芸能プロダクション「吉本興業」がeスポーツへの参入を正式に発表しました。
公式発表によると、吉本興業は日本におけるeスポーツの認知と競技人口の拡大、競技力の向上に寄与すべくeスポーツに参入したとのこと。
吉本興業は105年間の歴史において寄席、ラジオ、テレビなど外部環境の変化に対応したビジネスを展開をしており、世界市場で大規模に成長するeスポーツに参入するのはエンターテインメント会社として自然なことであると説明しました。
今回のeスポーツ参入にあたり、主に下記3つを中心に事業を展開していくそうです。
1. プロチーム「よしもとゲーミング」の運営
DeToNator、 AKIHABARA ENCOUNT、 Libalent、 Extractor といった国内プロチームと提携し、吉本とのダブルブランドでチーム展開が行なわれていきます。
pic.twitter.com/BofkxkmrFr— Libalent (@TeamLibalent) 2018年3月7日
2. 配信
3. イベント
吉本所属プロゲーマー
また、吉本興業の芸人3名がプロゲーマーとして契約したことも発表されていました。
よしもと初のプロゲーマーに次長課長・井上も惨敗! 吉本興業 e スポーツ事業概要発表記者会見 https://t.co/Z3ifX518Gf pic.twitter.com/G78towA6Id
— よしもとニュースセンター (@yoshimoto_news) 2018年3月7日
動画配信サイト「Extractor」にて、記者発表の配信アーカイブを見る事が出来ます。
個人的に気になるのはやはり『Dota 2』の YOSHIMOTO DETONATORです。
『Dota 2』は2017年の公式世界大会『The International 2017』が賞金総額「$24,787,916(約26億円)」というeスポーツ史上最高賞金総額で開催されました。この事実は日本のメディア記事、イベント・チームのプレスリリースにおいてeスポーツの熱狂や規模感を紹介する際に良く引き合いに出されますが、その後に続く話題は別タイトルの話というのがほとんどで、『Dota 2』というタイトル名すら出されないということもしばしばです。
『Dota 2』は日本では残念ながらそれほど人気ではないため仕方が無い部分もありますが、日本の大手芸能事務所の吉本興業が、 DeToNatorと組みこの『Dota 2』に3~5年の長期スパンで取り組み世界一を目指すという決断をしたというのはとてつもないことです。
近年、東南アジアエリアは欧米の有力選手が移籍してくるなど非常にハイレベルになってきています。DeToNatorのフィリピンチームは2018年1月に始動したばかりで主だった成績はまだ残せていませんが、世界大会出場経験を持つ選手も所属しており、Liquipediaの東南アジアリージョン有力チーム一覧に名を連ねています。チーム公式サイトの発表によると、今後積極的な補強も実施していくそうで、まずは東南アジアリージョンでトップクラスのチームとなることが当面の目標となるでしょう。
なぜ日本のDota 2チームではないのか?
DeToNatorは過去に日本のDota 2チームを保有して活動を行なってきましたが現在では解散となっています。2017年頃より、DeToNatorは海外選手と契約する割合が高くなっており、2018年2月に開催されたトークイベント「『ゲーム』を仕事にするという選択 江尻 勝『プロゲーマー』かく語りき」の質問コーナーで「DeToNatorが海外展開に注力する理由」について質問してみました。先のリンク先記事には話の流れ的に書いていませんが、「世界を目指す」ことを前提にビジネスとして選手達に投資する場合、現状では日本選手よりも海外選手の方が取り組み姿勢や実力的に結果を期待出来るから、というのがその時の回答でした。これがまさに、今回の「世界一を目指す」という前提のDota 2展開において、日本チームではなくフィリピンチームが選ばれた理由と言えます。補足しておくと、DeToNatorは日本の選手を切り捨てているわけではなく、考え方が合い、将来性ある選手とはぜひ取り組みたいという方針も持っています。
吉本興業が『Dota 2』に参入したことがきっかけで日本でもプレーヤーや大会が増えたりということがあれば、DeToNatorに限らず他のプロチームも参入してくれるという展開を期待出来るかもしれません。
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