ESLがCounter-Strike世界トップクラスのIGLによる座談会を開催し、動画「Learn IGL’ing from the best – IGL Roundtable」として公開しています。
動画「Learn IGL’ing from the best – IGL Roundtable」について
座談会は、現在開催されている「Intel Extreme Masters Cologne 2024」の関連企画として実施されました。Counter-Strike競技シーンを代表する3人のIGLが、その役割についてそれぞれの考えを披露しています。
※IGL = In-Game Leader (インゲームリーダー)、チームの指揮官
出演
- Finn “karrigan” Andersen (34歳、PGL Major Antwerp 2022王者など)
- Dan “apEX” Madesclaire (31歳、BLAST.tv Paris Major 2023王者など)
- Aleksi “Aleksib” Virolainen (27歳、PGL Major Copenhagen 2024王者など)
- ホスト:Chad “SPUNJ” Burchill (キャスター)
非常に興味深い内容で、動画を見ながら気になる発言についてメモしていたものを下記に掲載します。
発言メモ
karrigan
- 初めてIGLを担当したのは15歳くらい
- ゲーム展開を組み立てるのが好き
- 自分より優れているIGLがいる場合は、セカンドコーラーを担当してきた
- ほかのロールも好きでAWPer、ラーカー、エントリーフラガーなど様々な役割でプレーした経験がある
- FaZ Clanの初期頃、自分はIGLとしてチームを率いていないことに気づいた。ほかの選手たちに決断をゆだねすぎていた。
- MOUZに移籍した後、自分が求める形でチームを率いていくことを決断した。そのためには、誰もが自分に注目し、耳を傾け、尊敬されるリーダーになる必要があると考えた
- 敗北やスタメンを外されることから学ぶことが最も多い。そのような時には、大局的に物事を判断できるからだ
- IGLには誰でもなることができる。リーダーは別の役割で、チームを正しい方向に導く存在。素晴らしいリーダーになるためには、コーチなどからリーダーについての学びを得る必要があると思う
- 21歳頃の自分は閉じた感じの振る舞いをしていて、リーダーシップを発揮することは課題だと感じていた
- 2014~2015年は優勝したチームの戦略を全てのチームがトレースするという状況があった。2018年頃まではそういう状況が続き、どのチームにも哲学というものが感じられなかった。FnaticやAstralisがナンバーワンとして君臨していた時などがそうだった。
- MR12ルール(13ラウンド先取制)となってラウンド数が少なくなり、MR15(16ラウンド先取制)の時のように適応する猶予が少なくなっていると感じている
- MR15の時は序盤の作戦をフェイクとして、後半にスタイルを変えるようなこともできた
- ティア2シーンが活性化していると思う。ティア2チームは、ティア1トップチームの2倍近い公式戦をこなして経験を積んでいる。ティア2に埋もれた才能が発見される良い状況となっていて、ティア2の誰を選んでもティア1チームでパフォーマンスを発揮できるくらいのレベルになっていると思う。
- 「自分にとってIGLとは」の質問に対し:一言で言うならばパッション(情熱)だ。溢れるような情熱がなければ、そもそもIGLになることはできないと思う。ゲームについてどのように考え、プレーを進化させていくのか。そして、プレーを見直し改善も加えていかなければならない。これらは優れたIGLになるために必要なことだと思う。
apEX
- Counter-Strikeをプレーし始めた初期からIGLをしてきた。友達とプレーする時、小さなチームの時などからだ。
- 戦術やリーダーシップを発揮するのが好きだ。
- いまのように本格的にIGLを担当するようになったのは、Team VitalityでIGLをしていたALEXがチームを去った2020年から。
- 白髪が増えたからストレスがある役割だと思う
- 自分は多動的な性格で、照準を固定して50秒待ち続けのは耐えられない。以前担当していたエントリーフラガーは自分の性格に合った役割だったと思っている
- 良い結果を出すにはチーム内でお互いがオープンになり、意見を言い合えるような環境が重要
- 自分は31歳で、若いプレイヤーが自分に意見をぶつけるのは難しいかもしれないが、そうする必要がある。自分たちIGLも同じで、チームメイト達に向き合っていくことが求められる
- 試合前の準備は相手の立場になって考えて取り組んでいる。ただ、例えばMirageで対戦する場合、相手の1つ前の試合のデモを見たとしても同じ事はしてこないのであまり深く考えないようにしている。完全に異なるプレースタイルを採用してくるようなチームもある ※ここでkarriganが「じゃあ今度は同じ作戦を使うよ」と発言して笑いを取る
- 「自分にとってIGLとは」の質問に対し:素晴らしいIGLはチームメイトを輝かせると思う。自分自身が上手くプレーできなかったとしても、チームメイトに良いプレーをしてもらえるようにできれば、勝つ可能性が高くなる。自分のアイデンティティを持ってチームを導くことが大切だと思う
Aleksib
- 最初は友達とパブリックサーバーでCounter-Strikeを楽しくプレーしているだけだった
- いつしかLAN大会に出場するまでになり、競技にのめり込んでいった。そうなると、友達という関係だけでは上手くいかないことも出てきた
- 2018年にENCEで活躍したことが、自分の名前を売るきっかけだったと思っている
- ENCEのスタメンを外された後、ティア2チームには行きたくないと思っていて、英語は上手くなかったが状況を変えるためには国際ロスターのチームで活躍できるようになる必要があると考えた
- OGに加入して、友人となったNBK-に様々なことを学んだ
- これまで所属してきたどのチームも、コミュニケーションを最優先に取り組んでいる
- 大会配信を見ていると、選手の行動・選択がおかしく見えることがある場合があると思うそれは、チーム内で報告が行なわれていなかったり、「かもしれない」という不十分な情報、間違った報告など、外部からだとわからないチーム内のコミュニケーションが要因だったりする。
- 現在は競技のレベルが非常に高くなっていると感じる。トップ30くらいまでのチームには、コーチやアナリストが3人くらいいて、分析が行なわれているからだ
- Katowice Major 2019でステージ上でプレーして、ここでしかプレー出来ないゲームがあることを知った。スタジオではできないようなプレーが生まれる場合がある。
- 「自分にとってIGLとは」の質問に対し:自分を一歩下がった位置に置くことが重要だと思う。自分を後回しにして、みんなに快適にプレーしてもらいたいと思っている。そのためには犠牲を払う必要がある。良い結果を得るためと理解した上で楽しむ必要があると思う。karriganが言うように情熱も必要だ。自分にとっての情熱とは、みんなでチームを作り上げ、周りを輝かせることだ。IGLとして試合に勝った時、全く異なる感情を得た。相手よりも良い仕事をしたと感じたし、準備が上手くいった、チームメイト達を輝かせたと感じた。
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