3/20(日)に実施された『Alliance of Valiant Arms』の台湾プロリーグ『A.V.A Elite League 2016』開幕戦で DeToNatorが台湾最強 ahq e-sports Clubに快勝し好スタートを切りました。
『A.V.A Elite League 2016』には DeToNatorを含む6つのプロゲームチームが出場。
グループリーグでは、Best of 3形式での総当たり戦を2回実施し、上位4チームがプレーオフに進出となります。
DeToNatorは約1ヶ月前より台湾入りし、専用の選手宿舎で選手5人が共同生活を行いながら、チームスポンサーAiming社の台湾支社内に用意された専用練習場でプロリーグに備えてきました。
試合当日は、練習場で1時間ほどAIMのウォーミングアップをしたり、集中したりと各人が事前調整を実施。
S.Monkey@s_monkey0113 AIM調整 pic.twitter.com/dInmmbIt70— Negitaku.org eSports (@negitaku) March 20, 2016
DeToNatorは万全の仕上げで会場に向かいます。
試合会場は、台北市内にあるeスポーツ競技場『Garena e-Sports Stadium』。
こちらでは、世界的に人気のeスポーツタイトル『League of Legends』の公式リーグ『League of Legends Master Series 2016(LMS2016)』も実施されており、当日はSpring Split Week8 ahq e-Sports vs Taipei Assassinsの試合が行われていました。
ahq e-Sports Clubは DeToNatorと世界大会で何度も対戦しているライバルチームで、2015年12月に実施された世界大会『AVA WORLD CHAMPIONSHIP』では台湾チーム最高順位となる3位タイに入賞した実績を持ちます。
両チームともに、当時とはメンバーが変更されており試合前のインタビューでDeToNatorのメンバー達は「強いのは間違いないが勝てない相手ではない」と全員が自信をもって発言していました。
試合前に抽選が行われ対戦マップが決定。じゃんけんを行い、勝った方、負けた方、勝った方と3回くじをひき3つの対戦マップが決定されます。
これは実質的に誰が引いても同じランダム抽選なので、個人的にはCS:GOで採用されている「ピック&バン」方式の方がマップ選択に戦略性が見えてくるので今後そのような方式も検討されると良いのではと感じました。
抽選の結果選ばれたマップは「Airplane」「Aslan」「Cannon」。これらは全て、大会の公式マッププールで採用されている8個の中でもDeToNatorが苦手とするマップとのこと。
この3マップで最大3試合を行い、2マップを先取したチームが勝利となります。
DeToNator: Saih4tE、S.Monkey、RobiN、SHAKA、SyaNha1
ahq e-Sports Club: AfteR、47x、e1x、Bow55、Xiu
実況・解説ののVocal氏(CS1.6元プロゲーマー)、Rex氏(AVA元プロゲーマー)
1マップ目の「Airplane」はナイフラウンドで勝利した DeToNatorが有利な守り側ではなく攻め側を選択。これは苦手マップであえて不利なサイドを選びこちらで出来る限りラウンド数を獲得することで、後半に有利な展開を狙ったものとのこと。
この狙いのとおり、1ラウンド目を取ったDeToNatorは、2ラウンド目は取られるもの残り全てを取り5-1のリードで前半を折り返し。DeToNatorはファーストキルを高確率で取り数的有利を作り出すことに成功していた他、少人数戦でもきっちりと詰め切っていたのが印象的でした。後半も有利な守り側で2本をなんなく連取し1マップ目を7-1と圧勝しました。
続く2マップ目は「Aslan」。こちらのは事前の練習試合で ahq e-Sports Clubにコテンパンに叩きのめされたという苦い記憶を伴うマップです。
1マップ目を獲得したDeToNatorは片方に人数を割くシフトでアグレッシブにプッシュする守りを見せ1ラウンド目を獲得。その後も1マップ目と同じく、エントリーキルを取りながら着実に敵の攻撃をつぶしていき5-1とリード。後半も余裕のあるDeToNatorが攻めつづけ、一本を落としたものの、最終ラウンドは最初に2人が倒されて3vs5の状況から1人ずつ敵を倒していき最終的にエースSaih4tE選手が倒しきるという展開で見事に7-2のスコアで勝利となりました。
試合結果
「ahqの守りは単純に引き目で、そこにいるのか、そこで見ているのかというこれまでが見せてきたイヤなポジションどりがなかった」というSaih4tE選手。
指揮官のSHAKA選手は「新しい作戦が本当によく決まりました。少人数戦や1vs1のSaih4tEは本当に強いので絶対的な安心感がありました」とコメント。
代表の江尻氏は「攻めあぐねてグダグダした展開になると負けてしまうのがこれまでのパターンでしたが今回はそうではなかった。S.Monkeyがポイントマンとして先陣を切って、SyaNha1やRobiNもきっちりと仕事をして、CS:GOのFnaticのように誰が倒されても残った選手に安心感があった」と試合の印象を語ってくれました。
大会の動画は、以下から見ることができます。
SyaNha1: 聞くところによるとahqは週に5日練習しているそうなのですが、僕らは週に7日・12時間の練習をしてきました。「これで負けたら…」という思いがあったので、勝ったことはすごくうれしいです。そして、これだけやってきたのだから「勝てて当然」という気持ちもあります。台湾での共同生活でやってきた全てが活きた勝利だと感じています。
SHAKA: いままでの公式大会だとahqには一度勝ったことがあるのですが負けた数の方が多かったです。台湾にきて練習試合をしていても「手の内を隠しているな」というのがひしひしと伝わってきて不安の方が強かったのですが、実際に対戦してみて「ahqを上手く封じ込めることが出来たな」と感じています。練習の成果が顕著に結果に出たので安心しています。
Saih4tE: まず正直に、勝ててうれしいです。初戦の結果次第で今後のリーグにおけるチームの流れが決まってしまうので、台湾最強のahqに勝てたことで自信をもってプレーしていくことができます。
台湾に来てから初めてゲームをフルタイムの仕事としてプレーするようになったのですが、いままでにやってきたことが正しかったと確認出来ました。
S.Monkey: ahq戦に向けて練習漬けの毎日だったので、勝ててほっとしています。次は昨年の世界大会5位という強豪のTaipei Assassinsと対戦するのですが、個人的に今回はTPAの方が強いのではないかと思っているので気を抜かずに次も勝ちに行きたいと思います。
RobiN: うれしい気持ちはあるのですが、優勝するために来ているので「まず1勝したな」というところです。僕にとって今回は半年ぶりの公式戦になるのですが「本当に良い試合が出来た」と実感しています。
SHAKA: 一番の勝因は「ミスが少なかった」ということです。
相手の対策というより、台湾に来て共同生活をしながら顔を合わせて毎日練習してきた、DeToNatorの理想とする動きが出来たことが大きいです。
また、ahqやTPAと練習試合をした時に「この作戦はダメだな」とか「ここを修正しないとな」ということがわかって、時間をかけて修正してきたところが上手く活きたというのもあります。自分としては、試合中に指揮をしていて、「相手にやりたいことをさせなかった」と感じています。
RobiN: 釈迦君の指揮に対して、メンバーの意志に食い違いが発生しなかったんですよ。
SHAKA: 初戦のAirplaneはナイフ戦で勝利して攻守のどちらからスタートするか選ぶことが出来たのですが、どちらからスタートするか決めていなかったんです(笑) そこでSaih4tEに選択を任せたところ「攻めスタート」ということになりました。
Yossy: Airplaneは守り有利とのことですが、そこで攻めを選んだのはなぜですか?
Saih4tE: Airplaneは守りの方が取れるので、不利な攻めサイドで取れるだけとって余裕をもって後半につなげたいと思いました。
「苦手なマップでまず不利なサイドを選ぶことで、スタートから集中力を切らさずにプレーすることができる」というCS:GO部門のコーチであるNoppoさんがおっしゃっていたことを活かしました。
不利側からスタートするという事は、言い換えれば負けてもいいラウンドがいっぱいあるということ。特に初戦、スロースターターな選手が多かったり、集中できない選手がいるチームには、不利側から初めて前半戦をウォームアップとして考えるのもあり。
— noppo (@noppo_cs) March 21, 2016
有利側から始めるということは、逆に最初のラウンドから勝ち続けて行かなければいけない事。有利側であまりラウンドを取れてないにも関わらず、自分らが優勢と錯覚してしまう事は良くある。後半戦になり、後から前半戦でラウンドを取れてない事に気付いた時には、時すでに遅し。
— noppo (@noppo_cs) March 21, 2016
前リーダーのよっぴーが「試合はミスが少ない方が勝つ」ということをよく言っていたのですが、今回はそのとおりの結果になりました。スーパープレーに頼ることなく着実にラウンドを取ることで勝つことが出来ました。
SHAKA: 不利サイドの序盤で幸先よく連続してラウンドほど取れたので、大胆なプレーが出来るようになりました。
Saih4tE: ahqは有利サイドでラウンドを取れなかったのでやりにくかったのではないかと思います。どうしてもラウンドをとるために安定した動きになってしまうため、本来やりたかったはずのプレーが出来なかったのではないでしょうか。
SHAKA: Aslanは僕たちとしては一番苦手なマップでした。1ラウンド目の守りで片方に人数を寄せて前に出ることを選びました。ルートが合わないと反対側の設置ポイントが攻めやすくなってしまう危険性があるのですが、今回はうまく相手の動きを読めて機能しました。
こういうアグレッシブな守りをできたのは、1マップ目をとることが出来たのが本当に大きかったと思います。相手にしたらいきなり出てくるのかと面食らったのではないかと。これも含めて、なにもかも上手くいったなと思います。
SHAKA: 今回、2マップとも「RobiNスペシャル」と僕らが呼んでいる作戦がかなりの効果を発揮しました。
RobiN: 3回使って3回とも成功しました。
Yossy: すごそうですね。どんな作戦なんですか?
SHAKA: RobiNくんが練習中に試したことで出来上がった投げものを使った作戦なんですが、申し訳ないですが詳しくは言えません。
Saih4tE: これは強すぎて、これまでの練習試合では隠してきました。
RobiN: これはどこかでバレると思いますが、わかれば他のチームも使ってくるようになると思います。でも、作り出した僕たちが一番先に対策も出来るのではないかと思います。
Yossy: 現状、対策はないんですか?
RobiN: 現状はないですね。これを使われたら僕らでもかなりキツイです。この作戦は、デメリットがものすごくあるのですが、うまく機能するとそれを超える凄まじいメリットが得られるんです。台湾にきて顔を合わせて細かく調整することが出来たからこそ作り上げることが出来た作戦ですね。
SHAKA: SNSで勝利を報告したのですが、日本のトッププレーヤーたちから「AELに参加したい」というような投稿も見かけて、そういう思いをもってくれる人が出てきたということは僕らが台湾にチャレンジしたことに意味があったんだなとわかってうれしいですね。
今回、台湾で僕らの通訳をしてくれたり、写真やムービーを作ってくれる仲間が増えました。この2人がいてくれたおかげで非常に助かっています。
Facebookで台湾のみなさんはまっすぐな感情で応援してくれるのでうれしいですし、ゲームをしていても気持ちが良いです。今日も「写真を撮ってもらえませんか?」とたくさんの人が声かけて下さったり。
試合のストリーミング配信やYouTubeのアーカイブも日本や台湾のみなさんをふくめてかなりの数みていただけたと聞いています。
自分たちが台湾プロリーグに参加したことが、間違いでは無いということが再確認出来て安心しています。何もかもがうれしいですね。
これからも応援してくれるみなさんに何か感じてもらえるよう、勝ち続けていきます。
RobiN: 初戦で最強のahqを倒したことで、試合を重ねる事によりストイックになっていかなくてはならないなと。いまはすごくモチベーションが上がっています。自分たちが台湾でこのような素晴らしい活動をさせていただいて体験していることを、SNSやネットワークを使ってみなさんに発信していきたいですね。
それを通じて、試合を見てみよう、AVAをやってみよう、イベントや大会に参加してみようというような方が出てきてくれるとうれしいです。
Saih4tE: 今回、台湾に来ることが出来たのは大会を主催する「Garena」さんや、練習場を提供していただいたAimingさん、チームのスポンサーやファンの皆さんなど、とにかくたくさんの支えがあったためです。台湾プロリーグの初戦を終えて、そのありがたさというものを本当に実感しています。みなさんの想いに応えるためにも頑張っていきたいと思います。
S.Monkey: いろいろなチームと対戦していくなかで、僕たちが作った作戦などはどんどんマネされると思いますが、マネされても「それはもう古いよ。対策済みだよ」というように、進化し続けていきます。これからも応援をよろしくお願いします。
SyaNha1: まだプロリーグが開幕したばかりで終わったわけではありませんが、この舞台に立つことが出来たのは主催の「Garena」さん、練習場を作って下さって「Aiming」さんを含むチームスポンサーさま、チーム代表の江尻さん、そしてAVAコミュニティやゲーマーのみなさんのおかげだと思います。
1勝で満足することなく、このまま台湾プロリーグで優勝、5月末に日本の『AVARST2016 Season1』でも優勝、そして今年も世界大会の『AIC2016』に出場し世界一になります。
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