ゲーミングデバイスメーカーの『ZOWIE GEAR』が、元プロゲーマーの Abdisamad “SpawN” Mohamed 氏、 Emil “HeatoN” Christensen 氏と共に来日し、メディア向け座談会を8/31に実施しました。
『ZOWIE GEAR』が主催するメディア向け座談会は、『ZOWIE GEAR』の CEO である Vincent Tang 氏の希望により、プレゼンテーションではなく各メディアが『ZOWIE GEAR』に対し好きなように質問をしていくという形式で行なわれました。
『ZOWIE GEAR』側の参加者は以下の通りです。
Vincent Tang 氏 (ZOWIE GEAR, CEO) | Eric Su 氏 (ZOWIE GEAR, Product Manager) |
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Emil “HeatoN” Christensen 氏 | Abdisamad “SpawN” Mohamed 氏 |
HeatoN 氏、SpawN 氏はプロゲーマーとして約 10 年近く活動し幾度もの世界チャンピオンを達成した後に、『ZOWIE GEAR』 と共に最高の eスポーツ用ゲーミングデバイスを開発するために活動されています。
メディア側は有名な商業メディアさんに加えて Negitaku.org も参加させていただきました。
■ Vincent
今回は製品のプロモーションをしに来たのではなく、良いゲーミングギアとは何なのかという事や 『ZOWIE GEAR』 のコンセプトについてお話させていただきます。他社製品のレビューを書く際に、今回の話をロジック的な点で判断材料にしてほしいと思います。
本日、私はここでコミュニケーションや議論をする前に定義しておかなくてはならないことがあります。
「ZOWIE’s Gaming Gears are for Serious Gamers.」
『ZOWIE GEAR』 のゲーミングギアはカジュアルなゲーマーのためのものではなく、真剣なゲーマーのためのものです。私たちの製品全ては、真剣なゲーマーだけのために作っています。
例として、彼ら(SpawN、HeatoN)がどのようにしてゲーミングマウスを選んだか説明しましょう。SpawN、君がゲーミングマウスを選ぶ時に一番優先する事は?
■ SpawN
1 番目は持ちやすさや使いやすさなどが快適であること。2 番目はパフォーマンス、そして安定性です。
■ Vincent
これを多くのノンゲーマーがマウスを購入する時に優先する項目と比較してみましょう。
Gamers
Non-Gamers
ゲーマーとノンゲーマーではマウスを選ぶ際のコンセプトが全く違います。ゲーミングマウスを作る側は、この点(Gamers の 3 点)をわかっていないと製品を作ることは出来ないでしょう。ノンゲーマーが選んだマウスは、メーカーが売り上げのために作ったものです。
全ての会社にとって、より売り上げを得ることは大切です。多くの機能、ハイスペック、クールなデザインが詰め込まれたマウスが作りだす結果はなんでしょうか? それはセールスです。彼らのマウスは売り上げだけのために作られたものです。
『ZOWIE GEAR』も会社なので売り上げは重要です。しかし、本日みなさんに伝えたいことは、『ZOWIE GEAR』にとってゲーマーに良い製品を提供するという事は、売り上げを良くするよりもプライオリティが高いという事です。
では、これらを踏まえて 『ZOWIE GEAR』 もしくは HeatoN、SpawN にお気軽に質問していただけたらと思います。
■ SpawN
数々のトーナメントでタイトルを獲得し、プレーヤーとして出来ることは大体実現しました。次に自然なステップとしてゲーム関連の仕事に携わりたいと思いがあり、ゲーミングデバイスの開発をしたいと思いました。
これまでのキャリアから得たノウハウを生かして『ZOWIE GEAR』とデバイスを開発することにしました。私にとってゲームは人生そのものだと思います。
■ HeatoN
現役の時に自分が求めていたマウスやデバイスはあまりありませんでした。
引退してからは、ゲーマーのためにはこうしたらよいと思っていたものを具現化するために、Vincent さん達と究極のゲーミングデバイスを作るべく自然な流れとして『ZOWIE GEAR』に参加することになりました。
■ HeatoN
現役時代はずっと同じもの(IE3.0)を使っていたので違うというのは特に感じませんでした。IE3.0 は当時、9 割くらいのプロゲーマーが使っていたと思います。もしくは IO1.1 ですね。いろいろなマウスを試しましたが、結局 IE3.0 を使っていました。
■ SpawN
個人的には、たくさんのメーカーからマウスが出てきているのに結局 IE3.0 を使うという現状は悲しかったので、ZOWIE でマウスを開発するようになりました。
■ SpawN
はい。今回は私が新しいマウスを作っています。詳しいことはまだ言えないのですが、唯一言えるとすれば形が全く違うという点ですね。
■ HeatoN
ええ、すべて使っていますよ。
■ SpawN
製品に私たちの名前を付けるだけでなく、自分たちも普段から使う製品であるということが絶対条件です。
■ HeatoN
名前は言えませんが、世界で有名な Counter-Strike のプレーヤー達が『ZOWIE GEAR』の製品を使いたいと言っていました。しかし、彼らは他のデバイススポンサーがいるので実際には使えませんでしたが。
HLTV.org や Fragbite のフォーラムで ZOWIE EC シリーズと IE3.0 のどちらのマウスが良いかという議論があるのですが、EC シリーズの方が良いという意見をよく見かけます。それは先ほど Vincet さんが言ったとおり、ZOWIE のコンセプトが製品に反映されているからだと思います。
■ Vincent
ただ、フォーラムに書かれている良い意見と売り上げが連動するわけではないので、その点は難しいですね。
▼SpawN
■ SpawN
Sensitivity はその時の感覚で結構良く変えてしまいますね。
▼HeatoN
■ Vincent
その主張について反対はしないですし、それはそれで一理ある主張なのだと思います。
『ZOWIE GEAR』 のマウスはソフトウェアを必要とせずノンドライバで動作するようになっています。マウスはソフトウェアではないので多くの機能を詰め込みたくありません。正直なところ、マウスに数千 dpi もの解像度が必要だとは思えません。
逆になぜ Windows の感度設定を変えてはいけないのでしょうか?
Windows のデフォルトである 6/11 が最高の設定であるという根拠はありますか?
SpawN や HeatoN はさきほどの設定を見ての通り、OS の感度を 3/11 に変更して使用していましたが幾度もチャンピオンとなり実績を残しています。
多くの CS プレーヤーは 500hz のポーリングレートを使っています。世界で TOP3 の mTw は 125hz が良いと言うことでその設定を使っています。それでも勝つチームは勝ちます。
いろいろな方法があると思いますが、それぞれ自分のスタイルに合わせて使っていけば良いと思います。
■ Vincent
スペックや数値は顧客を簡単に納得させる材料です。
それを全面に押し出してアピールするのは簡単な事です。
私たちはそのような展開をすることを好みません。
私たちはこのようなディスカッションを開いたり、コミュニティーと交流することでフィードバックを得て製品に反映させていきます。
後ほど EC シリーズがスペック以外の部分がどのように影響するよう作られているのかを詳しく説明していきたいと思います。
※質問の展開と時間の関係でこの話に戻ってきませんでした
■ HeatoN
マウスを作った時は、まずマウスを握っているところの写真を撮りました。
そしてその写真を元に型を取り形状を決めていきます。そして、次にホイールにとりかかりました。その後にリフトオフディスタンスの調整を行ないましたが、これは特に苦労しました。
センサーの選定においては、レーザーセンサーだと布製のマウスを使っている場合だと毛羽立ちに反応してしまいます。レーザーセンサーに埃などがつくと非常に不安定になるので、トッププレーヤーの中にはラウンド毎にフーフーと息を吹きかけてセンサー部分をキレイに保っている人もいました。ですので、EC シリーズでは安定性のためにオプティカルセンサーを選びました。
■ HeatoN
CS:GO でもテストをするつもりです。CS1.6 よりも CS:GO の方が良いサウンドエンジンを使っているでしょうから、CS1.6 で長い距離から足音をクリアに聞き取れ、敵がどこから撃ってくるのか、出てくるのかという方向がわかるようになっていれば問題ないと思っています。
■ Vincent
FPS のサウンドについては基本的にどれもそれほど変わらないので、CS1.6 ではちゃんと聞こえるようになっていれば、CS:GO で聞き取れないというようなことはないだろうということで心配はしていません。
■ Vincent
そんなこと言っていたの?(笑)
■ HeatoN
それは確かです(笑) 価格は当時で 500 ドルほどして高いですし、自分がベストと思えている HD650 を超えるものを作りたいという思いが開発のコンセプトに反映されていると思います。
■ HeatoN
ゲーミングマウスに LED を付ける理由はないですね。
無駄に PC 電力を使うだけですし。カジュアルゲーマーには必要なのかもしれませんがプロゲーマーや真剣にプレーするプレーヤーが使うゲームギアには必要ないと思います。
■ Vincent
LED を付けたことで勝てるようになりますか?
ゲームの成績に LED は直結しません。
じゃあ Yossy、LED を付ける理由を教えてください。
■ Yossy
うーん、Cool (格好良い)だからじゃないですかね。
■ Vincent
それは先ほどの話でいう「Looks」ですよね。
『ZOWIE GEAR』 のコンセプトとは違います。
※でも EC と Mico のホイールに LED ついてるよね!?
■ Vincent
中途半端に対応した製品は作りたくないので PS3 に対応するようなことは考えていません。動いたとしてもパフォーマンスが保証できないのでは意味がないですから。
■ Vincent
コンソールに最適化するためのノウハウがないので、今のところ予定はありません。PC の方で手一杯なので。コンソール、PC を問わずデバイスを作る事が出来るマスターではないのです。
■ Vincent
マウスパッドが大きすぎるという意見があるので、『P-TF Speed Version』をリリースします。これはオリジナルの『P-TF』(横 340mm ×縦 290mm)よりも少し小さいもの(横 315mm ×縦 245mm)になります。9 月中のリリースを予定しています。日本、韓国向けの製品ですね。
■ Vincent
Yossy、君が 2 年前にインタビューをしてくれた時に、HeatoN と SpawN を必ず日本に連れて行くよと約束しましたよね。今回、私はその約束を果たしたかったのです。
スウェーデン、アメリカ、台湾、中国には 『ZOWIE GEAR』 のコンセプトや製品の詳細について説明することが出来る専属スタッフがいます。それによってマーケットに対して働きかける事が出来ています。
しかし、日本にはマスタードシードという代理店はありますが、現地スタッフはいません。そこで、コンセプトや製品について直接説明したり、日本のマーケットがどういうものを要求しているのかを知るためにやって来ました。
先ほど、LED を付けないのかという質問をされましたが、それについてはドイツでも言われました。このように、各国の意見を聞くことは非常に重要なことなのです。
■ SpawN
そういうことはないですが、スポーツは好きでバスケットやサッカーをしています。
今年の夏にはハンバーガーを食べ過ぎて太ってしまいました(笑)。スウェーデンに戻ったらシェイプアップしたいですね。
■ HeatoN
現役の時は 1 日 15 時間プレーしていて、食事をしてプレーして睡眠してという生活をしていました。プレーの合間などにメンタルやフィジカルのリラックスのために筋力トレーニングなどのエクササイズをしていました。
■ SpawN
Counter-Strike 以外だと QUAKE4 をプレーしていましたよ。FPS 以外?
………………。時々、PlayStation3 で FIFA をやりますね。
■ HeatoN
『World of Warcraft』ですね。FPS ですが『Battle Field Bad Company2』が好きですね。
■ HeatoN
現在はゲーミングとは別の仕事をしています。ただ、週末に時間がある時は Counter-Strike1.6 を一緒にプレーしていますよ。現在は、ZOWIE Legendary Team のメンバーとなっていて、今後ショーマッチなどを行なっていく予定です(参考 : 『ZOWIE GEAR』が伝説の Counter-Strike チーム Ninjas in Pyjamas メンバーと契約)
ZOWIE Legendary Team
※ 3 人で集まってお互いに手を見せ合っていました
■ HeatoN
普通にプレーしている時には壊したことはないですね。
怒って壁に投げつけて壊したのは 10 ~ 15 個くらいありますね。
■ HeatoN
(笑) EC1 を使うと勝てるのでまだ壊した事はないですね。
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他にもいくつか質問があったのですが、通訳を挟んでいる関係でどうにも答えが正しく伝わってこなかったものがあるのでその点についてはカットしました。
HeatoN、SpawN の両氏にメディア側の参加者が Counter-Strike1.6 で挑戦するという企画が行なわれました。
1 試合目は、ゲームライターの佐藤カフジさん、BRZRK さんがタッグを組み、廃人軍団として挑戦。試合形式は aim_map での 2on2 で、20 ラウンド先取で勝利というルールです。
ウォームアップから圧倒的な aim で次々に倒されていく挑戦者側。その中で偶然なのか SpawN 氏にヘッドショットが決ったところ、SpawN 氏が「本気でやってもいい?」とガチプレー宣言。やはりプロゲーマーになるようなプレーヤーは圧倒的に負けず嫌いなようです。
試合が始まると HeatoN、SpawN の両者は、後ろ向きから始まるラウンドスタート時に一瞬で 180 度旋回してそのままの勢いでヘッドショットを繰り出してくるという理解不能な aiming を披露。
武器すら拾わせてもらえない廃人軍団側。佐藤カフジさんが「SpawN 死ね! SpawN 死ね!」という呪いの言葉と共に AK を撃ち、あとで言葉の意味を知った SpawN 氏が爆笑しているシーンが印象的でした。
各ラウンドは数秒で決着が付いてしまうので、あっという間に 20 ラウンドが終了。1 試合目は 20-0 という圧倒的スコアで元 SK Gaming チームチームが勝利となりました。
2 試合目は自分と 4Gamer の fumio さんが SpawN と HeatoN に挑戦。
現役を引退したプロゲーマーにも関わらず、aiming の精度が異常なほどに正確で驚かされました。
箱からちょっとでも体を出せばヘッドショットされてしまいますし、出れば死ぬのが確実なので箱から出られないでいると、正確な箱抜きスプレーで削られて何もできないまま倒されてしまいます。何をしてもやられる状況なので、思いきって前に出て勝負してみたところマグレもありつつ 3kill して 20-2 というスコアで終える事が出来ました。まあ、どちらにしても結果的には惨敗なのですが…。
日本のトッププレーヤーと HeatoN、SpawN が対戦したらどのくらいのスコアになったのでしょうか。次回は一般プレーヤーも参加出来るような形式でのイベントが開催されたらうれしいですね。そのためには、『ZOWIE GEAR』 の製品が売れたり、コミュニティ規模がさらに大きくなる必要があるかと思いますが。
HeatoN 氏や SpawN 氏が開発しているというデバイスがいつリリースされるのかという質問に、Vincent 氏は「わからないよ(笑)」と答えていました。両者が納得するクオリティに仕上がらないとリリース出来ないということでしょうか。
とりあえずは、9 月に P-TF Speed が出るとのことなので詳細情報を待ちましょう。
この日の写真は Negitaku.org の Facebook ページから見ることが出来ます。
LED突っ込んじゃだめ!wwwwwwwwwwwwww
HeatoN
普通にプレーしている時には壊したことはないですね。
怒って壁に投げつけて壊したのは 10 ~ 15 個くらいありますね。
ワロタw
安定のSpawNのドヤ顔
CS界のターミネーターやな
さすが伝説のCS1.6プレイヤー
投げても壊れないマウスだけじゃなくて机に叩きつけても壊れないキーボードも造らないとね!!
僕の手元にあるEC2は今日も元気にマウスホイールを光らせてます
HeatoNの怒って壊したマウスが
10~15個はくそわろたwww
ZOWIE Legendary Teamの試合
すごく楽しみです。
Spawnの顔芸に完全に喰われたHeatoN先生
なんか最後のSpawnの顔を凝視してたら不思議と笑いがこみ上げて来た
最初から最後までわろた
IME3.0だからこそ壊しても大丈夫だったのかもなww
値段の利点?(笑)
ところどころドヤってんなー
投げて壊したマウスが10〜15ってwww
「YOU、ZOWIE P-TF Speed 買っちゃいなよ」
新競技 マウス投げ
iine