『BenQ』のゲーミングブランド『ZOWIE』を創設した Vincent Tang氏が、Facebookにて同ブランドから正式に退任したと発表しました。
『ZOWIE』は、2008年にVincent Tang氏らが『ZOWIE GEAR』として立ちあげ、2015年に台湾の大手メーカー『BenQ』に買収されました。以降、Vincent氏を含むオリジナルのメンバーは『BenQ ZOWIE』ブランドの製品開発、マーケティング、eスポーツ戦略などを担当しています。
そして今回、創業者のVincent氏が2019年6月30日付で退任となったことを発表しています。
以下は、Vincent氏が自身のFacebookに投稿したパブリックコメントです。
こちらを日本語で紹介します。
本日、公式にZOWIEを去ります。
簡単にお別れを告げて、あらたな挑戦にフォーカスしていこうと思っていました。
しかしながら、この10年で非常に多くのことがありました。貴重なアドバイス、揺るぎないサポート、最も力が必要な時に助けてくれた多くの皆さんがいます。私はこの事実を認め、みなさんに感謝いたします。
なぜZOWIEを去るのか?
成功するブランドとは、信頼と顧客との間に培われた愛に基づいて構築されると信じています。ブランドはその信頼と愛に報いるために、製品とサービスを改善するために取り組み続けなければなりません。
ZOWIEプロジェクトがこれまで成功し、esportsに貢献している事に満足していますが、初期からZOWIEを愛し、信じてくれたみなさんはいかがでしょうか?
年齢、仕事、ライフスタイルが変化し、多くの長期顧客はすでにプロフェッショナルなesports製品を必要としていません。私はesports産業に20年近く携わってきました。これはesports産業がどれほど長く続いてきているかを意味しています。
自分のようにesportsが人生の大部分を占めてきた沢山の人達がいます。私たちは、同じ方法で成長し、同じような製品に興味を持ち続けています。ZOWIEが彼らをケアしている間に、このような人たちに向けた新たなブランドを始めたいと思うようになりました。
自分は良いビジネスマンではありませんので、これが良いビジネス判断ではないことはわかっていますが、自分にとっては非常に重要なことなのです。自分の心に従い、この新たな挑戦に100%フォーカスすることを決めました。
なぜZOWIEを売却したのか?なぜBenQだったのか?
多くの理由がありますが、主には「ZOWIE ZONE」ビジョン実現のためです。
ZOWIEのミッションは、常にesportsプレーヤーたちに最もプロフェッショナルで快適なゲーミング体験を提供することです。「ZOWIE ZONE」はこれを実現するビジョンでした。
残念ながら、当時の生産能力ではZONE製品を単独で展開することはできませんでした。そこで、esportsのディスプレーで提携していたBenQと共にZONEに取り組む事にしたわけです。
ZOWIEを去る事についてどう思うか?
私がZOWIEを去る理由について、あなたがしっかりと理解しているならば、私が「ZOWIE」の5文字よりも人との繋がりを重視していること、そして、ZOWIEスピリットは常に自分と共にあると理解していただけるでしょう。
Ethan Chen, Xanver Tseng, Eric Su, Alberto Duarte, Mandy and Zhiai Yan
君たちはオリジナルのZOWIEチームで、苦楽を共にしてきました。本当にありがとう。それぞれのサポートは、自分たちが思う以上の意味があります。
Jacob Wolff-Petersen (SteelSeries 創設者)
私の考えや考え方を発展させ披露するための舞台を与えてくれました。これがなければ、いまのような精神や哲学を持つことは出来なかったと思います。ありがとうございました。
Tino Svendsen Soelberg (SteelSeries CTO)
デザイン上の困難を克服するために過ごした時間は何ものにも代え難い経験で、生涯大切にしたいと思えるものです。あなたが誇ることが出来る友人になりたいと言ったことがありますが、プロフェッショナルesports市場におけるZOWIEで実績を作ったことで、少なくとも恥ずかしいとは思わない友人になることができたのではないかと願っています。
Emil “HeatoN” Christensen, Abdisamad “SpawN” Mohamed, Filip “NEO” Kubski
esportsのレジェンドとして、永遠に忘れることはありません。みんなの助けがなければZOWIEが発展する事は無かったでしょう。本当にありがとう。
Daniel、Alice Chang(Addice Inc.)
ZOWIE初期からのパートナーとして、これまでZOWIEが提供してきたサービスを理解し、100%投資してきてくれました。もはや単なるパートナーではなく、ZOWIEの一部であると思っています。
Night-Flying, Laojin, 淚眼風, Hisashi “Yossy” Yoshimura, Daisuke Koiso, Rocket Jump Ninja, enigma, SnowShovel
ZOWIE初期から製品をレビューし、私たちとの誠実な関係を保ち、他のesports愛好家たちが製品についてより理解出来る手助けをしてくれました。みなさんの貢献に感謝しています。
Conway Lee
ZOWIE ZONEのご協力に感謝します。
BenQ
自分とZOWIEのブランドスピリットと哲学を信じてくれた全ての同僚達に感謝します。ZOWIEを去る事で、みなさんを失望させてしまったかもしれないことについてお詫びいたします。共に過ごした時間を経て、ブランドを作り上げるには他の方法があるかもしれないことを理解していただけることを願っています。「全ての道はローマに通ず」ということです。
Prasad Paramajothi
快適でリラックスした生活を選ぶことも出来ましたが、情熱に従いZOWIEと共に困難な旅に出ることを選びましたね。その決断を尊敬し、感謝しています。
ImbaTV
「プロフェッショナルesports向け」というZOWIEのビジョンを理解し、多くのesports愛好家に「ZOWIE ZONE」を体験してもらえる環境を作っていただいたことに感謝しています。
運営に協力していただいたStarSeriesイベントでの選手たちからのフィードバックにより、ZONEはesports選手が必要とするプロフェッショナルな製品に進化しました。ImbaTVのesportsアリーナが早く一般公開される日を楽しみにしています。
次のプロダクトは何か?
プランをお披露目するために少し時間を下さい。出来る限り早くお知らせします。
最後に、直接的・間接的に貢献してくれたみなさんに改めて感謝いたします。
あなたの名前が上記のリストになかったとしても、それは私があなたの貢献を認めていないからでも忘れているわけでもありません。単純に、この投稿に書き切れる量ではなかったのです。
『ZOWIE』は個人的に最も思い入れのあるゲーミングデバイスブランドの1つです。
創業者のVincentさんを含めたメンバーには、本当に色々とお世話になっています。
単独インタビューの実施、インタビューで約束したHeatoNやSpawNを来日させてくれたり、サイト7周年、15周年の際にはサイトの名前が入ったオリジナルデザインのゲーミングマウスパッドを無料で100枚も提供していただきました。
7周年モデル(2009年)
15周年モデル(2015年)
新製品が出ればいち早くサンプルが届いたり、「なぜVincentさんたちは自分にそこまでしてくれるのだろうか?」と常々疑問に思っていました。
半年ほど前、Vincentさんが来日しそこでその理由を知ることができる機会がありました。新たなBenQ台湾メンバーに自分を紹介してくれたのですが、その時の言葉は次のようなものでした。
「Yossyは日本にesportsのサイトがほとんどない頃からサイトを始めて、いまでも活動している。誰も知らない新興ブランドのZOWIEを初期から様々な形で日本のゲーマーたちに紹介し続けてくれていて、私は本当に心から感謝しているんだ。」
Vincentさんは、大手のサイトとは比較にならない規模の個人メディア運営者にさえも、貢献について感謝し、その恩返しとして様々なサポートをしてくれているのだとわかり、本当に嬉しく思いました。退任のコメントにまで自分の名前を出してもらえたのも非常に光栄に思っています。
ちなみに、同じく名前が出ていたDaisuke Koisoさんは元4Gamer.netの編集者で、多くのゲーマーが参考にしている高品質なゲーミングデバイスレビューなどを担当されていた方です。レビューだけでなく、その圧倒的なゲーミングデバイスに関する知識を活かしてZOWIE Vitalなどの製品開発にも大きな影響を与えていました。
Vincentさんのチームは自分だけでなく、本当に頑張っている日本のプレーヤーやコミュニティにも、あえて公にすることもなく黙々と様々な支援を行ってくれています。
海外大会に日本が予選参加できるようにしてくれたり、海外大会の日本向け公式配信権を提供してくれたり、日本のコミュニティはVincentさんたちの力で助けられていることが山ほどあります。
個人的に、これからもZOWIEに恩返しをしていきたいと思いますし、Vincentさんの新たな挑戦にもこれまでのように何か貢献出来ればと思っています。
Vincentさん、本当にありがとうございました。これからの活躍も楽しみにしています。
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