日本のeスポーツ大会運営団体『JCG』が外部大会における不正ツール利用者を排除していく方針を明らかにしました。
『JCG』は自らが主催する大会におけるチートの使用について、最も重い罰則「追放処分」を課しています。
今回、『JCG』主催大会以外での不正ツール使用が確定している参加者について出場を認めない方針を発表しました。
大会外での不正ツール使用者の出場を認めないケース
『JCG』はこの厳格な方針を決定した理由について、以下のように説明しています。
なぜこのような厳しい、不可逆的な対処とするのかという点については、例えば、JCG大会で「正当に」活躍することで、不正ツール使用の経歴を「無かったことにする」可能性があるためです。不正ツール使用者に対して、このようなキャリアパスを意図しないに関わらず提供することは、不正ツール使用の敷居を下げる結果に繋がると考えています。特にJCGのような「誰でも参加できる」ことを標榜しているオープン大会では、修正すべき重大な問題です。
従って、あらゆる不正ツール使用経験者にとって非常に厳しい対処となりますが、JCG運営としては、不正ツール使用について、そのリスクが最大にならなければ抑制にならないと考えており、少なくとも一度でも使用が発覚したプレイヤーの大会参加は容認することはできないと考えています。
今回の決定に関連する話題として、先日開催されたOverwatch大会『GeForce CUP: Overwatch powered by Level∞』で3位入賞となった のすけのサブだぞ のメンバーが過去に不正ツールを使用していたことが明らかとなり、入賞が取り消し処分となりました。
不正ツールの使用が発覚したのは、 のすけのサブだぞのメンバーとして出場していた Charaa 選手です。 Naturals北海道 が同選手を不正ツール使用者と認識した上で新メンバーとして加入させたことを発端として大騒ぎに発展し、最終的に脱退処分が下されました。その説明の過程で様々な不正ツール使用が明らかにされています。
今回の『JCG』による発表は、この問題に関連しての問い合わせ等に対応したものと思われます。
「eスポーツ」における不正ツール使用は「スポーツ」でいえばドーピングに当たるものと考えられます。
プロスポーツのリーグでは、アンチ・ドーピングに関する特設ページを設けたり、「公共財団法人 日本アンチ・ドーピング機構」に加盟するなどして対策・撲滅を行なっています。
プロ野球の場合は、ドーピングが発覚した場合、調査を経て一定期間の公式試合出場停止、最も厳しいもので無期限の出場資格停止となります。
ドーピングが禁止される理由について、プロ野球のガイドでは以下の4つが挙げられていました。Jリーグもほぼ同様です。以下の解説部分はJリーグサイトから引用です。「薬物」を「不正ツール」、スポーツを「eスポーツ」や「ゲーム」に置き換えて読んでみてください。「eスポーツ」における不正ツール使用禁止の理由としての説明にもなり得る内容だと思います。
現状、不正ツール利用者に対する処分は出場禁止期間などを含めて各種大会主催者が決定しています。また、『Counter-Strike: Global Offensive』ではゲームを展開するValve社が公式大会への永久出場処分を決め、各種大会がこれに追従したという事例があります。
ルールとしての「許す・許さない」はこのように「大会主催者」や「ゲームの権利者」が下していますが、選手やファンの気持ちとして「許す・許さない」という判断もあります。
競技者としてeスポーツに関わる選手達や多くのゲーマーは、アンフェアな不正ツール使用者を認めないという人が多いのではないでしょうか。2017年5月には以下のような事があり、大きな話題となりました。
一方で、若気の至りや一時の過ちで選手生命が絶たれてしまうことに対して救済策はないのかという意見もあります。今回の事例として出てきた Naturals北海道やVexed Gamingが不正ツール使用者を登用したのはそのような考え方に基づいていると推測できそうです。
個人的に、こういったチートや不正ツール使用の話題については時間を割いて書くのはうんざりで、今後2度と起きて欲しくないと思っています。