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「Tundra Esports」のDota 2世界大会優勝に貢献したスポーツ心理学者Daniel Abrahams氏の取り組み

スポーツ心理学者Daniel Abrahams氏が、Dota 2世界大会『The International 2022』で優勝した「Tundra Esports」のトレーニングでどのようなことを行なったかをツイートで紹介しています。

ツイート翻訳

本記事では、その内容について紹介します。
元ツイートは、下記からスレッド形式で見ることが出来ます。

先週、所属するeスポーツチーム「Tundra Esports」が賞金総額$18,000,000のトーナメントで優勝しました。

Tundra Esportsのコーチ、選手、マネジメントメンバーたちは、私と共に6ヶ月間に渡って、5つを柱とする生物心理社会モデルに取り組み、勝利するための最高の機会を得ました。

5つの柱

  1. リーダーシップ
  2. 構造
  3. 価値観と行動
  4. 意図のある練習
  5. ハイパフォーマンス・マインドセット

チーム経営陣から依頼されたのは、選手達が世界中の何万もの観客(会場では1万20000人近くが熱狂していた)から受けるプレッシャー下において、最高のパフォーマンスを発揮出来るようにすることでした。

私は、チームが勝つために必要なことについてすぐに理解しました。
チーム全体のエンゲージメントを向上させ、選手達はより良い学習が出来るようになる必要がありました。その上でパフォーマンスツールが求められました。

1. リーダーシップ

私たちは戦略とプロセスを明確にしました。

  • 何をしようとするのか
  • どのように実行するのか
  • なぜその方法なのか

コーチとキャプテンが最終的な判断を明確に指示して、チームをリードすることが重要であると強調しました。そして、自律して支援するためのリーダーシップの実践についても考慮しました。選手には確実性を求める一方、ゲーム内における肌感覚による判断も必要なためです。

すべての利害関係者が関与した上で、戦略・戦術・プロセスが明確かつ簡素で自信を持って提供されていない場合、それはリーダーシップがあるとは言えません。

2. 構造

チームが大会に出場するためにシンガポールへ到着した時、毎日のルーティーンが求められていました。

結束力を高めるために一緒に過ごす時間や、良い状態を維持するための休息や回復の時間が必要でした。

eスポーツ選手は、練習しすぎ・休養不足の傾向があります。
日々のルーティーンは、燃え尽き症候群となる可能性を減らし、チーム全体の一体感や一貫性を高めることに役立ちました。

3. 価値観と行動

2つの理由から、チームの価値観と行動に関連する決まりを作りました。

  • 行動、環境、カルチャーに一貫性を持たせる
  • 共有されたメンタルモデルの構築 (タスクと社会的結束による)

「何をするか」「何を言うか」に関する一貫性を高める必要がありました。
そこで、チームの共通価値観や行動は合理的な繰り返し感覚を持つよう設計しました。
例えば「誠実」「支援」という価値感の組み合わせにより、健全で安心出来る議論や討論が可能になりました。

価値観と行動を組み合わせにより論争につながった可能性もありますが、確実性についても機能したと思っています。

チームの戦略は、チーム全体で議論されることでより明確になりました。メンタルモデルが共有されることにもつながり、選手達はそこで何をするか、そのためにどうすれば良いかを戦略として理解していました。

4. 意図のある練習

すべての練習セッションには意図が必要であると判断しました。フィードバックにおいては具体的な目的が含まれていることが求められました。

心理学者Anders Ericsson氏の研究を参考に、トーナメントで使用する特定の戦略について、目標設定に基づくことで他よりも優れた練習をしようと決めました。
※eスポーツにおいては、練習目標が明確でない傾向がある

5. ハイパフォーマンス・マインドセット

いまではこれが私たちの競技における存在意義です。

ハイパフォーマンス・マインドセットで競うことを一番のタスクとしました。
そして、ローパフォーマンス・マインドセットに陥らないよう注視しました。

各選手とチームのメンタルフレームワークは、卓越性を追求した結果、最もプレッシャーがかかる状況において高いパフォーマンスを発揮するために不可欠なものとなりました。

これは、各選手がハイパフォーマンス・マインドセットを理解するのを手助けすることからスタートしました。注意を払う・注意散漫に対処することが何の役に立つのかを中心に説明していきました。

そして注意シフト、セルフトーク、embodied solutions などのメンタルテクニックを使用しました。

そして、Tundra Esportsは成し遂げたのです。私の仕事は大きな車輪における小さな歯車ではありますが、チームがこれらを真剣に受け止め、競技においてハイパフォーマンス・マインドセットを第一とした結果です。

私をチームのセットアップに取り入れることについて積極的であったことは、チームのオープン性と野心について多くを物語っています。

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この記事を書いた人
Negitaku.org 運営者(2002年より)。Counter-Strikeシリーズ、Dota 2が大好きです。 じゃがいも、誤字脱字を見つけるのが苦手です。

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