eスポーツ、FPS、MOBA、ゲーミングデバイスの最新情報を紹介する個人ニュースサイト

LANパーティおじさんPoNzコラム:LANパーティの起源「デモパーティ(デモシーン)」

今回はLANパーティのレポートではなく、「LANパーティ」に関するトリビアというかコラム的な内容です。なお、内容に間違い等あれば是非ご指摘ください。

LANパーティの起源とは?

Negitakuを定期的に見ている人であれば『DreamHack』『QuakeCon』『InsomniaGamingFestival』の記事を見たことある人も多いかと思いますが、他のLANパーティイベント名が出てくる人は多くはないのではないでしょうか。


『Insomnia Gaming Festival – i64』

今では「esports」というワードから始まり、「LANパーティ」にも関心が集まっていますが、元は上記のLANパーティからイメージ出来るゲーマーの集まりではなかったのです。

C4LAN 田原Pのインタビューをチェックした人なら見た覚えがあるかと思いますが、LANパーティの起源は「デモパーティ(デモシーン)」と言われており、技術を使って楽しんだり、人を楽しませる人たちが集まっていたモノなのです。日本では『TokyoDemoFest』が年1で開催されています。

田原尚展氏:
 ただ,そもそもの歴史を紐解いていくと,コンピューター好きという意味におけるハッカー達が集まって開発したりハッキングしたりしていたのが起源のようです。その後,北欧を中心としてメガデモ(※)の文化が興って,凄腕のプログラマーが厳しい制約の中でカッコイイビジュアルエフェクトを作るというのが流行したわけですが,メガデモを見せ合うために皆で集まったのが,今の「LANパーティー」と呼ばれるもののスタートだと言われていますね。

実は昨今のゲームと切っても切り離せないデモシーン。デモシーンで活躍している多くの人達(Demoscenerと言うらしいです)が、ゲーム等に関係しているのです。「Battlefield」シリーズのDICE、「MAX PAYNE」のRemedy、ベンチマークソフト「3D Mark」のFuturemark等、幾つもの著名な作品に多くのDemoscenerが関わっています。

デモシーンについてはゲーマーの自分が説明するより、デモシーンに身を置く方のほうが説得力のあるということで、FL1NEさんが記事にされているのでそちらを参照してください。

また、デモシーンやゲーム以外では、アート作品として世に出ているケースもあります。関東圏の方は見たことがある人もいるかもしれませんが、渋谷駅に出展されていた作品に日本のDemoscenerの作品があります。

世界のデモパーティとLANパーティ

現在、自分が観測出来ている範囲で継続開催されている最古のデモパーティがフィンランドの『Assembly』とノルウェーの『The Gathering』 です。

どちらも1992年から開催されており、2019年現在も続く伝統的なイベントです。規模はBYOC 5,000~6,000席と『DreamHack』の次に大きい世界トップクラスの規模を誇っています。なお、DreamHackも1994年にデモパーティから始まっていたようですが、2002年頃からコンピュータゲームに焦点を当て、今日のDreamHackへ成長していきました。

現在は『Assembly』と『TheGathering』も純粋なデモパーティではなく「デモシーン」「コンピュータゲーム」「コスプレ」等の複合的なイベントとなっています。

また、1,000人以上の大きいLANパーティというと上記のような北欧で多く開催されているように思われるかもしれませんが、他にも沢山あります。

自分が知っていて継続開催されているものでも、スペインの『Euskal Encounter』、デンマークの『NPF』、オランダの『The-Party』(デモパーティのThe Partyとは別)と『The Reality』、ドイツの『NorthCon』、スイスの『SwitzerLAN』、台湾の『WirForce』、カナダの『Lan ETS』、1,000にはちょっと届いていないようですがオーストラリアの『Redflag Lan Fest』等たくさんあります。数十~数百人規模であれば欧州では毎週のように、北米でも1,2ヶ月に1つは開催されています。
また、変わり種ではオランダの野外でテントを貼って行う『CampZone』、ドイツのリゾート施設で行われる『LANresort』等もあります。

まだまだ紹介しきれない位、世界中で非常にたくさんのLANパーティが開催されてますが、そのほとんどはゲームを軸として立ち上がったLANパーティで、デモシーンをDNAに持つLANパーティはわずかとなっています。

どのイベントも一朝一夕で今の形になったわけではなく、参加者には思いつかないような問題を幾つもクリアしてきています。どのような経緯でイベントが行われてきたかを知ることで、イベントに参加した時の見かたがガラっと変わります。

上記で紹介した北欧以外はどうかというと、たとえば『QuakeCon』は『Doom』や『Quake』といったid Softwareゲーム好きが集まって発足したイベントです。

『InsomniaGamingFestival』は、Multiplayというゲームイベントを行なっている英企業(今はゲームサーバの運営が主)が開催し始め、世界的大不況の時も規模を小さくしながらも継続開催を行い、今の規模にまで成長しています。
『Lan ETS』はÉcolede technologiesupérieure大学(略称ÉTS)の学生クラブが代変わりを繰り返しながら主催しているイベントです。

というように、LANパーティひとつとっても様々な歴史や生い立ちがあります。日本でも幾つかの新しいLANパーティが誕生しつつあります。イベントに歴史はなくても、主催者にはそれまでの背景があるはずなので、そういった観点で推しのイベントを見つけるのも面白いかもしれません。

ということで、次回はカナダの『Lan ETS』とフィンランドの『Assembly』のはしご旅です。

この記事を書いた人
LANパーティ大好きおじさん。ここ数年の目標は各国の著名なLANパーティへBYOC参加すること。

https://twitter.com/PoNzyy
SNSでフォローする
YouTube

取材動画、ポッドキャスト等配信中。チャンネル登録をお願いします!


アフター6ジャンクション出演時アーカイブ