6 月 7 日(木) 15 時からオープンベータテストが開始される『スペシャルフォース2』のプロデューサー佐野 亘 氏に、クローズドベータテストの結果や今後の展開についてお話を聞いてきました。
ある日メールボックスを眺めていたところ「YOU、スペシャルフォース2のインタビューしちゃいなよ」「スペシャルフォース2のインタビューに来てくれるかな?」的な内容のメールが来ていたので「いいともー!」ということで返信して、 5 月下旬に同タイトルを展開する NHN Japan さんにうかがっていろいろと質問をしてきました。
※実際のメールはもっとちゃんとしたやり取りです
佐野プロデューサーにポケットマネーで RED BULL を奢っていただきつつインタビューを行ないました。
佐野: クローズドベータテストには 3 万人ほど応募いただいて、別タイトルで実施したキャンペーン当選も含めて当選者は 2 万人ほどでした。
その中で実際にプレイした方が 1 万人くらいですね。
佐野: Negitaku さんは結構早い段階で定員に達していましたよ。
順番的には 3 番目ほどで、2 番目のメディアさんとほぼ同時くらいでした。
佐野: そうですね(笑) いろいろ読ませていただきました。
テスト以前から韓国で公開されているトレーラーを見た方が、「これは Call of Duty じゃないか」という意見を Twitter 等に書かれていたのですが、「実際にやってみたら別物だった」という感想が比較的多くありまして、SF2 が Call of Duty とは違うものとして認めていただけたのではないかと思っています。
また、Twitter 等での反応は全体的にすごく良かったですね。評価していただいてうれしい限りです。逆に、良すぎてオープンベータでどうなるのか怖かったりするのですが…。
参加していただいた方にアンケートを実施した結果、ゲームバランスについては様々な意見をいただきました。
中でも、スナイパーが強すぎるという意見がありました。
この点については、5 月中旬に韓国の開発チームにクローズドベータテストの結果を報告すると共に、是非とも改善して欲しいと伝えています。
佐野: そうですね、韓国と同じ仕様のものを日本のクローズドベータでも使用していますので、同じく韓国でもスナイパーが強いという意見もありましたが、しかし、スナイパーが強すぎるというところまで行ってなかったと思います。日本でスナイパーが強いという印象になったのはいくつか理由があります。
まず、クローズドベータで回していたマップにオープンスペースやロングが多く、スナイパーが活躍しやすい構成になっていたことが挙げられます。
新しいマップをプレイする場合、アサルトやマシンガンを持っているようなプレイヤーは、マップの構造を把握するために走り回ったりするのですが、スナイパーは有利な位置からそのプレイヤー達を簡単に狙撃できてしまうのでその点がストレスになっていたと思います。
SF2 は、いわゆるストッピングというキャラクターの動きをとめるテクニックを使わなくても、単純に移動キーを放した後に射撃することで真っ直ぐに弾が飛ぶ仕様なので、初心者プレイヤーでも比較的簡単にスナイプすることが出来ます。これもスナイパーが強いと感じられた理由の一つだと思います。
でも実はストッピングがなくて使いやすい分、いわゆるハンショットが出やすくダメージが100%通らないことが多いんです。アサルトを使う側からするとあまり感じられないんですが、スナイパーとしてはハンショットが出やすく感じられた方がいるかもしれないです。
倒されたことだけでスナイパー有利、という印象を持たれた点もありますが、実際はそこまでスナイパー有利だとは考えていないというのが正直なところです。それでも、クローズドベータテストで色々な意見をいただいた上で、本当に良いバランスはどうなのか、と言った点を開発会社と協議して、バランス調整を行なっていきたいです。
例えば、先ほどのストッピングの点について言うと、スナイパーの扱いが易しいのでストッピングが必要な仕様に出来ないかと開発と協議しています。
佐野: クローズドベータテストでの武器使用率データがこちらにあるのですが、1 位はアサルトライフルの AK103、同じくアサルトの M4A1 が 2 位。そして、スナイパーライフルの AWP が 3 位という結果になっています。スナイパーライフルだと AWP に続いて PSG 1 の使用率が高いですね。
PSG 1 はスコープの展開が速いのですが、攻撃力はそれほど高くありません。スコープ展開速度が早いものは、総じてダメージが低い仕様になっています。一方、AWP はスコープ展開は若干遅いのですが攻撃力が高く、手や足に当たっただけでも 結構なダメージを与えることが出来るということで、敵を倒しやすい武器でした。この点が人気につながっていると思っていて、日本ではスコープ展開が早いクイックショットが出来るものより、威力が高いスナイパーが好まれているということが実感できました。
佐野: AWP で手や足に当てただけでそんなにもダメージを与えられるのはゲームバランスとして問題があると思うので、ダメージ量を変更するなど調整するつもりです。
さきほどのスナイパーライフルが強いもう一つの理由として、ある程度の距離でアサルトとスナイパーライフルが撃ち合った場合に、スナイパーライフルの方が勝ちやすいという点が挙げられます。
これは、アサルトライフルで敵にノックバックを与えられる効果が一定確率で発動するという仕様のためで、先にスナイパーに数発打ち込んだのにノックバックが発動しないため、AWP で 1 発狙いを付けて撃ち返されると負けてしまうというケースにつながっていました。
この点は、距離なのか武器の組み合わせなのかはわかりませんが、スナイパーが有利すぎる状況を改善するための仕組みを入れてもらおうと思っています。
佐野: SF1 をやっている人からは、アクション要素やテクニックを身につけることでの優位性が無くなってしまっているという意見が上がっていました。一方で、複雑な操作ができなくても公平に移動できて良いという逆の意見もあります。
SF2 では、たとえばクラン戦において、このチームは操作テクニックに長けていて素早い動きで有利に試合を進めているというよりも、コミュニケーションや連携の部分がすばらしいので強いチームである、という方が観客の人には伝わりやすいのではないかと思うので、現状の仕様で進めていきたいと思っています。
佐野: クローズドベータテストの初日、僕は「秋葉原 PC ゲームフェスタ」で SF2 のイベントを担当していまして、テストがどういう状況になっているのか全くわからない状況でした。
実際は、開始前にかなりの準備とチェックをしていたので、初日は全く問題が発生せずテストをすすめることが出来ていました。準備は大切です(笑)
初日以降はいくつかトラブルがありまして、たとえばプレイヤー同士が友達となってメッセージをやりとりするメッセージ用サーバーがダウンしてしまいました。ですが、ゲーム用サーバーの方は非常に良い作りになっているとエンジニアが胸を張るほどで、まったく問題なく稼働できました。
佐野: SF2 は dedicated sever を採用していまして、サーバー側で当たり判定を処理するようになっています。
今回のテストはサーバー 21 台で実施しました。
サーバーのシステムは、非常に安定して稼働できる作りになっていると開発メンバーが強調していたので、負荷テストのために、3台だけに減らしてみたりもしたのですが、全く問題なくさばくことができました。
サーバー負荷に問題なく、正式サービス時にも安定した環境で快適にプレイしていただけると思います。
佐野: 以前もお話させていただいたのですが、サービス開始直後からいきなり大きな大会を実施するより、プレイヤー全体のレベルアップ、クラン戦の活性化とそれによるプレイヤースキルアップを見て近いうちに大会を実施するつもりです。
夏からハンゲームキャラバンというネットカフェ巡業を行なう予定で、そこでネットカフェ大会を実施するのが最初になるのではないでしょうか。
佐野: ネットカフェ大会は非常に重要だと認識しています。
SF1 は、日本で最初に受け入れられたオンライン FPS だと思っていまして、その後に様々なタイトルが出てきて、ネットカフェ大会や公式大会といったオフラインを舞台にしたイベントが活発になり、オフラインでのFPS シーンが盛り上がってきました。
SF1 で世界大会の日本代表決定戦をはじめて実施した時に目にして印象的だったのが、日本予選の決勝大会まで勝ち上がってくるようなチームでも、当日イベント会場でチームメイトと顔を合わせて「初めまして」とあいさつをしていたことでした。
世界大会で各国の代表として出場しているチームは、隣に座っている仲間と地声で密接にコミュニケーションを取っていたのですが、日本チームはボイスチャットを使ってとかなりスタイルに差がありました。
ボイスチャットを使うことが悪いとかそういうわけではないんですが、このあたりは、普段からチームメイトが集まって密接な関係でプレイができるかできないかといった環境の差ではないかと感じました。
ですので、SF2 ではネットカフェイベントや大会を活性化させて、各地域をベースとしたチームやオフラインの地域に根ざしたコミュニティ作りを手助けするような形に出来たらと思っています。このような地道な活動でプレイレベルの底上げを経て、その結果として、世界大会に出場する強豪チームとも対等に渡り合えるチームが出てくるのではないかと思っています。
自分たちが目指しているのは、世界大会という非常に大きなモチベーションですので。だからこそネットカフェでの展開というのは大切だと認識していますし、上手いことやっていけたらと思っていますね。
佐野: 各地域での公式大会実施については、本当に是非ともやりたいと思っていますが、現実的に開催にかかる努力と時間、距離の問題など様々な要因があります。オフライン大会はどうしても参加できる方が限定されてしまうのでいまは配信などを使って、リアルタイムで大会中継するなどで、会場から離れて参加できない方でも大会の臨場感を体験していただけるような施策も行っていきます。
佐野: そうですね。各地域でのネットカフェイベントから徐々に東京以外での公式大会実施を実現していけたらと思っています。
SF2 は World Cyber Games2012 の候補タイトルにも挙げられていますし、世界大会の予選のみならず定期的なオンラインやオフライン大会、ネットカフェイベントなどユーザーモチベーションと底上げのために努力します。
佐野: そうですね。韓国が一番進んでいまして、中国でも日本と同じくベータが展開されている状態です。WCG が実施されるころだとこの 3 国で正式サービス実施中ということになっているのではないでしょうか。去年はSF1が採用されていたので、今年はぜひWCGでSF1と2が採用されればと考えています。
佐野: 「LINE」は現在弊社の一押しサービスなので何らか出来ると面白いなとは思っています。「ヘッドショットスタンプ」は面白そうですね。「LINE」は無料通話も出来るので、今後発展して PC 版の「LINE」でゲームで使えるような仕組みになるかな?というようなことも考えますが、電話番号ベースでアカウントを作る必要があったりと、敷居が高い気もするのでどうなるかという感じですね。SF2 用に、なんらかの音声チャットサービスは提供できたらなと思っています。弊社の各サービスとの連携についても検討してみたいですね。
佐野: 意識していないということはさすがにないですが、プレイヤーさんの選択肢として、さらに SF2が増えるということは、嬉しいことなんじゃないかと思います。SF2ならではの運営で、プレイヤーの方々には末永く遊んでいただきたいですね。
SF1のようにサービスの年数が経っているタイトルは、現状、特定のチームが上位を独占するような状況になっていると思います。これはもちろん、そのようなチームが非常に努力して結果を出している事だと思うので、それ自体が問題だとか言っているわけではありません。
ただ、そのような状況の中で、トップチームに隠れてしまっているような状態のチームがあると思うんですよね。そのようなチームだったり、各オンライン FPS タイトルの上位チームなどが、今回の SF2 サービス開始の段階で同じスタートラインでプレイを始めたら、どこのチームが一番強くなるのだろうかということを考えたりします。そもそも、プレイしてもらえるのかもわからないのですが(笑)
佐野: 個人的には、SF2 を通じて、もっと FPS がより多くの人に認知されたり、悪いものではないということを広める事が出来たら良いと思っているんですよね。
個人的な話なのですが、うちの嫁さんの実家がお米屋さんでそちらにいっしょに住んでいるんですよね。商店街なので、近所のいろいろなお店の方々と飲んだりすることがあるのですが、テレビであるゲームの CM が流れて「こういう銃で人を撃つようなゲームは良くない!」みたいな話になったことがあるんですよ。「僕、同じようなゲームのプロデューサーやっているんだけどなあ…」と思いながら「そんなことは無くて、一生懸命プレイして大会に出ている人がいて、そこにはドラマがあったりして素晴らしい面もあるんですよ!」と力説したこともあります。
SF2 のシーンを盛り上げることで、大会で素晴らしいドラマが生まれたり、努力したプレイヤーが報われるよう評価されるような仕組みを作ったりして、結果的に FPS に対する偏見をなくしたり、シーンを拡大したりということに貢献したいと思っています。
佐野: どこまで話していいのかわからないんですが、まあとりあえず話してしまうんですけど(笑)。
ネットカフェキャラバンとして、7月くらいから全国のネットカフェを回って SF2 イベントを実施する予定です。
9 月の東京ゲームショウで、詳しくは言えないのですがどこかとコラボして何かやろうと計画しています。
また、8~9 月にオンライン予選、10 月にオフライン大会という企画も考えていますね。
これはスケジュール的にかなりタイトなんですが…準備とか大丈夫かな…。がんばります!
佐野: そうですね。やっぱり一番言いたいのは、とても面白いゲームだってことです。SF2 ってすごく飛び抜けた、特別なモードとかは無いんですが、画面は本当にリアルで、ゲームとしてはとっつきやすいです。FPSに必要な要素がまんべんなく入っています。
UI がわかりやすくて遊びやすい、グラフィックは良いけど重くない、カジュアルなのに競技性にも優れているとか、あげればきりがないんですが、いろいろな面で平均点が高くストレスが少ない作りになっていると思うんですよね。
本当に、FPS初心者から上級者まで楽しめる、触っていただければ今までのどのタイトルとも違う、ということがわかっていただけると思います。
佐野: あれは初心者や中級者などにとても良いと思いますね。でも、上級者はほとんど使わないで消してしまうかもしれないですね。韓国では「早くリスポーンしたい!」というプレイヤーさんが多くて、ゲーム開始時のオプションで切ってしまう人が多いんだそうです。
佐野: 武器の話で面白いと思うのがあります。
オープンベータでは、投げ方で軌道が代わるナイフの「Kukri」やジャンプショットしても照準がブレないショットガン「Benelli M4」などが登場します。他にも、マシンガンが入る予定で、マシンガンは壁抜きが出来るようになっています。
韓国の SF2 クラン戦では、マップにもよるんですがこのマシンガンを持ったプレイヤーが 1 人入ることがあるんですね。SF1 はアサルトとスナイパーが基本です。
SF1 はグレネードをたくさん投げることが出来るので、クリアリングはグレネードを利用して行なっていくのですが、SF2 ではマシンガンを持ったプレイヤーが壁を抜いてクリアリングを担当していくような使い方をする場合があります。
オープンベータからクラン戦のシステムも入るので、プレイヤーの方々が研究してどんな新しい戦術が出てくるのか楽しみですね。
佐野: こちらこそありがとうございます。
早くサービスを開始して、みなさんがクラン戦をしているようなところをみたいです!
毎日終電ですけど開発の人も協力的ですし、ゲームもすごく面白いと思います。
日本に受け入れられるように様々な調整をしています。いろいろ便利な機能も入りますのでぜひ遊んでほしいと思います。
遊びはもう終わりだ!
(SF2 のキャッチコピーをドヤ顔で)
ということで佐野さんありがとうございました。
写真を選んでいたらラーメン屋さん並の腕組み率で驚愕。
ラーメン屋の主人のように、提供する「スペシャルフォース2」に自信ありという感じでしょうか。
ちなみに、クローズドベータテストのデータやユーザーの声は以下から見ることができるようになっています。
オープンベータテストは 2012 年 6 月 7 日(木) 15 時から開始予定です。
いろんなろくろを回している……
運営さんがユーザーコミュニティ構築に積極的だと良い環境になるんだろうなぁ
ユーザーの意見を1つ1つ聞いてくれてるのが嬉しい
ちゃんと自分の言った要望とかを検討してくれてるのがわかる。