2018年3月4日、プロチームDeToNatorと東海テレビがeスポーツイベント『Nagoya eSports Festival Vol.0』開催。
この中で、黒川塾を主催するメディア評論家・黒川文雄氏がホストを務めるeスポーツを題材にしたトークショーが実施されました。
トークショーでは、当日のイベント関係者であるプロゲーマー、ストリーマー、パブリッシャー、メーカーの担当者が5つのテーマについてそれぞれの立場から語りました。
黒川文雄氏、DeToNator代表江尻氏、DeToNator AVA部門するがモンキー選手、DeToNatorストリーマーYamatoN氏、エヌビディア谷口氏、ASUS佐藤氏、Alliance of Valiant Arms運営プロデューサー井上洋一郎氏
まずは自己紹介と合わせて「プロゲーマー」について語りました。
するがモンキー
プロゲーマーになる前はプロボクサーでした。プロボクサーの時に趣味でゲームをやっていました。復帰できないくらいくらいのおかげで大ケガで(プロボクシングを)引退したのですが、ボクシングの代わりにゲームに情熱を注いだ結果、プロゲーマーになりました
YamatoN
僕はいまプロゲーマーとは異なるストリーマー・配信者としてゲームを広める活動をしているんですけれども、僕が考えるプロゲーマーは、「競技シーンで競い合って、そこで生まれる感動や興奮を人に伝える仕事」だと思っています。
エヌビディア谷口
僕が思うプロゲーマーは、YamatoN氏がいったように競技シーンで活躍して、なおかつ優勝して賞金を稼ぐということがひとつ。そして、ファンなどたくさん見てる方がいるので、広告塔として活躍するというのが僕の考えるプロゲーマーです。
ASUS佐藤
(黒川: メーカーとしてシーンに期待することや関わってきた話があればお聞きしたい) ハードウェアメーカーとして(DeToNatorのスポンサーを)始めた理由としては、DeToNatorさんは圧倒的に見ている人が多いということですね。メーカーの立場としては、商品をさりげなくでもなんでもいいので見せてくれるのが選手の方たちなので。
(黒川: 集客やアピールとは全然違いますか?)全然違いますね。触ったことがないけど使ってみたいという人はいるので、選手にその商品を宣伝してもらえればと思いスポンサードをみさせていただいたという形です。
ゲームオン井上
AVAをサービスしている以上は、AVAというコンテンツを盛り上げていただくために競技シーンをきちんとして盛り上げたいという思いがありますの。チームというものを盛り上げて、そこからプロが生まれてくるといいなという思いでやっておりました。先駆けとして DeToNatorが出てきてくれたのはとても嬉しく思いますし それに続くチームがたくさん出てきたということがあったので、そういう流れをもっともっと加速 できればなという思いを持って見ていました。
谷口
まず大きく必要なものは、世界大会に行ける日本予選とか。大会自体がまだ少ないのかなと。それに加えて賞金ですね。アジアに比べて少ないのかなと思いますね
(黒川: この前、日本eスポーツ連合が発足しました。私は前向きに捉えているのですがその辺りの動きについてどうでしょうか。ライセンスについて何かを考えはあるでしょうか)
賛否両論は色々あると思うんですけれども、今の日本の法律上、あるタイトルでは世界大会で賞金が5000万円ほどあったのですが、日本は賞金が得られなかったということがありました。そういう点をクリアできるということでは非常に大きいものだと思います。もしプロライセンスを持っていて、彼ら(日本eスポーツ連合)が求めていない大会に出場した場合にペナルティが課せられるということになると少し、選手の活動が制限されてしまうということで、僕は懸念していますね。
井上
大会があってこそのプロゲーマーだと思っていますので、我々パブリッシャーがやる大会の他に、コミュニティから成り上がっていく大会というのが少ないかなと思っているんですね。そこに協賛する企業もまだまだたくさん必要でしょうし、まずは大会を開催してほしいですね。
YamatoN
eスポーツというものをもっと楽しむ人が必要だと思っています。僕は今ストリーマー・配信者として活動をしていて、ゲームを楽しいと思える人を増やす活動しているんですね。
「ゲームが楽しい」「eスポーツが楽しい」と思えるう人が増えれば、大会を開くことにメリットが生まれるわけじゃないですか。より多くの人に見てもらえるようになると。そうしたら大会も開かれるようになるし、さらに価値も付くわけじゃないですか。そうしたら賞金だって出るし、大会の数も賞金も増えて、さらにあこがれる対象となるから強いプレーヤーになりたい、ナンバーワンになりたいという人が増えると思うで、僕はゲームを楽しむ人をもっと増やしていくことが重要なんじゃないかと思っています。
するがモンキー
ゲームに対する考え方が一番じゃないでしょうか。やはり日本では「ゲームは遊び」という考え方の方が多いと思います。海外の世界大会とかを見るとスポーツを見るようにお客さんが盛り上がっているんですけど、日本の大会を見るとお客さんの盛り上がり方が違うんですね。今日のPUBGイベントみたいに盛り上げていけば、選手たちもプロの意識というのもおかしいんですけれども(※意識を持てるようになるということかと)、どっちも楽しいと思うんですね。だからゲームに対して見方と言いますか、考え方がか関わっていけば全体的に良くなっていくんじゃないかとかなと思います。
江尻氏
足りないものはたくさんあると思っていてそれを世界と簡単に比べて日本は足りないねではなくて、日本独自で発展するものはいいかなと。すべて比べるものではなく、日本で活動する選手戦士たちがまずちゃんと活動して生きていける環境を作ることが僕は優先かなと思いますね。
するがモンキー
色々あると思うんですけれども、お金をもらったらプロとか。 僕の中では お客さんを楽しませることかなと思いますね。
やっぱりプロだよなというような、プロだからできるんだなというようなものとか、やはり楽しませることかなと。このトークは全く楽しませられてないんですけれども(笑)
YamatoN
僕が思うプロフェッショナルゲーマーは、ゲームを競技的にやることによって、経済的価値を生み出す存在。
競技的にプレーすることによって(生まれる)ギリギリの試合を見てそれを楽しいと思った人たちが多く見てくれて、それがお金に変わったりとかそこにメリットを作ったりとか。それを作るのがプロフェッショナルじゃないかなと僕は思っています。
谷口
2つあって、1つは強さです 2つ目がスポーツマンシップがあるかどうか。
強いプレイヤーというのはもちろん魅力的なんですけれども、ソーシャルメディアとかでの発言とか、こういったオフライン大会での振る舞いとか、スポンサーの立場からすると 常に気にしてるところです。ですので、強くて皆さんに愛されるようなスポーツマンシップを持ってる方というのがプロフェショナルかなと僕は思います
(黒川: 海外では暴言を吐いたりSNS でよくない発言をしたりという方はいらっしゃるんでしょうか)
いますね。そういう方はコミュニティから除外されてしまいます。そうするとチームからも除外されてしまうというのが前例としていくつもあります。やはり先ほどの2個がうまく両立できてないと、スポンサーからもコミュニティからも受け入れがたい選手になってしまうのではないでしょうか。
佐藤氏
谷口さんがおっしゃったとおり、スポーツマンシップというのもありますが、やはり数字に対してコミットしていくというのがプロとして大事なところですね。このイベントに何人来て欲しいとのがやはりあるじゃないですか。そういうところに対して目標を持ち、数字に対して貪欲にきっちり取り組んでくれるのは、スポンサーからすると重要なことかなと思いますね。
井上氏
パブリッシャーはライセンスを受けてサービスしているところなので、お客さんがたくさんいて収益を得られられるということは大切なことです。そのためにeスポーツが必要かというとそうでない事もあるんですけれども、(AVAが)こういった競技ゲームである以上は、そういった人たちをどんどん増やしていかないと気持ちを持ったプレイヤーが増えないので、どんどん盛り上げていけるようそういった方々をサポートできるようにしていきたいと思っています。プレイヤーさんありきで、我々がそれに寄り添ってサポートしていくという姿が、我々としてのプロフェッショナルかなと思います。
江尻
本当にもうその通りで、自分たちが心がけてることとしては、自分たちの立場は何も偉くないんですよね。本当に多くの人たちのサポートがあって、あくまでもその一つなんですね。それを勘違いして、自分はゲームが上手いからとか有名だからと言うのでは話は一切通用しないんですね。ゲームタイトルコミュニティに対して自分たちが寄り添う立場なんですね。寄り添い方で発展していくし、一歩間違えると崩壊してしまう。それくらい自分たちの立場というのを伝える側なので、もう少し慎重にいかないと。僕がよく言う「ゲームうまいぜイエーイ」とかは、今後 1ミリも通用しないだろうなと思っていますね。
江尻
2024年に私生きているかわからないですけれども(笑)
やはりオリンピックというのはまだまだ言葉が先行しているというイメージです。まだ地固めも何もできてないので、非常に冷静に見ています。
パリだろうがどこだろうが、これから「オリンピック」という名前で出てくる物に対しては、非常に慎重に行っていかないといけないと思っています。未来に対しては明るいと思うんですけれども、そこへの道筋というのは慎重に見ていきたいと思っています
するがモンキー
以前、ラグビーがバッとメディアに出たじゃないですか。こんな言い方は失礼かもしれませんが、それまではマイナーと言うか。そのように(eスポーツも)取り上げられたら世の中に一気に広がるので、そういった意味では未来は明るいんじゃないかと思いますね
YamatoN
オリンピックというのは非常に大きな器だと思うんですけれども、中身が伴ってないと大きいものとして取り扱われた時にもう二度と(評価が)覆らないので、それまでに準備ができるのかとか、そういったところが僕は気になりますね。
谷口
僕もYamatoN君と同じ意見で、今のeスポーツってゲームをやったことがない人が見た時に、なかなかルールを理解していなかったりするので、そうすると応援したり楽しんだりすることができないので そういった観戦の部分をもうちょっと改善していけたら、今後のeスポーツがオリンピックに採用される可能性もあるんじゃないかなと思います。
佐藤
6年ってあっという間なんですよね。ハードウェア側としては6年間でハードウェアの技術がどんどん(先に)行っちゃうんですよ。そういったときにフラットな環境で競技としてやってほしいというのはありますね。ハードウェアメーカーとして、どんなところがスタンダードになっていくかということを選手に伝えたいですし、プレイヤーやお客様にはもうそういったことを知ってもらいたいなと思っていますね。
井上
シリアスなシーンがあるとオリンピックの精神に沿っていないということで、(オリンピックに合った)ゲームってそれほど多いわけではないと思うんですね、そういう(オリンピックに適切な)ゲームが今後出てくこないといけないでしょうし、そういったゲームにプレイヤーがいなきゃいけない。マイナーからメジャーまであったとしても、そういったゲームがない限りは、やはり取り上げられないと思うので今後メーカーはどうして行くのかなというのが気になります
するがモンキー
他と何かかぶらないことですね自分をやっぱり持たないと人気は出ないんじゃないですかね。いろいろなゲーム実況者がいる中で人気になろうと思ったら、かぶらないようにするしかないですよね。
僕はちょっとうまく説明できないですけれども(笑) そこは(人気ストリーマーの)YamatoNさんの方が。
YamatoN
練習の方法論とかたくさんのことがあると思うんですけれども 一言で言うと熱意をもってやるということだと思います。
僕はあるゲームで熱意をもって取り組んで自分のお金で海外に行って強豪チームと練習したりしてきたのですが、そういう熱意というものはうまくなる糧になると思うので、諦めずに頑張って欲しいなと思います。
谷口
企業側はユーチューバーやストリーマーをインフルエンサーと呼んでいるんですけれども、eスポーツプレイヤーよりもさらに数字を持っていて影響力のあるお仕事だと思っています。我々ハードウェアメーカーや企業側からすると、これからもっともっと出てきてほしいなと思っています。
江尻
覚悟それだけです。
やるんだったら徹底的にやるそこしかないですね。