2018年11月26日(月)、プロゲームチーム Team MVPは Team MVP Japanを設立し日本、そして世界へと展開を拡大していくことを発表。共同代表となった 竹田恒昭氏にお話を聞いてきました。
まず簡単に説明しておくと、 Buddhaこと 竹田恒昭氏は2005年に日本初となるesportsのプロチーム 4dimensioN.PSYMIN (4dN.PSYMIN、Counter-Strike1.6で活動)を誕生させた他、2018年の『日本eスポーツ連合』発足へとつながっていく『日本eスポーツ協会設立準備委員会』(2007年)の創設メンバーなどで活躍した人物です。その後は10年近くeスポーツシーンからは離れていましたが、この度、 Team MVPの共同代表兼 Team MVP JapanのCEOに就任となりました。
インタビューはTeam MVP Japan発表の翌日11月27日(火)に実施。
Team MVP Japan代表の竹田氏、マネージャーを担当する元4dimensioNの真田翔(JING、paranoiac)氏に、当サイト運営者のYossyがお話を聞きました。
竹田:こちらとの取り組みについてもお話しようと思っていたのですが、色々あって詳細はまたの機会になってしまいました。いま決まっていることのうちTeam MVP Japanの設立が20%くらいで、残り80%の中にこちらとの展開も含まれています。詳しくは、もう少し待っていただけたらと。
竹田:しばらくeスポーツからは離れていたのですが、最近大きなeスポーツ案件を手伝わせてもらって。それをきっかけに色々考えた結果、日本のeスポーツをより良くするにはチームをやっていく必要があるなと思っていたところ、ちょうどTeam MVP創設者の Yunsang Choiさんとお会いする機会があり、韓国へ行きました。
そこで自分の考えや、こうすることでインターナショナルなチームに出来るのではないかということを彼に説明したらとても共感していただいて。その2日後には今回の話が決定になりました。
竹田:Team MVPはこれまでに総額600万ドル近い賞金を稼いでいますけど、次は1,000万ドル、さらに3,000万ドルにしたい。それを考えた時に、賞金を稼げるのはどのタイトルなのか。基本的にはやりたいからやるのではなく、ビジネスとしての判断でそのタイトルをやるということです。
自分のルーツであるCounter-Strike(CS:GO)はTier1タイトルですし、ぜひやりたいと考えています。これは、共同経営者のChoiさんも共感してくれています。
※補足:「Tier」は賞金総額や試合の視聴時間、SNSのファン数を元にeスポーツタイトルを格付けしたもの。
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Tier1、Tier2タイトルこそが本流のeスポーツなんですよ。Team MVPはグローバルでやっていくので、例えば日本でしか行なわれていないeスポーツタイトルで勝っても仕方がない。もちろん、国内でそれは自慢や実績になるのかもしれないですけど、日本というローカルな環境だけでの話。グローバルでの評価にならないと。
僕らはSK GamingとかNinjas in Pyjamasといった有名どころを世界の舞台で倒したいという意気込みでやっているチーム。ですので、ステージの考え方が違いますね。そこに一番近いアジアのチームであるMVPに日本の血を入れられる。こんなチャンスはそうそう無いですね。
竹田:単純に「強さ」と「意識の高さ」が最低条件。この2つは同時に持っていないと難しくて、面白さとか人気があるといった要素はプラスしてあればあるほど良いです。
例えば、韓国のゲーミングハウスに行って現地の選手達と3ヶ月練習しよう、となった時にホームシックになったりもするだろうし、そういう時に負けないモチベーションがある選手じゃないと厳しいですね。単純に「プロになりたい」というだけでは厳しいと思います。「トライアウトを受けさせて欲しい」とか自分がこうしたいというものがないと。
でもそういうやる気のある方からの問い合わせもたくさん来ています。メチャクチャきています。Overwatch、PUBGとかが多いかな。
竹田:これはインタビューで言うべき事なのかわからないですけど、Overwatchはファンの人たちから「元CYCLOPSの選手達を獲って欲しい」という要望をたくさんいただいています。例えば同等の実力を持つ2チームのどちらかを獲らなくてはならないという決断が必要な場合は、こういったファンから愛されている方を選ぶと思うので、そういう要素も大事だと思います。
個人的に見ている範囲だと、元CYCLOPSのta1yo選手、野良連合のWokka選手、CS:GOチームのAbsolute、Ignisなどは魅力的ですね。もちろん、すでに所属している選手を引き抜くとかそういうことはしません。
言いたいのは、こういう意識の高い選手にとってTeam MVPというのが非常に良いチームだと思っていて、彼らくらいのモチベーションがある選手はTeam MVPを意識して欲しいですね。踏み台にしてもらって、世界のもっと良いチームに移籍するというのもキャリア形成にとって良いはずです。選手売買をして儲けたいということでもなくて、より良いチームから獲得オファーが来るような選手になれる環境を用意しますということです。
竹田:Team MVPは韓国でSK TelecomやCJ Groupなど資金力が1~2桁違う財閥系企業がオーナーのチームと戦ってきて、総獲得賞金600万ドルと、世界16位のチームになっています。韓国の選手は世界的に見てかなり強い部類ですが、個人的には韓国人選手だけだとチームとしての成長は頭打ちになっていくと思っています。CS:GOでいえば、韓国内のシーンはかなり小規模で競技シーンとして成り立っていないに等しく、そこで世界を目指して活動していますがかなり厳しいのが現状です。
日本は格闘、韓国はRTSやMOBA、ヨーロッパはアクションみたいな得意ジャンルがあるじゃないですか。そういった各エリアの強豪を迎えながら日本、アジアパシフィック、ヨーロッパ、アメリカなどに進出していくことでTeam MVPのバリューをさらに拡大していきたいと考えています。韓国で補えないものを足していくというシンプルな考え方ですね。
今回はチームやクランというこれまでのやり方とは違って、フランチャイズ方式が良いと思っています。これがいまのeスポーツだと正しい考え方。いまのeスポーツチームはプロサッカーチームとかに近いですね。練習場やアリーナが必要。10年前にチームをやっていた時はこんな状況考えられなかった。
Yossy:アリーナどころか、ネットカフェでオフライン開催されるぞ!みたいなレベルでしたね
竹田:そう。「ネッカで日本一決めるぞ!」みたいな感じでしたよ(2000年代前半によく日本予選が開催されていたネットカフェ)。いまの人が聞いたらギャグと思うかもしれません。時代がそうなっている中、チームとしてのあり方もかわっていかないといけない。MVPとしてはいまに適した運営スタイルをとっていきたいと思います
竹田:創業者を含む経営陣、マネージャー・選手は全て残ります。変わるのは僕が共同代表になって、Team MVP Japanができるということだけです。
現在、MVPはチーム運営費に年間約3億円かけています。新たにDota 2をトップクラスの選手でやりたい場合、最低でも追加で年間約1.5億円かかります。Dota 2は賞金が高いので強ければプロフィット(利益)が出るんですけど、ギャンブルに近い。あと、Dota 2は選手の給料が半端じゃないことになっていて。Overwatch Leagueを目指すということも公言したので、今は投資を募っています。Overwatch Leagueは参入に35億円ほど、さらにチームの運営費用もかかってきます
Overwatch Leagueは本当に面白い話だと思っていて、現実に35億円近いお金を入れて参加するのが2019年シーズンは世界で20チームにもなります。でも、そこに日本人はいないわけで、僕としてはそこに日本人がいてほしい。MVPはアジアの中だと一番近いポジションに間違いなくいるので、目指してやっていこうよということですね。
竹田:全然調達にまでには至っていません。このインタビューを見て興味を持っていただける投資家の方、企業様がいたら説明させていただきたいのでぜひよろしくお願いします。Dota 2も、年間1.5億円かかるという話をしましたけど、マレーシアだとそれよりも安い額で同じくらいの選手を獲れたりということもあって、色々なやり方があるので興味がありましたら是非お願いします。そういう部分でのノウハウやカルチャーをTeam MVP Japanを通じてご提供していくということも出来ると考えています。
eスポーツが盛り上がっても、日本人が結果を残せないと意味が無いと思っていて。勝とうぜジャパンって。MVPと組んだからって、僕が韓国人になるわけでも韓国のチームに入ったわけでもなくて、同じアジア人として同じインターナショナルなチームとしてやっていこうということです。
竹田:韓国の選手達と接していると本気度が凄まじすぎて驚かされます。軍隊みたいな。MVPの練習施設は団地内に現在6つあって、例えば6階はPUBG、8階はCS:GOで、その上は違うPUBGチームで練習試合やってみたいな形で1日10時間以上やっています。ここで日本のチームも一緒に練習してもらうということも考えています。
補足しておくと、これはすごく豪華な施設ということではないです。現在の韓国経済状況を見ていただけばわかるとおり、贅沢な生活が出来るものではありません。でも環境が良くないと選手が育たないしシーンも活性化されないので、チーム自体をアップグレードしていかないといけない。施設が広くなる、きれいになるとか。そうすれば、選手も心にゆとりが持ててより競技に取り組むことが出来るようになります。ですので、チームの収益を上げて選手や施設に投資していきます。
竹田:社員でいうと、日本は5人ですね。
Yossy:JINGさんは何をやるのですか?
真田:マネージャー兼コーチですね。
竹田:韓国にはマネージャーが10人近くいて、マネージャーをまとめるチーフマネージャーもいます。選手のマネジメントがとても大切ですね。
Yossy:JINGさんは過去には選手として世界を目指して戦ってきて、その後は普通の仕事をされていましたよね。今回、eスポーツを仕事としてやろうと思った理由など教えてください。
真田:これまでは自分も一緒にやりたいなと思うような組織がありませんでした。自分達が4dNを立ちあげた時のような、SK GamingやNiPを倒して世界一になるということを本気で目指して取り組むという熱さみたいなものを感じられなかったというか。
今回、MVPの話を聞いてこれならば日本のeスポーツをより良いものにすることが出来るのではないかなと思いましたし、やりがいもありそうということで参加させてもらう事になりました。
竹田:当時上手くいかなかった理由は、環境というよりも自分が会社経営というものに対して知識や経験がなさ過ぎたのが一番ですね。当時は23歳とかで、一緒にやっていたメンバーにも経営のプロはいなかったのですが、今回は共同経営ですし資金もあるし人もいる。その後の経験で自分も経営について理解を深めたので、ビジネスのやり方は前より上手くなっていると思います。
竹田:僕のeスポーツ活動でいうと、4dNの後に『日本eスポーツ協会設立準備委員会』(JeSPA)の立ちあげをやって、そこからはSPECIAL FORCE2のチームを少しやったりということもありましたが、eスポーツからは離れていました。大会やイベントの現場に足を運んで体感するということはしていませんでしたが、Negitaku.orgで記事を読ませてもらったりしてシーンの動向をチェックはしていました。
当時(2008年頃)はポーカーの方に興味が向くようになっていて、日本ポーカー協会の理事になったり、「ガットショット」というポーカーマンガのプロデュース、ポーカーをプレーできるお店を作ったりとポーカーを普及させる活動をしていて、それから10年が経ちました。
竹田:いまは違います。これまでは個人・フリーとしてポーカーや音楽関連の活動をしていて、これからはTeam MVP Japanの会社を作って再びeスポーツ中心でやっていきます
イベントはまさにそれですね。あちらでeスポーツの取り組みをするという話になった時に詳しい人がいないということで、ある人を介して僕を紹介していただきました。
その前も、「一緒にeスポーツをやりましょう」というお誘いはいくつかいただいたのですけど、「チーム/大会をやりましょう」というこれまでと同じような話で、それって必ずしも僕でなくても良いなと思って。
でもさいたまスーパーアリーナを使ってeスポーツの取り組みをするというのは、他では出来ないことなので、そういうことであればぜひやりたいということで参加させていただきました、
やりながら先のことも色々と考えていたのですが、すごいことではあるけどこれもeスポーツにとっては点でしかないなと。あの場所で、あの演出でゲーマーが輝いて、eスポーツを知らない人にもリーチできるというのはとてつもなく素晴らしいことです。でも技術の向上が継続していくものではないので、そうなってくるとチームが必要だなと思いTeam MVP Japanをやることになりました。
竹田:そのような感じはありますね。でもそのバブルは一部の人の中での話で、正直、10年であまり変わってないなと僕は感じていて。4dNをやっていた立場からすると、高い意識や実力がある、4dNを超えるようなチームって出てきたのかなって思いますね。
Yossy:それはPCのFPSジャンルでということですか?格闘ゲームは海外大会に自分で行く人も多いですが。
竹田:そうです。こんなに環境がよくなった時代だから、もっと自分たちの力で海外に出て行くチームがあるべきなんじゃないかって。CS:GOだと Absoluteや Ignisくらいですか。僕が知らないだけで他にもいるのかもしれませんが。
あとはスター性のある選手がいない。昔でいう BoxeRとか(※補足:StarCraftシリーズのカリスマプレーヤー。現在はプロのポーカープレーヤーとして活躍)みたいなカリスマ性のある選手やチームがないように思いますね。
いまeスポーツが日本で盛り上がっていますが、これは活字にしてしまうとキツく感じるかもしれませんけど、僕からすると本当のeスポーツではないなと。eスポーツってPCゲームで競い合うのがルーツになっていると思っていて。そこに家庭用ゲームやモバイルゲームが入ってきてeスポーツ畑を耕しているのが今の状態ですが、そこのバランスがおかしいと感じています。
竹田:日本だから家庭用ゲームのeスポーツ大会が行われているのは良いことだと思います。でも、世界の人たちから見た場合の「王道であるeスポーツ」という定義に当てはめて進められているかというと、そうはなっていません。それが間違っているということではなくて、僕からしたら違和感があると。
テレビなどでタレントさんやアイドルの方にやってもらったり、プロゲーマーを面白おかしく取り上げたりというのも、みんなに知ってもらうということでは良い取り組みだと思います。
でもeスポーツの根底はゲームで誰が強いかを競うこと。お金やスポンサーがいなくても、世界を目指していくみたいなところじゃないかと思うんですね。「eスポーツ元年」と言われるこの状況であれば、そのような活動がもっとしやすくなるようにしていかなければならない。いまのチャンスでやらなければ、次はまた10年後になってしまうかもしれない。
日本eスポーツ連合さんにはもっとTier1と2のタイトルに目を向けて欲しいとは個人的に思っています。
竹田:eスポーツとオリンピックの件に関しても言いたい事がたくさんありますよ。
あれはテンセントさんとか、メーカーの大会にしたらダメですよ。
日本のメーカーさんに言いたいです。本当にオリンピックでeスポーツをやりたいのだったら著作権を放棄したゲームを作ってオリンピックに献上するのが一番の近道だと思います。そういうことが実現すれば、日本は格闘ゲーム以外の部分でeスポーツをやっているという認識を初めて世界でされるかもしれないですよ。
サッカー、野球、水泳などオリンピックで採用される競技は誰のものでもないじゃないですか。でもeスポーツの場合は、ゲームはメーカーさんが作った商品で、それを使ったらオリンピックという名のメーカーのためのPR大会になってしまいます。eスポーツがオリンピックに採用されるというのも素晴らしいけど、やはりちゃんとやってほしいなと。
あとは「オリンピックにeスポーツ採用されるかも、すごい!」という事ばかりで盛り上がっていて本質であるeスポーツに目を向けてもいない人も多いですね。Team MVPを通じてそれを知ってもらう努力をやっていきたいと思います。オリンピック等の方はそちらにやってもらって、僕らは本質の方をやっていくと。
竹田:(笑) でも今回の本質はそういうことですよ。まだ見ぬeスポーツがあるということを感じきれていない人は多いと思いますので、Team MVPを通じてそういう世界をお見せすることが出来ると思います。そうなれば応援の熱量やeスポーツに関与する人が増えて、日本のeスポーツがもっと大きくなっていくはずです。
日本が世界で活躍出来る舞台を作っていくので、ぜひ応援して欲しいです。Team MVPに興味のある方は、ぜひ下記の連絡先からご連絡をください。
連絡先
buddha@teammvp.gg
https://twitter.com/teammvpjapan
http://instagram.com/buddhajpn
あと80%も話題を残している、というフリーザ様のようなTeam MVP Japan。現在はゲーミングハウスや所属選手獲得の準備を進めているとのことです。
韓国プロゲームチーム『Team MVP』が日本進出、2005年に日本プロチーム4dimensioNを立ちあげた竹田恒昭氏が代表に就任