『League of Legends』の日本プロリーグ王者を決定する『LJL 2018 Spring Split Final』で、 PENTAGRAM が大会史上初となる4連覇を達成しました。
『LJL』のファイナルは、毎年勢いを増し次々と大規模な会場に戦いの場を移して開催されてきました。
2018年は、東京・中野のゲーミングスペース『Red Bull Gaming Sphere Tokyo』で毎試合をオフライン観戦(事前応募制・無料)出来る方式が採用され、約100人ほどが現地観戦可能。ファイナルもこちらでの実施となりました。
毎回会場規模が拡大されファンからの期待も高まっていただけに、今回は会場が小さくなり大勢で観戦出来ない事について、残念という意見が多く見られました。
この決定について、ライアットゲームズディレクターの齋藤亮介氏はALIENWARE ZONEのインタビューにて「いまライアットがLoLのために本当にやるべきことを考え直した結果」という趣旨の回答をされています。こちらは、『League of Legends』のプレーヤー層を拡大するという新規獲得にフォーカスしているということかと思います。
そんな中、有志が立ち上がり東京都内で5つのパブリックビューイングの開催が決定しました。今回はファイナル会場の試合メインではなく、これらのパブリックビューイングを全てまわってみることにしました。
日本テレビのeスポーツ好きが集う「日テレeスポーツ研究会チーム」が、東京・汐留の「日本テレビホール」でパブリックビューイングを実施。
今回の企画について、「日テレのFaker」(同僚の方談)こと小林大祐さんにお話を聞いてみました。
―「日テレのFaker」とはすごいですね(笑) ご自身もLoLをプレーされているのでしょうか?
小林: はい。楽しんでプレーしています。実際はシルバー5ですが(笑)
―今回、パプリックビューイングを開催しようとしたきっかけについて教えていただけますか?
小林: 去年から日本テレビの有志で「eスポーツでなにかをできないか」と考えていました。LoLは世界一のeスポーツゲームですし、ぜひやりたいなと。
前回のファイナルは幕張イベントホールに4000人以上が入ったそうで、自分も行きましたがすばらしかったですね。ただ、今回は会場が小さくなってしまったことに関連して「パプリックビューイングをやってほしい」というツイートを目にしました。
日テレには普段イベントや映画の上映をやっている日テレホールがあるので「ここで出来ないか」と思ったのが開催のきっかけです。
―この規模のパプリックビューイングを実現するのは大変だったのではないかと思いますが、どうでしたか?これだけたくさんのLoLファンが来ての感想はいかがでしょうか。
小林: 思いついてすぐにライアットゲームズさまに連絡をしたところ許可をいただけて、日本テレビの総務にも「こういうことを考えているけど可能ですか」と確認しまして実現することができました。
今回、400人が満席となりまして熱狂を感じています。ゲストとしてプロ選手やキャスターのkatsudionさんに来ていただけたり、有名なストリーマーさんも「行きます」とツイートしてくれたり、開催が決まったら日テレホールのテナントさんが「お弁当を売ります」と声を上げていただいたりと、箱を用意しただけだったのが、コミュニティの力でどんどん大きくなっていきました。大変うれしく思っています。
LJL 2018 Spring Split Final 日テレホール会場 pic.twitter.com/TyRrbHgDan— Yossy (@YossyFPS) 2018年4月14日
会場は400人の定員が埋まる盛況。集まったファンも熱狂的です。
『e-sports SQUARE AKIHABARA』では、プロチーム Rascal Jesterのメンバーをゲストに迎え『League of Legends』を一緒にプレー出来る、LJLを観戦出来る、LoL好きとコミュニケーション出来るという様々な楽しみ方を提案するスタイルでイベントが行なわれました。
店舗の運営会社『RIZeST』の高橋晃平さんにお話を聞きました。
―eスクでパブリックビューイングを開催することにしたきっかけについて教えてください。
高橋: 『LJL』は去年まで大きい会場で成長していったと思うんですけれども、大きい場所でやるだけがお客様の満足に伝わるわけではないのではないかという違う視点から、我々の「e-sports SQUARE AKIHABARA」という場所でも楽しんでいただきたいという思いで開催しました。『LJL』ファイナルという、LoLファンにとって最高の1日を当店の方でも何かお手伝いさせていただけたら良いなと。
―開催してみていかがでしょうか?
ウチはお客様にパブリックビューイングを見ていただくだけではなく、ゲームをプレーできるということを売りにしたくて、今回 Rascal Jesterのみなさんにゲストとしてお越しいただいて、彼らの交流を楽しんでいただいたりとハイブリッドな構成での企画としました。
我々は過去に「SQUARE GAMING PARTY」というイベントを開催していまして、要はオフ会なんですね。今回は岡山からご来場いただいた方もいて、みなさんに様々な形でLoLを楽しんでいただけているのではないかと思います。
株式会社CyberZのゲーム動画配信プラットフォーム『OPENREC.tv』は、スポンサーを務める DetonatioN FocusMeの応援パブリックビューイングをベルサール渋谷ガーデンで開催しました。
試合終了後、 DetonatioN FocusMeのメンバーが会場に訪れたファンの前に駆けつけてくれたそうです。
【LJL 2018 Spring Split FINAL】
DetonatioN FocusMeアツイ闘いを本当にありがとう
選手の皆様お疲れ様でしたそして、会場で応援してくださった皆様もありがとうございました。
来シーズンの戦いもお楽しみに…#LJL #OPENREC pic.twitter.com/Re1wOU2UHV— OPENREC公式 (@OPENREC) 2018年4月14日
主催者の方に開催のきっかけについてお聞きしようとお願いしたのですが、担当者の方がイベント対応中だったのと、個人的な時間の都合で残念ながらこちらではお話を聞くことが出来ませんでした。
東京・巣鴨の「ROYZAN PARK巣鴨」では、「ぱぶびゅ実行委員会」によるパブリックビューイングが行なわれました。こちらは飲食付きで参加費3,000円という企画でしたが、かなり熱狂的なファンが集まり、独特の空間を作り上げていました。
ぱぶびゅ実行委員会の めると さんに「ぱぶびゅ」について質問をぶつけました。
―「ぱぶびゅ」ものすごく盛り上がっていますが、開催しようと思った理由をおしえていただけますか?
めると: なぜパブリックビューイングをやろうと思ったかというと、今回のファイナルは以前よりも会場が小さく、現地で試合を見ることができる人が少ない。「オフラインでみんなと一緒に盛り上がって観戦する」という体験が出来ないのは、すごくもったいない話だなと思いました。
一昨年・去年と、どんどん大きくなる『LJL』のファイナルを実際に会場で体験しているので そういう機会に触れられる人をできる限り増やしたいなということで今回企画しました。
―「ぱぶびゅ」はコミュニティとして開催されているのですか?
めると: 元々、個人でパブリックビューイングをやろうと思っていました。 学生主体でパブリックビューイングをやろうとしていた そーわっと君から、「一緒にやりましょう」という話をもらって、LoLの大会などを企画している「ENLIFE」さんともご一緒しようということになり、「ぱぶびゅ実行委員会」という形で開催しました。
―ものすごく熱狂的なイベントになっていますが、開催してみての感想は?
めると: 日本テレビさんや『OPENREC.tv』のCyberZさんなど、大きな企業様による無料の大規模パブリックビューイングがまず立ち上がったじゃないですか。僕らは後発ですし、入場料3000円を取って、皆様から色々と持ち寄っていただいてということでしか成り立たないイベントだったので不安な部分は多かったんですけれども、様々な方にご協力をいただけて100人近くが参加するイベントになって感動しています。
まさか、こんなにたくさんのLoLファンの皆様からご協力を頂けると思っていなくて。参加者のみなさんのおかげだと思います。こんなに集まってくれるなんて、LoLが好きな人の熱量は本当にすごいです。
LJL 2018 Spring Split Final #ぱぶびゅ 会場
コミュニティイベントだけあって熱狂的。 pic.twitter.com/s0TGW2ZBJN— Yossy (@YossyFPS) 2018年4月14日
東京大学、慶應大学、東京工科大学のeスポーツサークルが合同開催した新入生歓迎イベント『新歓LoLフェス』の第2部として、LJLのパブリックビューイングが行なわれました。
こちらは一般公募は行なわれておらず、学生サークルに加入した新入生たちのみが参加出来るイベントで、ライアットゲームズが展開する学生支援プログラム『LeagueU』も協力し、東京・池袋に新たに誕生したeスポーツ施設「LFS 池袋 esports Arena」で実施となりました。
残念ながら、到着するちょっと前に PENTAGRAMの優勝が決まっており、パブリックビューイングの様子は確認できませんでした。
LeagueU公式Twitterでパブリックビューイングの写真が紹介されています。
「新歓LoLフェス」は第2部:LJL FINAL PVに!
会場にはピザハットさんからピザを提供して頂いたのでピザと共に盛り上がります!#LeagueU #新歓LoLフェス #LFS池袋 #ピザハット pic.twitter.com/ak4wPxS570— LeagueU公式アカウント (@LeagueUOfficial) 2018年4月14日
東京工科大学のeスポーツサークル「A2Z」前代表 森田夏生さんにお話を聞きました。
―今回のイベントやパブリックビューイングについて教えてください。
森田: 新しく出来た「LFS 池袋 esports Arena」という素晴らしい会場で新入生歓迎の「新歓LoLフェス」という合同イベントを開催できることになりまして、LoLが好きな学生が集まりますし、『LJL』ファイナルの開催日ということでパブリックビューイングを合わせて開催することになりました。
―新入生の方はどのくらいいるんでしょうか
森田: 新入生は80人くらい参加してくれています。在校生が20人くらいで、今回は100人くらいのイベントになっています。
―80人はすごいですね。皆さんLoLの経験者なんでしょうか?
森田: 基本的にはすでにLoLをプレーされている方が多いですが、全くの初心者という方も十数人ほど参加してくれています。これまでの中だとそれなりに多いのかなと思います。
パブリックビューイングとは違う話になりますが、じゃんけん大会で最後の方に勝ち残った人はそれぞれ自己紹介をしていて、「好きなチャンピオンは○○でスキンを全部持っています」「マスタリーポイントが○万を超えています」「サブアカウント名は○○」など、『League of Legends』が好きな人ならではのコメントで親交を深めているのが非常に良いと感じました。
「これすごく良いなあ。自分が学生の頃にこんなサークルあったら入りたかったですよ。LoLがきっかけで仲間がどんどん増えるなんてすごい」とRascal Jestre代表の大川さんに熱く感想を伝えていたら、「普通にめちゃくちゃうらやましがってるじゃないですか」とツっこまれました。
5つのパブリックビューイングを訪れて感じたのは、主催者の方々がそれぞれ『League of Legends』に対する愛や熱い想いを持っているということでした。
「日テレのFaker」こと小林さんにお話を聞いた時に教えていただいたのですが、参加者に事前アンケートをとったところ日テレ会場を訪れた400名のうち多くが「シルバー」ランク以上のLoLファンであったとのこと。他の会場の状況はお聞きしなかったので比較は出来ませんが、『LJL』はある程度ゲームをたしなみ競技シーンに対する知識があり、さらにイベントにも足を運ぶというある程度コアなLoLファン向けのコンテンツという側面が強くなっていると考えて良さそうです。
「eスポーツ」としてのLoLは、コミュニティの生態系的にはピラミッドの上部にあたる部分になると思うので、ここを維持し伸ばして行くには、裾野である新規層を常に増やしていく必要があります。
そういった狙いもあり、2018年の日本展開においては、無理矢理の『LJL』規模拡大は目指さず、新規層の開拓に向けた施策にフォーカスしているのかと感じました。
『League of Legends』の世界に足を踏み入れてその魅力に気付く人が増え、今回のようなファンの想いが通じるイベント等を通じて、その熱量がライアットゲームズに届けばまたこれまでのような大規模会場の『LJL』を見ることが出来ようになる日がやってくるのではないかと思います。
パブリックビューイング写真
PENTAGRAMは、今シーズン問題発生によるペナルティで5ゲームを没収される不利な状況からレギュラーシーズンを勝ち抜きファイナルに進出。
対戦カードは今回もLJL伝統の一戦となりましたが、レギュラーシーズン全勝の『DetonatioN FocusMe』に対して、ファイナルでは3ゲームでタワーを一本も渡すことのない完全勝利で優勝を達成しました。
試合結果
PENTAGRAM は2018年5月にドイツ・ベルリンで開催される『2018 Mid-Season Invitational』のプレイイン & グループステージに日本代表として出場します。
#LJL 2018 Spring Split #PGMWIN@Pazloll @Once_lol @Ramune1126 @yut_moyashi @Gaeng_lol pic.twitter.com/82t715peaL— LJL公式アカウント (@Official_LJL) 2018年4月14日
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