マウスは軽量化が当たり前になって、バランスや安定性の部分が難しいですね。

小林社長
マウスは剛性がないと絶対に悪い影響が出る。マウスは車と同じだから。スポーツカーは軽量化のために剛性を減らしていくと不安定になってコーナーリング性能がめちゃくちゃ悪くなってしまう。

マウスも特に底面の剛性を確保しないと、操作性が悪くなる。物理の法則に基づけば、明白なことです。だから剛性のないマウスを出したり、理論的におかしい製品を出しているメーカーを見ると「大丈夫か?」と思ってしまう。

田原
ARTISANに入社してマウスパッドってこうやって作っているんだとか、様々な理論について、理解できるようになりました。そうすると、他のメーカーさんは、あまりマウスパッドに力を入れていないんだな、ということもより鮮明に見えてくるようになりました。

日本製だろうか中国製だろうが関係ないレベルの、ここは明らかにこうできるよねというところをやっていないメーカーさんも数多くあります。多くのメーカーさんにとっては、マウスやキーボードがメインで、マウスパッドはおまけなんだなと感じてしまいます。

小林社長
他のメーカーさんのマウスパッドで、この部分はすごいな、優れているなと思わされるものってあるんですよ。これうちもやりたいよな、真似したいよなってあるんだけども、総合的な完成度で見ると微妙なものになってしまっているものが多い。なんでこれができるのに、他の部分にも気が回らないのだろう、もったいないなと思っちゃいますね。

マウスパッドの適正な販売価格

Yossy
マウスパッドに限らず、ゲーミングデバイスの値段は昔に比べるとかなり上がりましたね。

小林社長
原材料の値段が上がっているので、販売価格を上げざるを得ない状況が、みなさんあると思います。うちは、売価に対する考え方を変えようと思っているんだけどね。

これまで、売価は原価から考えていたのね。でもそうではなくて、できあがった製品の価値にふさわしい価格で売ればよいのではないかと考えが変わってきた。極端な話、原価が10円だろうと、価値があるなら1万円で売っても良い。

これまで、ゲーマーのみなさんにはなるべく安く商品を手にして欲しいから、売価を原価に近い金額にしていて、ARTISANは儲からない商売を続けてきました。でも田原君が入社してきて、ARTISANマウスパッドの性能なら、価格をもっと強気につけて良いんじゃないかと提案されました。

でも値段を上げると売れなくなるんじゃないかというのも怖くて。そこで100円とか200円とか少しずつ上げてきた。それでも売れているから、価値を理解してもらえているのかなと思えるようになってきた。

そして冷静に考えてみたら、こんなに頑張って、こんなに考えて、良いものを作っている自信があるのに、性能が微妙なマウスパッドの方が高くても売れるのはおかしいだろうということで、だったら原価にかかわらず、性能に見合った価格にして、価値がわかる方に買っていただければ良いんじゃないかと考えるようになってきたわけです。

田原
これは一応補足しておきますと、ARTISANのマウスパッドが人気になってきたから、付け込んで値上げして儲けてやろう、ということではありません。入社してわかったのですが、ARTISANの製品って、いままでの価格設定だと利益率が低すぎるんです。

より多く製品を製造し、より良い流通性を確保するために、もう少しマージンを増加する必要がありました。これが記事になったら、「ARTISANの値段が上がったのはあいつのせいだ!」とか言われてしまうかもしれないけど、そういうことなんです。

一同
(笑)

yukishiro
いまは買い手側の考えが昔とかなり変わったと思っていて、値上げに対して抵抗はそんなにないんじゃないですかね。特にデバイスが好きな人は海外製品とか、高い価格でも取り寄せて買うじゃないですか。それが当たり前になった今、値段に対する抵抗感はもうないんじゃないかなって感じがします。

田原
我々の時代だとマウスパッドで6,000円って言ったら高すぎる感覚で、「お前マウスパッドに6,000円も出すの?マジ?」なんて言われたけど、今は6,000円なんて安いレベルになっていますね。

yukishiro
堂本光一さんの「Tシャツで1万円超え!?布だぜ!?」なんてミームもありますけど、こだわっている人は布だろうがお金をかけますからね。

小林社長
しかも、うちの製品は総合的に性能が良いわけですよ。だから、値段に見合ったものを提供していると、評価してもらいたいなという気持ちもありますけどね。でも、それでも頑張って可能な限り安く提供するようにはしています。今、がんばってもらいたいのは送料ね。

田原
送料が国内外共にすごい勢いで値上がりしているんですよ。うちの場合は佐川さんが頑張ってくれていますけど、国外はえげつない値上げが続いてます。そのうち倍になるんじゃないかという勢いです。

小林社長
だから、海外のゲーマーなんて特にかわいそうでさ。マウスパッドを買っているのか、送料を買っているのかわからないくらいの国もある。

Yossy
送料というのは、お客さんの負担で払っていただくものですよね。

小林社長
そうです。お客さん負担。だから、できるだけ海外の各国にARTISAN製品の取り次ぎベンダーを増やして、買いやすいようにしてあげたいと思って準備しているんです。今年中にできるかどうかわからないけど、ここはがんばりたいです。

実現したい製品入手のしやすさ

田原
ゲーミングデバイスって、入手しやすいかどうかは非常に重要なんですね。

プロゲーマーが使用するデバイスをまとめている『ProSettings』というサイトがあって、2025年1月に出たデータだと、弊社がマウスパッドのカテゴリーで1位のブランドになることができたんですね。

ただ、使っているマウスパッド製品のランキングになるとトップ20にも入っていないという状況だったと思います。一応「ゼロ」がいたかな?ARTISANは製品バリエーションが多く、それぞれの使用数がばらけるという傾向があるからそうなるんですけど。

そこのレビューで、ARTISANは性能は良いが海外だと入手性が低い状況があり、好きだから使いたけど、入手性が悪いから何かがあったときに替えが利かないと。それが怖いので今まで使ってきたマウスパッドを使っているという声が出ていて、メーカー側の我々としては何とか解消したい問題だなと思いますね。使いたいけど、そういう理由で使えないというのは申し訳ないと。

小林社長
私は、プロがそんな理屈をこねているのは鼻で笑っちゃいますよ。本当に必要なデバイスなら、まとめて買っておけば良い。それで終わりだよ。

田原
ちょっと前までうちは、納期がそれこそ6週間待ちとかになってしまっていたので買えないみたいな状況がありましたから耳が痛いですが。いまは改善して、すぐに届けられるようになっています。

yukishiro
最近VALORANTでニュースになってましたけど、Sayaplayer選手が使っているキーボードを壊してしまって、数日後に大会だからどうしても必要だけど、海外の人気製品で何ヶ月も入荷待ちで困っていると。結果として製品を日本で取り扱っている「ふもっふのおみせ」が提供して助かったというエピソードがありましたけど、デバイスが入手しやすいというのは重要だと感じる話でした。

小林社長
確かに簡単に手に入るようにしてあげないとね。

田原
自分はプロ時代に海外を転戦しましたけど、ロストバゲージになってしまって、カバンが戻ってくるのが数日後とかあるんですよね。自分は手持ちカバンの方にもデバイスを分散して入れて、対策していました。

yukishiro
そういうの、ありました。仙台のネットカフェ大会に出た時に、YamatoNのマウスが壊れてしまって。Counter-Strike Onlineの大会だったんですけど、普通にプレーできないYamatoNが味方の犠牲になるプレーに徹して、なんとか勝ったということがありました(笑)

小林社長
予備のデバイスを持つのはプロとしての心構えではないですか?野球やテニスのプロ選手は、バットやラケットの予備を用意している。そういうことの対策として、ARTISANとしては少しでもたくさん買えるようにしたい。しかも安くね。その発想から出てきたのがRMシリーズです。

速いマウスパッド「シデンカイ」シリーズに対する要望

Yossy
マウスパッドに対する要望は、たくさん来ると思いますが印象に残っているものとしてどんなものがありますか?

田原
初代「シデンカイ」ぐらいの尖ったものを出してくれという要望がずっとありますね。あとは、「シデンカイ V2」も廃盤になってしまったのですけど、「シデンカイ V3」はまだかという声もよく届きます。

ハイスピードパッド自体はプレイヤーを選ぶのでニッチと言えますが、ARTISANとしてはそれでもこの領域の選択肢を用意したいと考えています。現行製品のARTISANのハイスピードパッド帯は「ライデン」のみとなっていますが、新たな選択肢のご提案に向け複数のアプローチを行っています。

「ライデン」よりも速い布マウスパッドや、高速なガラスマウスパッドも登場しています。滑りの速さを競うつもりはありませんが、「ソフトタイプのマウスパッドは遅い」というイメージを覆すようなご提案をARTISANもできればと考えています。最終的にリリースに至るのが何点なのか、布なのか、新たな素材なのか、というのは未定ですが、複数案で進めているので少なくとも1つは製品化に至れると思います。

別に速さで競うつもりはないんだけれども、布パッドではこれ以上速くできない、みたいに言われるのもしゃくなので、そんなことはないですよという証明はしてみたいですね。

さらなる次世代製品も開発中

田原
新しい素材といえば、社長直々に布ではない新滑走面・製造方式の開発もスタートします。

小林社長
うん。ちょっと革命的になるんじゃないかと思うんだよ。

田原
実現できたら面白いですね。そのRMシリーズの次のネタというか。RMと組み合わせて初めて製品になるネタがあるんですけど。

小林社長
もうトラッキング問題は絶対に発生しなくなるようなものです。

田原
おそらく、今よりはリスクが下がりますね。マウスが沈み込むことにより、センサーの焦点距離が変わって飛んでしまうものがいっぱいあります。それは我々ではどうしようもないですけど。横軸の動きで言うと、開発中の新しい仕組みを使って飛ばさないようにすることができます。

小林社長
絶対に飛ばせないと思っています。リリース出来るようになったら、ぜひ試してみてください。

田原
トラッキングのしやすさもありますが、この新滑走面素材は布と違い、理論的にはより自由に、オーダーメイドでテクスチャーをデザインすることもできるものです。エリア別にテクスチャーを変えることすら可能です。更に、布と異なり少量の生産にも向いています。

この方式で技術を確立できれば、自分だけのオリジナルテクスチャーをオンデマンドで購入できるようになるかもしれません。RMシリーズでベースタイプを自由に、より多くの選択肢から選択できるようになった上でこの方式が提供できれば、まさに未来のマウスパッドと呼ぶにふさわしい斬新な製品になるはずです。

yukishiro氏、アンバサダー就任

Yossy
ARTISANは、広告を出したりということは全くしていないですよね。大手のゲーミングデバイスブランドは、SNS広告やインフルエンサー活用の販売促進マーケティングに力を入れていますけど、ARTISANのそういうものは目にしたことがありません。

小林社長
ないんじゃないかな。これまでARTISANで広告出稿というものはやった記憶が無い。

田原
ARTISANはファッション性よりも性能を重視しているブランドで、かつコアターゲットとして競技ゲーマーに焦点を当てているため、競技シーンで使用されている、という事実がメッセージとして最も有効だと考えています。

自分が国内外のプロチームや選手とコミュニケーションしていて、製品を提供する、使ってもらう、ということをやっています。その結果として、ARTISANの良さを知ってくれて、大会でも使うような選手が増えてきました。これがマーケティングといえば、そうかもしれないですね。なかなか要望にお応えできませんが、細々と国内外問わず大会への賞品提供なども行っています。

Yossy
ARTISANが特定チームのスポンサーになったりということは、いまだと無いですよね。昔だと、田原君とかproZacさんがARTISANのユニフォームを着て大会に出ていたこともありましたが。

yukishiro
あとはCounter-Strike: SourceのINTEGRALとか。

田原
チームだと、yukishiroさんやYamatoNの「Vault」のもそうですね。

※当時の記事
Counter-Strike:Source チーム『INTEGRAL』が『Alienware』『ARTISAN』『株式会社 ジェイドコーポレーション』とスポンサー契約を締結
https://www.negitaku.org/news/n-14293

『ARTISAN』がオンラインFPS『クロスファイア』の日本トップチーム Vault とスポンサー契約
https://www.negitaku.org/news/n-14332


過去に限定販売されたVaultモデルマウスパッド

小林社長
INTEGRALはスウェーデンの大会に出るというから、支援したんだったと思う。

田原
atom君とか、JUNiORさんがいたチームですね。

小林社長
あとは、大会に製品を提供するってことはあったんだけども、INTEGRALとVault以外、特定のチームをサポートするとか、そういうことは一切やってなかったです。今もやっていないですよ。

Yossy
最近だと、インフルエンサーをブランドアンバサダーにするような展開もありますね。SteelSeriesがOooDaさんや伊織もえさんを起用していたり、Logicool Gも岸大河さんがアンバサダーになっています。

yukishiro
これは僕の勝手な要望なんですけど、お金とか何もいらないんで、ARTISANのアンバサダーをやらせていただきたいと思っているんです。チームを支援していただいた恩があるし、何よりARTISANの製品を愛しているので、製品やブランドを広めていきたいという気持ちがあります。良い形で取り組みをさせていただけないかなと。

小林社長
私はあまりそういうのはよくわからないですけど、やっていただいて良いですよ。田原君と相談して、ぜひやってください。

yukishiro
ありがとうございます!

ついに公式サイトをリニューアル予定

Yossy
ARTISANの販路が世界中に広がっているという話があったけど、公式サイトを新しくする予定はありますか?

田原
実は、リニューアルプロジェクトを進めていて、もうちょっとでなんとかなるんじゃないかっていうところまで来てる。

Yossy
今って日本語と英語のサイトがあるんだっけ。

田原
そう。日本語と英語だね。

Yossy
日本語サイトの右上に、自分のサイトをリンクしてもらっているんですけど、海外有名チームのレジェンドプレイヤーから連絡をもらったことがあります。ARTISANと取り組みをしたくて公式サイトを見たら、お前のサイトがリンクされていたから、紹介してくれって。ARTISANの注目度はすごいなと思わされたエピソードでした。

小林社長
このサイトは私がECのプログラムも含めて全部作ったんですけど、大きくは10年近く変わっていないかもしれないですね。

田原
これ全然余談なんですけど、英語サイトのここに「Buy two pads to save money」と書かれているじゃないですか。

実はこれ、ずっとスペルが間違っていて「save mony」になっていたんですね。自分が入社した後に直したんですけど。これが面白いということで、ARTISANファンのアメリカコミュニティでは「save mony」がちょっとしたミームになっていたんです(笑) そのうち「save mony」ノベルティをぜひ作りたいなと思っているくらいです。

Yossy
めちゃくちゃ面白い(笑)

小林社長
間違っていたのは全然気づいていなかったんだけど、このワードのおかげで1人で2枚以上買う人がかなり増えた。海外向けだと、1枚買っても2枚以上買っても送料が変わらないので、実際のところ2枚以上買った方がお得なんですよ。

Yossy
(開発中のサイト画面をみながら)これ、見た目的には完成しているように見えますけど、システム的な開発がまだ残っていたりするんでしょうか?

田原
現在稼働させているサイトは、社長が全て作ったものだから発送だったり裏側の業務と完全に適合しているんですよ。新しいシステムはそうではない作り方だから、裏側との連携に課題があったりします。そういうこともあって、新しいサイトの公開は、もうしばらく待って頂けたらなと。

ゲーマーのために送料を安くしたい

田原
あと、送料の計算システムも色々大変です。ECシステムに関わったことがなかったので知らなかったんだけど、送料周りの処理がみんなやばいの。たとえば、製品を入れる箱がどの大きさになるか、どのようにトラックに積むかで色々変わってくるんだけど、それを計算でやっていくと、すさまじい計算量になってしまうんですよ。

これはみんなが直面する問題で、解決には2つの選択肢があります。1つはアマゾン方式で、どんなに小さいものでも大きい箱に入れてサイズをある程度固定化してしまう。もう1つは、気が遠くなる製品の組み合わせ数を元に、料金テーブルを作るという方法です。

ARTISANの場合は、マウスパッドがフラットな形で統一になっているので、いまはそんなに難しくないのですけど、今後、ブラシとか形が大きなものとかをまとめて発送するようなことになっていくと、全然違う話になってくる。製品が増えたり、箱のサイズが変わると全部計算がやり直しになるから、絶対に嫌だと思っていて。実際のところ、いまのサイトはこの計算する方式のプログラムが入っていて、それでやっているんですけど。

小林社長
アマゾン方式にしたら、海外のお客さんなんてものすごい料金を払うことになっちゃうから。できるだけ安くなるように計算方式にしているわけです。やはり、無駄なお金は使わせたくなくて、出来る限り安く買ってもらいたいですから。

田原
国内はまだしも、箱が大きくなると海外はもう送料が3万円とかの世界に平気でなってしまう。軽くても容積重量っていう、大きさで料金を取られちゃうから、とんでもないことになる。

小林社長
結局そういう問題があるんで、パッケージを考えるときに送料を考えて作らないといけないんですよね。昔はマウスパッドを巻いていたんですけど、それだと容量が増えて送料が高くなってしまうから、もうフラットにしようと。送料を安くしてあげたいというのが原点なの。どうせ大半の人は箱を捨ててしまうだろうから、箱を豪華にする必要も無い。

田原
ユーザーさんもフラットの方がいいって人が多いですね。国内の流通の関係で。一部北海道とか離島とかはフラットじゃなくて、丸めて送ったりしてるんですよ今も。届くとびっくりされる方もいるんですけど。ちなみに、ARTISANのマウスパッドは丸めても大丈夫です。

Yossy
大会だと、このARTISANの箱を抱えて入場しているプレイヤーをよく見ますね。ARTISANを使っているんだ、とわかりやすくて良いです。

田原
そうそう。お、うちのマウスパッド使ってくれているぞ、と思って見ていたら中から違うマウスパッドが出てきたことがある(笑) 薄いし意外と頑丈だから、使い勝手が良いんですね。スーツケースにも入れやすいし。

Yossy
マウスパッドの色も、抹茶、橙色なんかはARTISANだとすぐにわかりますね。

小林社長
私はグリーンが好きなので、本当はグリーンを使いたいんですよ。でもグリーンはRazerがキーカラーとして使っているから被っちゃうので、グリーンはやめようと。抹茶はギリギリありかな?と思って採用しました。

ARTISANが人気の国

Yossy
世界大会でARTISANを本当によく見るようになりましたけど、今売れていたり、人気があるのはどの国やエリアなんでしょうか。

田原
北米じゃないかな、やっぱり。北米が大きくて、ヨーロッパが伸びているっていう感じだと思います。

小林社長
北米は多いね。前はオーストラリアが多かったんだけども。やっぱりアメリカは人口が多いので。ヨーロッパはイギリスも結構多いですね。売れてないヨーロッパの国もあるんですよ。イタリアはなぜか売れない。ドイツも思うほど売れないね。

田原
直販だとそうですけど、「MaxGaming.com」で買っているのかもしれないですね。ヨーロッパ全域から買えるので。あと、ドイツには英語を読めないっていう人が思ったよりいるんですよ。

Yossy
イタリアのチームや選手は、FPSのシーンであまり見かけないかな。Quakeシリーズのstermy選手くらいしかイメージが無い。

田原
サッカーゲームだとFIFAが強かったりするけど。

小林社長
あとは、中東とか、中央アジア、あの辺はもう少し営業を強化していきたいと思っているエリアです。そうすれば買いやすくなりますから。あと、サウジも結構注目していますよ。

田原
そうですね。サウジはお客さんがすごくいて、お金を持ってるし、関税とかもゼロなんで。そして、国をあげてeスポーツに力を入れていますし。

小林社長
サウジの人は文句をぜんぜん言わないんですよ。

田原
そうですね、あの辺の人たちからのクレームというのは、ほとんどないです。

Yossy
アフリカとかはどうですか?

小林社長
南アフリカはちょこちょこ来ますね。

田原
どのアフリカの国も富裕層がいるみたいで、買いたいという声はあります。ガーナの方からこの前連絡があって、面白かった。ARTISANのマウスパッドが欲しいんだけど、1枚買うのに4万とか5万かかるんだよって。間に色々入ってくるから、高くなってしまう。だから、海外に行った時に買ってくるんだよと言っていました。

小林社長
南米でも買えます。アルゼンチン、ブラジル、チリとか。

田原
中東、中米とかの危ないエリアは、商品が途中でどこかにいってしまって届かない可能性がある。DHLのトラックが襲われて荷物がなくなりましたとか、そういうレポートが来ますから。

小林社長
メキシコとかはね、荷物が本当になくなるんですよ。商品を国内に入れないで、国境に置いてくれ、自分で取りに行くからって。そうしないと、商品が本当にどこかにいってしまうらしい。

田原
今、アメリカまで同じようなレベルになってきたからなんとも言えないですけどね。警察が対応しないから、置き配が盗まれちゃったり、ひどい場合トラックが襲撃されたりしているようです。

小林社長
各国で色々大変なところはありますけど、おかげさまで、マウスパッドの売上は好調です。

田原
これまでは配送作業が全く追いつかないレベルでしたが、この2年くらいで体制を整えたので、かなり早く出荷できるようになりました。シンガポールだと、発送した翌日に届いたみたいな報告があったこともありました。

Yossy
早すぎる(笑)

yukishiro
国内くらい早いでしょそれ(笑)

田原
新製品も含めて、みなさんに早く商品を届けられるようにしていきたいと思っています。

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この記事を書いた人
Negitaku.org 運営者(2002年より)。Counter-Strikeシリーズ、Dota 2が大好きです。 じゃがいも、誤字脱字を見つけるのが苦手です。

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