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フランスの主要Counter-Strikeサイト『VaKarM』閉鎖へ、18年の歴史を持つ老舗

フランスCounter-Strikeシーンを支えてきた情報・コミュニティサイト『VaKarM』が閉鎖を発表しました。

公式サイトでの発表

※以下はフランス語を翻訳サイトで英語化し、そこから日本語にしたものです

VaKarMは終了となります。ここ数ヶ月の活動休止を経て、公式に発表する時がやってきました。最初の記事を掲載してから18年余りが経過し、VaKarMは終わりを迎えることになりました。

終焉の理由は、とても簡単に説明することができます。サイトを更新する人がいなくなったためです。VaKarMの日々の運営は、ごく少数のコアスタッフとやる気のあるボランティアのみなさんに頼ってきました。彼らはニュース記事の掲載、スコアボードの更新、大会取材のために、夜や週末、時にはさらなる時間を割いてくれました。この仕組みのおかげで、VaKarMは約20年間にわたり機能してきました。しかし、現在それは適切な状態ではありません。最後に活動していた人たちはモチベーションを失ってしまい、後継者がいない状態となりました。

これに加えて、サイトの最新バージョンをリリースできていないという問題もあります。リニューアルプロジェクトは難しい状況で、技術不足やオーバーホールを完了させるまでに取り組むことが出来る人材が不足していることにより、リリースを実現できていません。
新しいバージョンのサイトがあれば人々を再び惹きつけ、スタッフを一新することができたでしょうか?残念ながらそれはわかりません。

確かなことは、eスポーツがますますプロフェッショナル化している現代において、2012年からデザインが変わっていないボランティアサイトは、完全に異例の存在だという事です。時代錯誤な状態で可能な限り運営してきましたが、ついに限界に達しました。

後悔について長々と述べることもできますが、前向きな気持ちで終わりを迎えましょう。

VaKarMは現在までフランスCounter-Strikeエコシステムの柱となってきました。このサイトは、コメントしたり、議論したり、フランスシーン最高の瞬間、最悪の低迷を味わってきたコミュニティ全体にとって歓迎の場となってきました。

VaKarMはCounter-Strikeの進化を体験してきました。CS:Source、Global Offensiveを経てCS2へ、Orange Boxアップデート、Dust 2の第4バージョン公開、スキン導入、Free To Play化、AWPのナーフ、MR12へのルール変更、単一国籍チームから国籍ミックスチームへの変化、フランスLAN大会が豊富だった時代からの大幅な減少、世界を席巻していたフランスシーンの衰退などです。RpK選手がMaxLAN 2009の決勝で1vs3を制した時、VaKarMはそこにいました。その14年後、RpK選手がBLAST Paris Majorで何千人ものサポーターから歓声が送られたときにも、VaKarMはそこにいました。

スタッフは何千もの記事を公開し、何千もの動画を作成し、何千時間もの配信を行ない、何千枚もの写真を撮影し、何万試合ものスコアを更新し続けてきました。フランスの奥地から地球の反対側まで出向いて取材し、何百ものプレイヤーにインタビューし、Counter-Strikeとその歴史を、他の誰にも出来ない方法で分析してきました。VaKarMのコンテンツを更新するために、何日の休暇や代休制度が費やされてきたでしょうか?

数多くのアイデアが提案され、その多数は却下されてきましたが、実際に日の目をみたアイデアもありました。

WebTVはすばらしい遊び場であり、VaKarMを多くの点で先駆者となることを可能にしました。例えば、主要なイベントを取材するための物理的なスタジオ、公式配信としても提供されていなかった時代の再放送配信、フランスシーンで最も偉大なプレイヤーを招いた大会後の討論番組などです。

VaKarMアワード、LAN大会の動画、ESL One Cologne 2016へのバスツアー、チャンピオンのためのマップ「Jeudi oui」、紙の雑誌を発行したことによりフランス国立図書館への入館も実現しました。

VaKarMは非難を免れないかもしれません。しかし、スタッフたちによる膨大な仕事を否定することは誰にもできません。

VaKarMはプロ化の波に乗ることはありませんでした。それは、チケットの価格があまりにも高すぎたからです。サイトの背景にバーチャルスロットマシンがあったり、「VaKarM Awards by 1xBet」という名称のコンテンツを見たがる人は誰もいませんでした。誰もです。

この非プロフェッショナル化により、VaKarMは多くのことを創造・想像し実行に移すことが出来ました。これらのアイデアの背景には経済的な問題は何もありませんでした。「利益が出ないので却下」という判断が下されることもなく、経済的な理由により取り組みに対する判断が遅れるようなことも、経済的リスクもありませんでした。すべては私たちが自由だったからです。私たちが望み、それが可能な状況だったために実現することができたのです。

献花は終わりました。感謝の気持ちで締めくくりましょう。

Counter-Strikeプレイヤーのみなさん、情熱と感動をありがとうございました。

CS:Sourceでその強さを示してくれたフランスプレイヤーのみなさん、CS:GOでは2つのメジャータイトルを獲得していただきありがとうございました。インタビューとVaKarM Boxにも感謝しています

VaKarMを歓迎し、多くの物語を世に出す機会を与えてくれた大会主催者のみなさんにも感謝します。

VaKarMという素晴らしく壮大なプロジェクトに参加してくれた全スタッフにも感謝申し上げます。1時間でも数千時間でも、3日でも11年でも、VaKarMに携わってくれたみなさんに感謝しています。時には難しいこともあり、浮き沈みもありましたが、どんな冒険にもそのような側面があります。VaKarMプロジェクトには、出会い、旅、マッチメイキングでの交流、数多くのプロジェクトを成功に導いた才能がありました。

VaKarMはもっと早く閉鎖していたかもしれません。しかし、1人、2人、3人と諦めずにフランスCounter-Strikeの歴史を追い続けてくれる人たちが現れました。そのおかげでここまで続けてくることが出来たことを誇りに思います。

そして最後に、読者のみなさん、非常に古いサイトを長きに渡り応援していただきありがとうございました。VaKarMを存続させ、祝福し、励まし、自分たちに見つめ直すきっかけを与えていただいたことに感謝しています。
私たちは最善を尽くし、読者の皆さんをないがしろにすることなく、誠実であろうと努めてきました。

今後は、残った資金を元にサイトをできるだけ長くアクセス可能とするためにいくつかの技術的な問題を解決していく予定です。しかし、サイトは数週間後、または数ヶ月後に停止状態となるでしょう。もし最後のコメントを投稿したいと思ったら、いまがその時です!

さあ、そろそろ明かりを消す時間です。これでVaKarMは終了となります。
さようなら、Counter-Strike。

当サイト運営者の感想

上記のサイト終了メッセージを読んで、自分は共感する部分がたくさんありました。

サイトのデザインが古い、システムを最新にできないということは自分も経験しました。
サイトを維持していくためにはお金が必要ですが、絶対譲れない部分は貫き通したくお金を得られるとしてもそこは譲れない、みたいなこともよくわかります。

サイト更新は終了になりますが、残った資金で可能な限りサイトをアクセス可能にするというのも、歴史を残していくという意思を感じて非常にすばらしいと感じました。

VaKarMの掲載情報を通じてフランスシーンについて学ぶんだこともあり、非常に感謝しています。これまでの運営、おつかれさまでした。

情報元

この記事を書いた人
Negitaku.org 運営者(2002年より)。Counter-Strikeシリーズ、Dota 2が大好きです。 じゃがいも、誤字脱字を見つけるのが苦手です。

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