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Dota 2『ESL One Raleigh』予選でスモークバグを使ったチームに対する処分発表、ゲームがアップデートし続けるeスポーツならではの対応の難しさ

Dota 2『ESL One Raleigh』予選でスモークバグを使ったチームに対する処分が発表されました

スモークバグについて

  • 味方が敵を視認していた場合、画面上のヒーローアイコンをクリックで敵の持つアイテムを確認できる
  • 敵が持つアイテムをALT + クリックでその情報をチャットに表示する。クリックまたドラッグでそのユニットはコントロールできないというエラーが出る
  • 敵を最後に視認した後、敵がスモークを使用中の場合は先の操作をしてもエラーが出ない。つまり、スモークを使っていることがわかる。

以下は、該当の試合リプレイから作成した動画です。

現在は修正アップデートが入っているため、バグ発生の表示は確認できない認識ですが、スモークの使用を確認する操作を見ることが出来ます。

スモークバグの禁止措置について

  • ESL One Bangkok(2024年12月) – 事前に使用禁止を通達
  • BLAST Slam(2024年11~12月) – 事前に使用禁止を通達
  • PGL Wallachia Season 3予選(2025年1月) – 事前に使用禁止を通達
  • ESL One Raleigh予選(2025年1月) – 事前に使用禁止の通達なし、ただし、使用可とも伝えていない

バグ使用の検証

  • 『ESL One Raleigh』でNAVI Juniorと対戦したAVULUSからバグ使用についての申し立てがあり調査開始、 バグの使用を確認
  • 他チームに対しても使用調査を実施し、複数チームの使用を確認した

バグに対する処罰

バグが問題化した後に修正パッチが入ったこと、ESL One Raleigh予選では通達を行なっていないがそれ以前の大会で広く周知されていたことを元に、ESL One Raleigh予選出場チームに対し、使用回数に基づき処罰することが下される結果となっています。

バグの組織的悪用

  • 9Pandas: 160回~
  • NAVI Junior: 115回~
  • Aurora Gaming: 50回~

大会失格処分。
このバグを知るプレイヤーが、優位を得るために意図的に使用していると判断。
NAVI juniorの西ヨーロッパ予選2位での本戦出場は取り消し、3位のAVULUSが繰り上げ出場となる。

極端すぎないバグ使用

  • Passion UA: 17回
  • One Move: 12回
  • Virtus.Pro: 11回
  • Winter Bear: 9回
  • Tundra Esports: 9回
  • Team Spirit: 7回
  • Team Secret: 5回

罰金処分。
主にスモークが重要となる局面で使用。

1~2回の使用

  • Wildcard
  • Shopify Rebellion
  • Natus Vincere

警告処分を適用。

偶然の使用

  • Nigma Galaxy
  • TALON
  • Gaimin Gladiators
  • M80

処罰対応なし。
使用を確認できたが、意図的に使用したとは判断されない。

処分に対する反応は賛否両論

上記の処分は、事前の通達がなかったことや、「ESL One Raleigh」出場チームのみの処罰ということもあり、対応について様々な意見が出ています。

  • 「ESL One Raleigh」ではスモークバグ使用禁止が通達されていないのに、なぜこのような処罰になるのか
  • 今回は処罰して、過去に使ったチームが処罰されないのはおかしい。そのせいで負けたチームもいるのでは。
  • バグを使ったチームは一律で処分するべき
  • ルールを再整備する必要がある
  • もはやバグというか、仕様くらいの認識で使っていた

eスポーツならではの課題:変化しつづけるゲーム仕様に関連するルール対応

eスポーツはスポーツと事なり、ゲームのアップデートによって仕様やルールが数週間、数ヶ月、早ければ数日で変化します。

Dota 2は、126体のヒーロー、それぞれが持つスキルとタレント、膨大なアイテムといった組み合わせがあり、どのようなバグが潜んでいるのかを把握する、バグを完全に無くすのは不可能です。

そのため、完璧なルールを作ることも難しく、突発的な問題が発生した場合には事後対応となっていきます。

修正がいち早くできることはeスポーツのメリットでもありつつ、アップデートが続く限りバグはなくならないため、 変化しつづけるゲーム仕様に関連するルール対応はeスポーツならではの課題となっています。

ゲーム内のバグは仕様としていた時代

Dota 2のバグを使った最も有名なプレーは、公式世界大会『The International 2013』で繰り出された「Fountain Hook」です。

味方をテレポートさせるChenの「Test of Faith」を自陣指定でPudgeにかけ、発動タイミングに合わせてPudgeが敵に「Meat Hook」を決めると、敵が自陣まで引っ張られてほぼ確定キルになるというコンボでした。繰りだしたNatus Vincereは失格にはならず、最終的に準優勝となっています。さらには、その後に公式YouTubeで紹介されるような扱いになっています。

バグの可能性があるプレーを使いたい場合ゲーム開発元のValveに事前確認が必要に

Team FalconsのコーチAui_2000氏が書いた記事によると、『Dota 2』においては、ある段階からバグの可能性があるプレーを使いたい場合ゲーム開発元のValveに事前確認することが求められるようになったとのことです。

バクでない場合は使用OKで、ほかチームにその内容は開示されません。
バグの場合は修正・内容発表という対応が行なわれるそうです。

まわり反応を元に再試合を辞退した事例

ゲームは異なりますが、『CS:GO』では2013年にFnaticが通常は視認出来ないマップオブジェクトを利用した特殊なブースティングのテクニックを使用し大きな話題になりました。

試合後に対戦相手から抗議され、再試合の判定となりましたがFnaticは試合を辞退しました。

騒動で選手が再試合に挑むモチベーションを失ってしまったことや、スポンサーから辞退の進言があったことが辞退の理由と言われています。

Fnaticのpronax選手が『DreamHack CS:GO Championship』での特殊ブースティング使用や準々決勝の棄権についてコメント

情報元

この記事を書いた人
Negitaku.org 運営者(2002年より)。Counter-Strikeシリーズ、Dota 2が大好きです。 じゃがいも、誤字脱字を見つけるのが苦手です。

https://twitter.com/YossyFPS/
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