プロゲームチーム Fnaticを率いるPatrik “cArn” Sättermon 氏をゲストに迎えた座談会 「Fnatic cArn氏から見た世界のeSports事情」が2014年9月19日(金)、「東京ゲームショウ2014」で実施されました。
Fnatic cArn氏から見た世界のeSports事情
座談会は、「EIZO/MSI/SteelSeries」の共同ブースで実施されました。
進行役は、3社にスポンサードをうける日本のプロゲーチーム DeToNatorの代表・江尻 勝 氏。
cArn氏に加えて、『League of Legends』の日本展開を準備中の乙部 一郎 氏、オンラインFPS『Alliance of Valiant Arms』運営プロデューサーの井上洋一郎 氏をゲストに迎え、日本や世界のeスポーツ事情についての座談会が実施されました。
参加者の発言は箇条書き形式で掲載しています。発言をそのまま記載したものではないことにご注意ください。
出演者
- 進行役: 江尻 勝 氏 (DeToNator代表)
- ゲスト: Patrik “cArn” Sättermon 氏(プロゲームチーム Fnatic, Chief Operating Officer)
- ゲスト: 乙部 一郎 氏 (Riot Games)
- ゲスト: 井上 洋一郎 氏 (Alliance of Valiant Arms, 運営プロデューサー)
まずは自己紹介を簡単にしていただきたいと思います。
cArn 氏
Counter-Strike1.6をプロとしてプレーしていました。
Counter-Strike1.6からCounter-Strike: Global Offensiveにシーンが移行する際に選手を引退し、以降は、プロゲームチーム FnaticのChief Gaming Officer、Chief Operating Officerとしてチームを率いています。
Fnaticはグローバルで展開してるので、今回このような形で日本に来て、FPSで活躍しているDeToNator、Galacticのメンバーやみなさんにお会いできてうれしいです。
乙部 氏
『League of Legends』というゲームの日本での立ち上げを一生懸命やっているところです。よろしくお願いいたします。
井上 氏
『Alliance of Valiant Arms』運営プロデューサーの井上です。
2008年からサービスを開始し、今年6年目になるタイトルです。
これからも頑張っていきたいと思っていますのでよろしくお願いいたします。
eスポーツは今勢いがあります。特に海外では毎年大きな規模で拡大していると感じていますが、これまで世界中の大会に参加してきた経験から、cArnさんはどのように肌で感じていますか?
cArn 氏
- 実際に様々な世界の大会に参加し、eスポーツというものが拡大していると感じている
- 具体的な例として、直接ゲームとは関係ないが全くゲームをしない自分の母ですら、Fnaticが勝っているかをチェックするほどになってきた
- 大会も以前のような小さな会場では無く、スポーツスタジアムを埋め尽くすほどになっている
- eスポーツはここ2年ほどで爆発的に成長している
- 現在開催されているLeague of Legends Championshp は2万人以上がリアルで観戦している
- 賞金がプロスポーツのように1,000万ドルにのぼるものもある
- eスポーツは、ソーシャルメディア、トーナメント開催数、賞金、サラリーなど全てにおいて成長していると思う
日本のeスポーツ、またはゲーム市場にどんなイメージを持っていますか?日本に対して望むことなどはありますか?
cArn 氏
- 日本と北米、ヨーロッパなどと性格や文化と比較すると、日本は新しいものを受け入れるオープンな文化があると思う
- 日本に来て電車に乗ったところ、モバイルゲームをたくさんしている人がいて、ゲームが流行っているのだとわかった
- しかし、eスポーツというものが非常に受け入れられているようには見えない
- 日本には非常に才能があるゲームプレーヤーがたくさんいると思う
- 日本でeスポーツが普及するには、今回 EIZO/MSI/SteelSeriesがしてくれたように、多くの協力者を得ていく必要がある
- Riot Gamesも日本に進出するそうなので、これからeスポーツが日本で爆発的にヒットする可能性があると思う
PCゲーム市場についてどうお考えですか?今後のPCゲーム市場に将来への意見や希望があれば教えてください。
乙部 氏
- 日本ではPCゲームはそれほど大きいものではないかもしれないが、今後「eスポーツ」とか、我々がやっている『League of Legends』など新しい楽しみを世の中に提供することができればと考えている
- PCゲームというカテゴリの中でどのくらい勢力を伸ばすかという考え方ではなく、より新しい「eスポーツ」的な体験というものを世の中に広げられれば、大きな市場になると思う。
- AndroidやWindowsタブレットも大きな意味でいえばPCともいるし、今後のPC市場については楽観視している
井上 氏
- 『Alliance of Valiant Arms』が2008年に始まった時に比べるとFPSタイトルというものは成長してきたのではないかと思う
- 『Alliance of Valiant Arms』は昨年よりも今年の方が数字を上回っている。月間で言うと、15万人以上がコンスタントにゲームをしている
- そう考えるとPCゲーム市場が小さなもではないと思う
- 1つのコンテンツだけでなく、様々なコンテンツが協力し市場を拡大していく必要があるのでは無いか
cArn 氏
- PCゲームのマーケットがどうなっていくか、ということについてストレスを感じる必要は無い
- 日本がスウェーデンの『DreamHack』や北米で開催されている『League of Legends』大会のような展開を追いかける必要もない
- それぞれの国において、アマチュア、セミプロ、プロというレイヤーがその文化の中で出来上がれば良い
- ゲームをプレーして、楽しいという思い、体験、ストーリーをソーシャルメディアなどを使って発信していくことや、そのようなことを楽しめる場所を作って仲間を増やしていくことがPCゲーム市場にとって大切だと思う
PCゲームのマーケットとして注目している国はありますか?
乙部 氏
- Riot Gamesは世界で15ヶ国以上にオフィスがあり、『League of Legends』を展開している。
- 韓国はものすごく発展した市場になっている。
- 最近注目なのはトルコ。eスポーツなど無い状態から草の根でどんどん広がり、昨年は200近いトーナメントが行なわれ、6,000近いチームが誕生している
井上 氏
- 日本だと、1つのタイトルだけで頑張っていても限界がある
- 後は、いかにしてeスポーツ、対戦ゲーム、PCゲーム文化を作っていくということが次のステップだと思っている
cArn 氏
- 1つの国を選ぶのは難しいが、エリアなら東南アジア。
- 東南アジアはゲームセンター(インターネットカフェ)が普及していて、eスポーツが広がりやすい環境が整っている。これから爆発的に普及する要素がそろっている。
- FnaticのFacebookには160万近いファンがいるのだが、そのうち10万近くが東南アジアで、eスポーツに注目している
- 東南アジアには才能あるプレーヤーが多く、強いチームが出てくるのではないかと脅威に思っている。
- 良いチームが出てきたらアジアまでFnaticというeスポーツチームを広げて展開していきたい。もちろんそのなかには日本も含まれている。
乙部 氏
- いまアーケード(ゲームセンター)の話があったので追加で。
- 日本のeスポーツについて考えるときに、日本の人はPvP(人と人との対戦)を好まないと言われるが、昔から(格闘ゲームなどが)あるし、今も人気がある。
- 今では、賞金が付いたタイトルもたくさん出てきている。そういうものをみんなeスポーツと呼んではいないが、実はこれらが日本におけるeスポーツとして行なわれてきたと言える。
- アーケードゲームからeスポーツが始まっていると考えられるのでは無いか。
日本のeスポーツ市場を盛り上げるためには何が必要でしょうか?
乙部 氏
- たくさんの課題があると思う。PCでゲームをやるとはこういうことだという初心者用のガイドが必要だったり、イメージを変えていかなければならない。
- 友達と一緒にやることで初めて楽しいと思える、ということがある。友達と誘っていける場所やオフラインのイベントがあることが重要。
- 『League of Legendsの』海外拠点には、1ヶ月でに200近いオフラインイベントをやっているところもある
- 日本ではコスト的にそこまではできないかもしれないが、友達を誘って一緒にいけるという機会を作ることが必要だと思う。
井上 氏
- eスポーツ文化がアーケードの対戦ゲームからすでに始まっているのではないかという気持ちで自分も『Alliance of Valiant Arms』のサービスを始めた。
- アーケードゲームのように集まる、ということをオンラインゲームでも具現化したかった。
- 日本全国で集まったり、友達を呼べるような場所を作らなければならない。ゲームでは無いところでも活躍出来る場所を作っていきたい。
- そういうことを『Alliance of Valiant Arms』では6年間やってきたし、これからも続けていく。
- 一番大切なのはコミュニティを大事にするところ。トッププレーヤーが活躍する場所がなくてはならないが、コミュニティがなくてはそれを見てくれる人がいない。
- 友達をいかにしてコミュニティにいれて、高みにいる人を応援していけるか。
- 『League of Legends』では月に200回もオフラインイベントを実施したそうだが、コミュニティが協力してやってくれることになれば、パブリッシャーだけではなくそういうことが実現出来るようになると思う
cArn 氏
- 日本で現在トッププレーヤーとして活躍している方がいらっしゃると思うが、トッププレーヤーはゲーム上手いだけでは無く、慕ってくれているファンに対する責任がある。
- こういうものがプロ、eスポーツであるということを伝える伝道師であるという意識をもって行動して欲しい。
「eスポーツを普及させる」ための条件として3者が上げているのは「仲間を増やすこと」であり、そのために場を作ったり魅力を伝えたりといったことをしていくということになるでしょうか。
cArn氏が東南アジアのゲーミングカフェが盛況、という話をしていましたが、2013年に旅行でフィリピンを訪れた際に偶然ゲーミングカフェを訪れた際に自分でも実感しました。
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