『Alliance of Valiant Arms』の台湾プロリーグ『A.V.A Elite League 2016 Spring』の王者を決定する決勝戦 DeToNator [vs] ahq e-sports clubが6/5(日)に台湾 Garena E-Sports Stadium で実施されました。
『A.V.A Elite League 2016』は台湾で実施されているプロリーグで、 DeToNatorを含む6つのプロゲームチームが出場。
レギュラーシーズンでは総当たり戦を2回実施し最終順位のうち上位4チームがプレーオフに進出し、決勝戦はレギュラーシーズン1位の DeToNator と2位の ahq e-sports clubというライバル対決となりました。
世界大会でも幾度となく名勝負を繰り広げてきた両チームは、レギュラーシーズンにおける2回の対決で1勝1敗の成績。 ahq e-sports clubのホームともいうべきGarena E-Sports Stadium における三度の目の直接対決で今シーズン本当に強いのはどちらのチームか決定されるという図式でした。
結論からすると、 ahq e-sports clubがパーフェクトゲームを含む3マップ連続勝利の完勝で DeToNatorを下し優勝という結果となりました。
優勝: ahq e-sports club
準優勝: DeToNator
S.Monkey
AfteR
Bow55
決勝戦はBest of 5 形式で実施。
マッププールは8個で、お互いに1マップずつをBANした後に6マップから抽選で5つのマップを決定しました。
ahq e-sports club がまずFOX HUNTINGをBAN。こちらはDeToNatorによれば自分たちが苦手としているのか、何かを警戒しているのかはわからないが意外な指定だったとのこと。
対するDeToNatorは、準決勝でのahq e-sports clubとTaipei Assassins戦を見て、当初の予定を変更してAIRPLANEをBAN。ahqの選手達はこのコールの後にまいったなという感じで苦笑いしていました。
DeToNator
Saih4tE
ジョジョ立ちを決める S.Monkey 個性的なキャラで台湾でも人気
RobiN
SyaNha1
SHAKA
ahq e-sports club
e1x
47x
AfteR
Bow55
xiu
決勝
1マップ目のASLANはDeToNatorが守り側でスタート。ahq e-sports club は幸先良く3ラウンドを連取し、DeToNatorは2本を取り2-4のビハインドで折り返し。
後半はDeToNatorが1本目を取り返し逆転開始かと思われましたが、ahq e-sports clubは撃ち合いから人数差を作り有利にゲームを進める展開で7-3と勝利。
続くHAMMER BLOWは、なんと ahq e-sports club がパーフェクトゲーム。
有利なゲーム運びでハーフタイムも余裕がある ahq e-sports club
対するDeToNatorはこんなはずでは、という空気感。
円陣を組み仕切り直しを狙います。
しかし、3マップ目もDeToNatorは撃ち合いを制しきれずに流れに乗ることができず、アドバンテージを得た形をなかなか作る事が出来ないまま勢いに乗った ahq e-sports club に押し切られ最終的に3マップを連取した ahq e-sports club が台湾プロリーグを制する結果となりました。
優勝を喜ぶahq e-sports club
DeToNatorは敗北を噛みしめる結果に
試合後、メンバーの皆さんが深夜にもかかわらず今回の大会について質問に答えてくれました。
RobiN
チームとしてやりたい動きは出来ていまたし、攻め方が間違っているということも特には感じませんでした。
単純に、相手との撃ち合いで負けてしまうことが多くラウンドとることが出来ませんでした。
相手にしてやられたなという感じがあります。
SyaNha1
僕も敗因は撃ち負けと、各個人の些細なミスの積み重ねだと思っています。
(具体的にミスはどのようなところだと思いますか?)
ルートの報告や、見るべきところを見ていなかったりという点が挙げられます。
相手はそういったミスを見逃さずにつけこんできました。
SHAKA
1マップ目(ASLAN)の最初の3ラウンドは良くなくて、先日の『AVARST2016 Season1』1回戦のように全体的に引き気味の守りになっていたので相手が攻めたいように攻めてきて取られてしまいました。
続く3ラウンドは取れたマップで、実際に取ったのは2本だったのですが、ラウンドを落としてしまったのは単純に撃ち合いで勝てなかったことが原因です。
HAMMER BLOWとCANNONは守りが有利で、あえて不利な攻め側でスタートするという(※この意図については以前のインタビュー参照)のは狙いどおりだったのですが、とにかくラウンドを取れなすぎでした。
どちらのルートから攻めるのも試してみましたが潰されてしまってあまり良いイメージを持てず、守りの後半はうまくオーダーを出すことが出来ませんでした。
S.Monkey
人数が少ないところに数を割いてせめていたのですが、相手はこちらが倒しにくいポジションで時間を稼ぐのがうまくて、攻めあぐねているところを横から撃たれたりと攻めきれなかったことが一番感じたところです。
Saih4tE
最初のASLANの印象は、動画を見てこうしてくるだろうという予測も出来ていたり、最初は様子見ということもあって個人的には良い感じにラウンドを取れてたと思いました。
攻めの時は人数有利で仕掛けているところを、単純に撃ち負けて落としてしまいました。
HAMMER BLOWでも圧倒的に人数差でラッシュをかけているのにaim負けしてしまう状況でした。
やはり普段だったら出来ていたことが出来ていないなどのミスが多かったというのが非常に印象に残っていて、それがなければ取れていたというラウンドもあったと感じています。
S.Monkey
僕らが撃ち負けていたのは戦っていた場所の問題があると思います。
例えば、攻めていく時に3箇所くらいチェックしなくてはならない場所があるのに対し、守りの相手は見る場所が一箇所だけ見れば良い場所にいて、そのような状況で撃たれたり、撃ち合ってしまったりとか。
ahqはこちらからは当てにくい深い場所にいたりと、ポジションを上手く使っていました。
Saih4tE
最初の方はポジション取りやミスの結果だと思うのですが、後半はあまりにも撃ち負けるもので、みんな気持ち的に自信が持てなくなっていたと思います。逆に敵は倒せるとわかってガンガン攻めてきて、勢いに乗られてしまいました。
チーム代表 江尻氏
そのことは僕から説明します。手続き的なことや、6月12日にチームのイベントを東京で開催する関係で、みんな今週中に一度日本に戻る予定です。
その後、どのようにして『AIC2016』に向けて準備していくかはメンバー達と話し合いをして決めていくことになると思います。
RobiN
『A.V.A Elite League』は最後で本当に悔しいを思いをしたので、『AIC2016』は絶対に負けたくありません。
今回、改めて課題が見えてきたのでそこをみつめなおす3週間になります。
改善しないと勝てないことはわかっているので、あとは練習していくだけですね。
SyaNha1
『AIC2016』の参加が決まっているので、ahqだけではなく他の強豪チームにも勝てるよう準備をしていきたいと思います。
SHAKA
台湾にきて思ったのは、一番大事なのは対応力ではないかということです。
絶対に勝てる攻め方とか守り方はないですし、これは絶対に強いという戦い方も何度も使っていれば対策されます。こちらがそれに対応すれば、相手もさらに対策してということできりがありません。
そこで臨機応変に対応していく力が必要ではないかと感じています。
それをどうやって磨いていくかは難しいですが、個人個人の能力が大切なので、みんなが対応力をもっているような形にしてけたらと思っています。
世界大会では、いままでの流れだとahqを意識しすぎた結果、他のチームに負けてしまったりということもありました。
次のAICは見たことないチームが出てくるという話なので、対応力をもって対戦できるよう準備をしていきたいと思います。
Monkey
次のAICは日本の代表として出場することになるので、応援してくれるみなさんの期待にも応えられるように練習して、優勝したいと思います。
Saih4tE
AEL準優勝という結果で終わってしまいましたが、『AIC2016』で挽回できるように。
課題としてはミスを無くしていくことがだいじだと思っているので、
練習では出来ていたけど試合では出来ていなかったことなどを修正して大会に挑んでいきたいと思います。
今回、台湾プロリーグが終了し『AIC2016』開催国となる台湾からは ahq e-sports club と Taipei Assassinsが出場権を獲得。
日本からは先日の『AVARST2016 Season1』で優勝した DeToNator、
そして、韓国は2015年の『AVA World Championship』王者である clan Heatを下した Sesation- も出場が確定しています。
これまでに観戦者としてではありますが、数々の試合を見てきて感じたのはやはり勝ち続けるというのは本当に難しいことだということ。
王者や国の代表であれば負けられないというプレッシャーの下でプレーしなければならず本来の力を出せないかもしれません。また、どれだけたくさん練習したとしても本番でミスがあればそれをきっかけに負けてしまうこともあります。
最終的に、勝つ要因が多く、負ける要因が少なかったチームが勝利を手にすることが出来るのは間違いないですが、そのために必要なものはなんなのでしょうか。
今回、DeToNatorが強烈な負け方をして、数ヶ月に渡り毎日かなりの時間を練習に費やし備えてきた大舞台で負けた場合に、一般的な感覚だともう辞めようと判断する人もいるかと思います。
DeToNatorのメンバー達は、悔しさを乗り越えて次に開催される『AIC2016』に向けてまた新たにスタートするということを全員が決断していて、この「次は勝ちたい」「諦めない」という気持ちを持っていることがわかりました。そして、「練習を出来る環境」もありますが、それらを組み合わせても勝つにはまだ何かがまだ必要なのだと思います。それは当事者ではない自分にはわからないですし、勝つためにプレーしている選手達もまだわからないかもしれません。
今後の活動を通じてそれが何なのかを掴むことが出来た場合には、またその話をぜひ聞かせてもらえたらと思います。
今回、日本のプロチームが海外プロリーグに出場し、さらには優勝するかもしれないという日本の競技FPSシーンの歴史においてにおいては非常に貴重な機会であったため、チームに相談し開幕戦と決勝戦でチームに帯同させていただくことを相談しました。結果として快く了承いただいた他、宿舎に宿泊させていただいたりと大変お世話になりました。関係者の皆様、ありがとうございました。
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