国産のゲーミングマウスパッドを展開するゲーミングデバイスブランド『ARTISAN』の開発者にインタビューをさせていただきました。
インタビューでは、『ARTISAN』を展開する株式会社グロウアップジャパンの代表 小林 敏博 氏(ARTISANボス)、『ARTISAN』からスポンサードをうけ海外大会の出場や製品開発に協力しているプロゲーマー 田原 “uNleashed” 尚展 選手に、新製品や今後の展開についてのかなり濃い話をお聞きすることが出来ました。
お 2 人ともサービス精神が旺盛で、とてもじゃないけど掲載できないような話を多数していただいたのですが、さすがにまずいということで自主規制でカットしています。
それでもかなり興味深い内容になっていると思いますので以下からご覧ください。
ARTISAN ボス: 『ARTISAN』の読み方についてですが、『アルチザン』と言う人もいますが、我々は『アーチザン』としています。
我々は元々、輸入販売の仕事をしていまして、おそらく日本で一番早く海外製ゲーミングデバイスの取り扱いを開始しました。
その中の 1 つのエピソードとして、あるブランドのマウスパッドの取引でお金を払ったのに全然製品が届かないということがありました。
なんだかんだと理由を付けて、随分長いこと製品を送ってこない。
ようやく届いて、そんなに時間がかかるほどすごいものなのかと思って、スタッフが広げているところに行って触ってみたわけです。
すると、実際はそんなにたいした物ではなかった。
そんなに製品を手に入れるのに苦労するならば自分たちで作った方が早いし、より良いものを作ることが出来るだろうと。
そういう経緯で、純国産のゲーミングマウスパッドを開発することになりました。
uNleashed: ARTISAN は、ナンバーワンのデバイスブランドを目指したり業界を牛耳ったりというようなことを狙っているわけではないのです。シェアとしては 1% とかそんなものでも構わない。僕らが作っているマウスパッドというものは、他には絶対にないものなので、今ない製品や明らかにおかしいであろう部分を製品を作ることによって埋めていって他社もやらざるを得ない状況を目指しています。すると、ユーザーさんにとってより良いものが出てくるようになりますし、業界内では良い競争ができるようになっていくと思います。
ARTISAN ボス: 我々がやるのであれば、結局は性能で勝負しないと。競技で勝つために使うものですから。
勝つことに貢献するものでないと存在する意味が無くて、これを使ったら勝てなくなったではお話にならないわけで。突き詰めていくと我々は、性能がより良い製品を作っていくしかないということです。公式ブログに製品開発のポリシーについて掲載していますので、こちらを読んでいただくと良いでしょう。
ARTISAN ボス: かなり少ない体制ですよ。基本的には私が製品の設計・仕様決定、製品管理や業者との交渉など全般を担当しています。
田原(uNleashed)さんは製品開発に意見をもらったりプロモーションとして大会に出てもらったり、センサーのテストをしてもらっています。
もう 1 人、瀬尾(Hellsing)君がマウスとマウスパッドの相性テストを全て担当しています。
uNleashed: まずは、製品を触ったときのリアクションが違いました。「holyshit!」「amazing!」とか叫びながらマウスを動かしていましたから。
製品に対する要望というのが根本的に違っています。
例えば、アメリカではマウスで言えば「基本的には軽ければ軽いほど良いマウス」という考え方がスタンダードに定着していて、とにかく「軽さ = マウスのよさ」と言っても過言ではないほどに重要視されています。
最近リリースされて話題になっているゲーミングマウスは、重量が軽いのが特徴の 1 つだったりするのですが、これはこのあたりを意識しての展開でしょうね。
マウスパッドにしてみても、割と止まりはどうでもよくて、「滑れば滑るほどよい」と認識される傾向があります。
ですから、QuakeCon に出展したブースでは、『Kai.g3 飛燕』よりも滑るガラス系パッドの 『Kai.g2 G』が圧倒的に注目を集めていました。これはまだ正規版ではなかったので、非売品ですよ、ということを言っていたのですが、どうしても売って欲しいと交渉してくるゲーマーが少なくなかったですね。
ARTISAN ボス: 個人的には、「マウスは軽ければ軽いほど良い」という認識は 95% くらい賛成できますね。
重ければ重いほど慣性の法則でマウスを止めるのにエネルギーが必要になってくるわけじゃないですか。軽ければそれが少ないわけですから、止めやすいわけですよね。
どう考えても重たいものを使うというのは負担が大きいわけです。
軽いほど良いとは思いますけど、剛性だけはちゃんと確保して欲しいですね。
剛性がないと、挙動に乱れが発生してしまいます。
車であればカーブを曲がる度にキシキシいいますし、挙動も乱れるわけです。
やはり、剛性というのは最低限確保されている必要がありますね。
uNleashed: 剛性ということで言うと、このマウスですけども、ここに力を入れるとベコベコになりますからね。これは恐らくマーケティング的な理由で軽さを重視したことも原因になっているのではないかと思いますが。
Yossy: 個人的には、このあたりの製品を開発しているプロから見た他社製品の評価に関する話というのは非常に興味深いですね。恐らく絶対に載せられないと思うのでカットになると思いますが。
uNleashed: 実際の所、海外のプロゲーマーに話を聞いてみると、彼らはそれほどデバイスに対するこだわりというのはないんですよ。プロになるくらいのプレーヤーは、順応能力が高いのでどんなものでも使いこなせるんです。僕自身もそうで、どんなデバイスでも気にせず使っていたのですが、ARTISAN の開発に協力するようになって、色々と考えを改める部分が出て来ましたね。
ARTISAN ボス: 違いというのは、実際必ずあるんですよ。僕自身はゲームをしませんけども、岡目八目といって、やらないからこそわかることというのがあるんですね。
個人的には、デバイスの微妙な差を感じ取れるようにならないとダメだと思うんですね。
アマチュアとプロの差はその当たりにあると思っています。
野球選手で言えば、バットの重さをグラム単位で変えるわけです。季節毎に気温や湿度に合わせてバットの重さを変えるわけですね。
このあたりは、アマチュアでは違いが全くわからない。
でも、その違いを感じて結果に反映させるほどの技術を持っているのがプロというわけです。
現在の海外製の布系ゲーミングマウスパッドというのは、技術的な面から見るとここ数年何も変わっていないんです。
ですから、そのような違いにみんなが気づいてくれるように僕はなってほしい。
そうしないと、ARTISAN の評価というのはなかなか上がらないんです。
そういうことに気づいてくれる人が増えないと、ARTISAN っていいよね、ということに気づいてもらえないんです。
デバイスの違いをより認識しながら使っていただけると、それぞれの製品の良し悪しというものがよくわかってくるはずだと思いますよ。
uNleashed: 競技的な話をすると勝てないような相手と対戦した時に、この一発が当たっていたらという場面はかなり多いんですよ。Quake Live で言えば、その 1 シーンの結果が分かれ目となって、その後のフラグ数が変わってくるんです。そこでそういう一瞬をデバイスが左右してくれるとアドバンテージが生まれて勝利につながったりするわけです。
ARTISAN ボス: そうですね、その辺に違いを見せてくれる製品というものを作りたいと思っているわけです。そういうところを目指さないとダメだと思って開発しているんですね。
uNleashed: コンペティティブにプレーしている人は、自分に合うものを探していろいろ試したがりますね。それは非常に正しい事だと思います。また、これは自分に合いそうだと思ったら、フォームや配置などをそれに合わせるというアプローチも重要ですね。
どちらがいい、悪いということを言うつもりはないですけれども、現在の配置やフォームで新しいデバイスを使って命中率が上がるかどうか、というのをちょっと使っただけで判断してこれはダメだというような評価を下しているという方が多い気がします。
確かにデバイスをリプレースしていきなり効果を発揮するのがベストで、今後リリースする Kai.g3 疾風なんかはそういう部類に入るマウスパッドだと思うんですけど、基本は慣れるまで使い込んでみないと製品の本当の良さはわからないので、思いっきり使い込んでみるという価値はあると思うんですよ。
ARTISAN ボス: ゴルフで言えば、プロの使うクラブはシャフトが固いんですけども、アマチュアが使うと絶対に高く上がらないんですよ。でも、プロはそのシャフトを使いこなさないと勝てないんです。
ですから、道具を使いこなす技術というものを持たないとプロには近づけないんです。つまり、道具を使いこなすために自分を変えていかなくてはならない。そうしていくことで自分の技術が向上していくと、今度は道具の能力が物足りなくなってくるんですね。
すると、ここはこうして欲しいというようなフィードバックが開発側に上がってくる。開発側はそれを反映したものを作り上げる。その相乗効果で製品や競技のレベルが上がっていくわけです。
eスポーツとしてコンペティティブにやっているものなわけですから同じなわけで、道具が進歩したのだからスタイルをそれに合わせていくということも必要なわけです。
ARTISAN ボス: 全てがプラスチック樹脂で作られているマウスパッドという意味ですよね?
それは、ARTISAN ではやりません。
ゲーミングマウスパッドというのは表面と中間層が非常に大切です。
固いマウスパッドが必要であれば、固い中間層に滑る表面を貼ればいいというのが我々の考え方です。ですから、全てが樹脂というものを作る必要はないという判断です。
uNleashed: 全てをプラスチックの板にしてしまうと、中間に弾力性を持たせることが出来なくなってしまうため、確実に操作性が落ちてしまいます。中間に弾力があるとないとでは、びっくりするほど違いが出るんですよ。
ARTISAN ボス: これは試作品ですが、プラスチックパッドのような固さを持つ布パッドになります。非常に固い中間層に滑る布を貼り合わせたものです。
Yossy: 本当ですね。確かにプラスチックのような固さと滑りです。
ARTISAN ボス: これであれば、プラスチックのように滑り、固さもある上に中間層の弾力を使って止めやすいパッドになります。ですから、オール樹脂製のパッドはやらないということです。
uNleashed: あとは、プラスチックの方が布よりも圧倒的に滑るという意見もあるのですが、表面加工次第でプラスチックより滑る布パッドというのは作ることが出来るんですよ。
ARTISAN ボス: ですから、ARTISAN が作るとしたら完全樹脂ではないけど、このようなみなさんが望まれている要素を満たした固い中間層と滑る表面を持った布パッドということになりますね。
もし ARTISAN が布とは違う素材でやるとしたら、金属ですね。
Yossy: 金属ですか。オール金属のマウスパッドというのは、すでにいくつか他社から出ていますね。
ARTISAN ボス: これも、オール金属ではなく、例えばステンレスだったら 0.05 ミリくらいのものを使います。
かなりの薄さですが、金属なので充分すぎる剛性があります。
それをこういった中間層にラミネートしてやると、金属なのに弾力性があるパッドになり、確実に止めやすいものとなります。
でも、やるかといったらやらないと思います。
これを作って売るとしたら、1枚 2 万円くらいになりますから。
だけど、5 年くらいは使えますよ。
uNleashed: 海外メーカーの人も、金属は試したんだけど価格がね、と言っていましたね。
ARTISAN ボス: これをお客さんが 5 年使えて 2 万円だから年間 4,000 円か、と思って買ってくれたらいいですよ。でも、そうはならないじゃないですか。本当に良いものは作れるんですけど、ビジネスとし成立しないからやらないということですね。
ARTISAN ボス: ソールは作りますよ。ただ、いまは Kai.g3 シリーズの開発を行っているので、こちらの各製品の量産体制が整って一段落してからですね。来年の前半くらいを目標という感じでしょうか。でも、ソールは絶対に作りますから待っていてください。
uNleashed: ARTISAN の製品は、ソールと一体になって始めて完成になりますから。
今出ているソールって、どれもほとんど同じ形でテフロン製のものばかりです。
設計思想としては、滑らないものを滑らせるというもの。
でも、ARTISAN が今後リリースを予定しているガラス素材パッドなどは、一定の人をのぞいてコントロールできないほど滑るものになる予定なんですよ。
だから、逆に滑らないソールというものがあっても良いと思いますし、形状についてもフラットではなくエンボスがあるようなものや、尖っているようなものとか。「止めやすいソール」というものも開発が可能なんで、そういうところまで出来れば良いかなと思っています。
ARTISAN ボス: 日本国内でやっている限りは、絶対に作れるんです。でも、結局時間の問題なんですよ。時間さえかければ必ず作れるんで、気長に期待しながら待っていただきたいですね。
ARTISAN ボス: 1 ~ 2 回やりとりがあって、あちらの主張は「動くはずだ」というものだったんですよ。
でも試してみると動かない。その後に Razer DeathAdder の新しいファームウェアが出て認識されるようになったのかな。
でも、KAI.g2 U についての回答は一切無かったですね。
我々はマウスメーカーではないので、センサーがどのような仕様でサーフェースをパターン認識して解析して、こういうデータを落とし込んでいるというようなガイドラインをもらえないかと思ったんですよ。
マウスパッドを作る時はそのガイドラインに合わせてテクスチャを設計すればいいじゃないですか。
私はマウスパッドメーカーとマウスメーカーは協力し合うべきだと思っています。
ですが、いまは商品的にマウスが上という位置づけなんですよ。
このマウスで読み取れないマウスパッドサーフェースは悪いという状態です。
そうであれば、マウスを作る側がガイドラインを示して欲しいわけです。
uNleashed: 現状はセンサーについてドキュメントも何もない状態ですからね。新しいサーフェースを作ったら、全てトラッキングテストをしてリバースエンジニアリング的にそのマウスに合うサーフェースかどうか確かめなくてはならない。しかも、ダメだった場合になぜなのかというヒントがないので改善にものすごい手間がかかるのです。
ARTISAN ボス: マウスがパッドで動かないという場合に、必ずしもマウスパッドが悪いというわけではない。先の例のように、マウスのセンサーやドライバが原因ということもあるわけです。確かに、マウスパッドが悪いという場合ももちろんありますよ。
個人的には、マウスパッドが必ずしも全てのセンサーで動かなくてもいいと思っています。
このマウスパッドは Razer DeathAdder で動く、このマウスパッドは Razer DeathAdder で動かない。でも、Razer DeathAdder で動かないこのマウスバッドはダメという評価にはならない。Razer DeathAdder では動かないかもしれないけど、他のマウスでは絶大なパフォーマンスを発揮するということもあるわけですから。
もちろん、幅広くトラッキングできるに超したことはないですけどね。
uNleashed: 初代の ARTISAN がトラッキングで怒られた理由というのは、トラッキングに対する認識が甘いまま発売してしまったためで、当然ユーザーとしては確実にトラッキングするだろうと思って買ったのに動かないので不満につながるという結果になってしまいました。
ARTISAN Kai.g2 シリーズにしても、とにかく滑って止まる、表面をいかに均一に作るかというというところに科学して開発をしていた。トラッキングについてはやはり甘くなってしまっていました。
ARTISAN ボス: 私からしたら、マウスはそのくらいのものトラッキングすると思っていたわけです。このくらいのもの、トラッキングして当たり前だろうという。
uNleashed: 人間の目で見えるくらいのパターンですしね。
ARTISAN ボス: でもまあ、そのあたりは結局、私が甘かったということなのですが。例えば、この 『Kai.g2 U』は、マウスとの相性問題が発生していますが、問題の出ないセンサー&センシティビティーの方にとっては、操作感覚が素晴らしいサーフェスなんですよ。そういうことをわかって使ってくださっている方もいて、それは非常にうれしいですね。
uNleashed: ほぼ無いようですね。というのも、どの会社も同じ系統の布地を使っていて、表面の加工しか違いがないからです。
おそらくは同じ工場で作られているのではないかと思うのですが、拡大して比較してみると表面パターンが完全に同じだったり、ものによっては OEM 品じゃないかと思うほど完全に一緒ということもあります。
どの布パッドも使っている同じパターンだから、基本的にトラッキングの不具合が起きないということです。
グロウアップジャパンは輸入品を取り扱う会社ですから、取り扱いの提案としてゲーミングマウスパッドが送られてくることがあるのですが、以前売り込みのあった新興ブランドのマウスパッドなんかは、もう完全に某社の製品と同じなんですよ。
サーフェースのデザインを拡大して比較しても一緒。発泡体も同じで違いのがあるのはパッケージだけという。そのブランドが面白いのは、当社のパッケージはすごいということがひたすら説明されているんですよ。光っているとか豪華に見えるからお店で目立つぞ、とか。いや、パッドのすごさを説明してくださいよ、と(笑)。確かにパッケージは海外製にしては凝っていましたけどね。
ARTISAN ボス: まあ、こういうことを言っていると怒られたりするんですけれども、各社さんが一生懸命よい製品を作って利益を出そうとしているのは間違いないんですね。
ですから、個人的には、製品に対する批判・中傷・評価というものをもう少しキレイに区分けしてもらえら思うんですよね。
我々も批判されることは構わないのですが、実際はただの中傷だったりとか。
それだと、進歩がないんですよね。
そこはそうだったんだ、というようなフィードバックがもらえたら製品をよりよくしていけますので。
ARTISAN ボス: トラッキングのテストは瀬尾君が主に担当しています。
テストタイトルは Counter-Strike1.6 と Counter-Strike:Source ですね。
これをプレーしてプレーヤーからみて問題がないかというのをテストします。
uNleashed: 基本的には人力でテストをしています。機械を使ってテストをするのもやろうとは思っていますが、基本的には必要ないと判断しています。
というのも、僕が動かすマウスの速度というのは、アジアで一番だと思っていて、他社のトラッキングテストで問題ないと言われているものでも飛ばせるくらい速くマウスを動かせるんですよ。
ですから、僕が飛ばせないものに仕上がっていれば問題ないだろうと。
テスト時は、一方方向に速く動かす、切り返しの動きをする、極限まで遅く動かすというようなことをやっています。
意外ですが、遅く動かすということで問題が出る場合もあるんですよ。
縦、横、斜めに動かしてテストをして、あとは軌跡をみて飛んでいないかを見て、また、極端なネガティブアクセルが出ていないかを確認したらテストタイトルでプレーをしてもらう。また、僕が Quake Live や Team Fortress 2 などでプレーしてみて試したりもしています。
あとは、4 人のテスターさんに、それぞれ Counter Strike Source、 Warsow、AVA、Quake Live、などで試してもらっていますので、そこからも報告が上がってきます。
ARTISAN ボス: 基本的には、普段のプレーで問題が無ければ良いのです。
限界値まで試しても、結局それは通常時には起こりえないものなので。
そこで良い、悪いを言ってもしょうがないんですね。
もちろん性能的な余裕、マージンは必要になりますが、カローラを 300 キロで走らせて問題が起きるか、ということをやっても意味はないのではないかと思います。
実際にゲームで使ってテストするのが一番良いんじゃないでしょうかね。
4 人のテスターさんの存在は非常に助かっていて、問題があっても 4 人いれば誰かが気づいてくれます。
uNleashed: テスターさんについては、プレータイトル、スタイル、センシティビティなどが異なる方を意図的に選ばせてもらっています。
ですから、変更を加えると「これは良い」と絶賛される場合もありますし、人によっては「前の方が良かった」ということがあったりして、なかなか面白いですよ。
ARTISAN ボス: テスターさんにはそれぞれの感想を書いていただいていまして、今後も全製品についての感想をこちらが内容に手を加えることなく公式サイトに掲載していきます。
uNleashed: 今後はテスターの数を増やしていく予定です。今はトッププレーヤーの方にお願いしているのですが、今後は中級プレーヤーだったり、PC ゲームを始めたばかりの人にも参加してもらってフィードバックをいただけたらと思っています。
トッププレーヤーについては、先ほどもお話しましたように適応能力が高く慣れる速度が速すぎてしまったりするので、デバイス変化に影響されやすい初~中級の方のテストも重要になってくると思います。
ARTISAN ボス: うーん、ユニフォーム、売れるんですかね?
要望はいくつかいただいているのでとりあえずやってみようかと思っています。
S・M・L でとりあえず 10 枚ほど作って、売れなかったら懸賞品にでもしましょう。uNleashed モデルで作ることにします。コメントなどでご意見いただけたら参考にします。
uNleashed: ステッカーはどういうものでしょう?
Yossy: ARTISAN のロゴ部分だけというシンプルなものです。正方形のと横長のと。PC ケースやラップトップに貼りたいです。
uNleashed: なるほど。僕も昔 CRT に貼ってましたね。学生はアクリルケースみたいなのに貼ったりしてる人がいますし、PC ケースにも確かに貼りそうですね。
ARTISAN ボス: じゃあ作りましょう。これも作ります。
uNleashed: 『DreamHack Winter 2010』を検討しているんですが、まだ確定はしていません。
一応、ARTISAN のプロモーションとセットでということで考えているので、今回の QuakeCon2010 のようにブースを出展してということになると、時期的に準備などいろいろ問題があるんですよ。
ちょうどその頃は、Kai.g3 疾風等の開発や量産の調整などをしているであろう時期なので、なかなか難しいかもしれないですね。
ARTISAN ボス: 申し訳ないですけれどもこれは限定 1,000 枚生産で終了とさせていただきます。
これはもう、正直 1,000 枚作ったら二度と作りたくないくらい大変なパッドです。
おもしろいものですけど、製造も大変ですし、完全に赤字です。
でも、発表して期待されている方がいらっしゃるので、1,000 枚は作ります。
公式サイトで発表しますのでお待ちください。
uNleashed: Kai.g2 G はプラスチックの板にミクロなガラスビーズでコーティングしたものです。
今後リリースを予定している Kai.g3 紫電・改もガラス系で、こちらは表面をコーティングしたものになります。
ARTISAN ボス: すでに量産の発注を完了済みです。あとはラインが空き次第加工に入りますので、今月中には間違いなく発売できると思いますよ。
QuakeCon モデルを先行発売しましたが、さらに改良を加えています。
飛燕の布は、アムンゼン織りのものを使っているのですがこの処理が変更になっています。
uNleashed: アムンゼン織りをわかりやすくいうと、風呂敷ですね。みんな、知らないで触ると「どこかで触った感触ですね」と言うんですけど、「風呂敷です」と答えると「ああ!」という反応をするんですよ。
ARTISAN ボス: アムンゼン織りは、ちょっとパターンを変えてあげるといろいろなものが作れるんですよ。
だから、織物とか編み物は面白くて、同じものは 2 つとしてない。全部何かが違う。
ですので、ロットによってはバラつきが出ることもありますね。
織物も編み物も、布というのは出来上がってすぐに使えないんです。
機械の油がついていたり、真っ直ぐになっていなかったりするので、形状・形態を安定させなくてはならないんです。
ヒートセットというのですが、熱いスチームを通して汚れを落として真っ直ぐにして、形態を安定させるんです。
その行程によっても、元々が同じでも違うものが出来上がってきてしまいます。
ですから、品質管理をしっかりしているところにお願いしないと毎回違うものが出来上がってくるということになりますね。
日本ですらこれですから、海外で生産した場合は同じものが出てくるという保証が全く無い。むしろ、危険です。
そもそも、原価で言うと国産と海外産では 10 倍近くの違いがあるので、品質に差があるのは当然なのですが。
uNleashed: 海外のゲーミングマウスパッドを作っているデバイスメーカーに聞いても、「consistency」と英語で言うんですけども、「一貫して同じものを作り出すというのは難しい」と意見が共通しています。
「正直なところ、同じ製品でも比べてみると個体差が出て別物になってしまう」という事も言っています。
ARTISAN ボス: これは、本当に難しいんですよ。 マウスパッドの難しいところは、各層の貼り合わせですが、これが環境によって全く変わってきます。
例えば、夏と冬では全く違います。液晶パネルのように、完全に環境をコントロールしているようなところがあれば良いですが、マウスパッドのラミネート加工でそんなことを出来るところはありません。
接着剤で言えば、夏は暑いから柔らかく、冬は寒いので固くなります。
結果としてフィーリングが変わる可能性があるんです。
Yossy: なるほど。そこまで違うものだとは知りませんでした。ユーザー視点からすると、同じ製品なのだからまた同じものだろうと先入観無く思ってしまっていますね。
uNleashed: このアムンゼン織りのマウスパッドというのは、気づいている人もいるかもしれませんが、実は某社からも出ています。
アムンゼン織りの生地は中間層との貼り合わせが非常に難しいんですよ。
同じことをやろうと思っているからわかるんですけど、そのメーカーさんは剥がれるのを防止するための苦肉の策としてステッチ加工しているんですね。ほつれの防止という意味合いもあると思いますが。
ARTISAN ボス: 海外メーカーと日本メーカーは解決のアプローチが違いますね。海外は、とりあえずこれで解決できたから良いだろう、という考え方なのですが、日本の職人はそれをスマートで美しくなんとかしようと思うのです。それで余計な課題を抱え込んでしまったりするのですが…。
uNleashed: リサーチのためにいろいろなパッドを購入して研究していますが、ある 1 社はすごく評価できる仕事をしています。でも正直なところ、他は結構疑問に思う点が多かったりします。
uNleashed: 各社のマウスパッドを持っている方は、並べてルーペでサーフェースを見てもらえたらわかると思いますが、どれも表面のパターンがそっくりです。
さらには、接着剤を使っていなかったり、剥がしてみたら簡単にベリベリと分離できたり、防滑層にしても中間ゴムにエンボス加工をしてあるだけだったり、原価で言ったら○×△□円レベルのものを数千円で売っているわけなんです。
さらには、サーフェースが均一ではなく波打っていたりすることもあります。
ARTISAN ボス: 僕個人としては、あのうねりというのは許せないですね。表面が均一でなく波打っている製品が平然と売られているんです。
あの状態で製品を使うと、マウスがこう、でこぼこにあわせて動いてしまって正確なエイミングができないのです。
生産の過程でマウスパッドの表面がこう、窪んでしまったりするわけですね。
そういうことが生産の過程で起こるのはしょうがないのでわかります。でも、それをそのまま売るなよと。
ARTISAN だったらボツにするようなものが平然と売られているわけです。
uNleashed: パンの発酵と同じようなもので、中間層の発泡体を作るのは非常に難しいんですよ。
これを海外で低コスト生産すると、気泡の大きさが全く均一でない物になりがちです。
これによってマウスを動かした場所によって感度が違うということが起こります。
ガラスパッドでいえば、ビーズの大きさをごくわずかに変えただけで人間はそれを感じ取ることができるんですよ。ですから、本当はそういったパッドを使っている方は実際に体が違いを感じているはずなんです。
ですが、均一なマウスパッドというものが比較対象としてないので気づかれていないだけなんですね。ですから、ARTISAN の均一なパッドを使っていただけだら、違いを実感してもらえると思いますよ。
ARTISAN ボス: そうなんですよ、僕は本当に一回使っていただきたいですよ。
一週間使っただけでこう横に動かしただけで違和感なく動いているのがわかってもらえると思います。
言葉でうまいこと表現するのが難しいんですけれども、こう、マウスにボコボコとした余計な動きが無く、水平方向に均一に動いてくれるんです。
マウスの動きがシビアに影響してくるゲームで使っていただけたら確実に違いがわかると思います。
これらを実感してもらうには、1 週間ほどじっくりつかっていただきたいですね。
とりあえず、うちのショウルームに来ていただいたら、朝から晩まで試していただいて構わないですよ。
マウスはほぼ全部ありますし、もちろん持ち込みしていただいても構いません。
Yossy: ショウルームの利用についての告知はサイトでされていましたっけ?
ARTISAN ボス: あとでサイトに大きく表示するようにしましょう(詳細)。いつ来ていただいてもかまいません。以前も結構来ていただいたんですよ。「このマウスでは絶対に動かないですよ」と説明しているのに試していただいて、実際に動かないのに、「うーん、でもこれください」といって買っていかれた方もいたり。実際に使っていただければ良さがわかると思います。
uNleashed:きっと、そのマウスでは動かないけど、マウスパッドの滑り具合については評価していただけたんでしょうね(笑)
uNleashed: マウスパッドに向かって「いや~、いい!」ってあんなに言っている人初めて見ましたよ。変態ですよね。
ARTISAN ボス: いやいや、疾風の話は…。これから飛燕が出るわけですから…。
とりあえずご説明すると、疾風はジャカード織で作られた布を使用したパッドになります。
タペストリーとか絨毯とかに使われているものですね。
1 ドット毎に糸を変えて布を作ることが出来るのでいろいろな調整が可能になります。
uNleashed: よく特殊なデザインパッドが出ていますけど、あれは通常版と感覚が異なりますし、長期間使用すると、最悪剥がれてくるものもあります。
このジャカード織であれば、1 ドット毎に違う糸を使うことが出来るので、完全に均一な表面を持つデザインパッドを作ることが可能です。ただし、高くなると思いますけどね。
ARTISAN ボス: それは 8 万円くらいで作れるよ。1 枚の原価でね。
Yossy: 8 万円…。そのジャカード織で作るとどういうメリットがあるんでしょうか。
ARTISAN ボス: ジャカード織だと、自分たちが望むものを作りやすいというのが最大のメリットです。少量生産も可能なのですが、1 つ欠点があって、生産にものすごく時間がかかるんです。その分生地が高くなってしまうんですね。
ですから、疾風については飛燕よりは販売価格が高くなると思いますよ。
ですが、疾風は ARTISAN のフラグシップモデルとなるものですから、良いと思っていますけどね。
実際、これはかなり期待してもらって良いものですよ。
ただ、時間もお金もかかるので、「飛燕じゃなくて疾風を待とう」というのは止めてください(笑)。
ロードマップ的には、飛燕→疾風→紫電・改という順でリリースしていきます。
どれも良いですから、是非全部買って自分に合うものを探してください。お願いします。
ARTISAN ボス: Twitter でもオリジナルロゴ入りパッドキャンペーン等など企画をやっているので、@ARTISANjp と @GameFreakJp のフォローをお願いします。
間もなく 新 ARTISAN のお披露目となる Kai.g3 シリーズ第 1弾の飛燕、どうぞ宜しくお願い致します。
いかがだったでしょうか。
このインタビューを通じて、ARTISAN の製品に対するこだわりや思いが伝わってくれると良いのですが。
Kai.g3 シリーズはかなり良い製品ばかりです。リリースされたらショウルームに足を運ぶなどして試してみてください。
ボス、uNleashed さんありがとうございました。
ボスかっこいい!
ARTISANのパッド使ったことも触ったこともないんだけど、
なんだか使ってみたくなってきたなぁ・・・ 買おうかなあ
松崎さんの服!
素晴らしいこだわりですね、ARTISANのマウスパッドを買ってみたくなりました
ADの大会さえなければyossyさんに会えたのに・・・
またお忍びで遊びに来てくださいな :D
自社のマウスパッドに凄い自身を持ってるようなので興味が沸いてきました。
kaig2 Gが限定生産という事はもし消耗しても換えが無いという事になるんでしょうか?
それとも新しいガラス系の紫電改と言うのがGを継承したパッドなんでしょうか?
去年くらいにPCゲーム始めてから他社のパッド二枚ほど買ったけど結局机でやってるというオチなんですが
いいパッド欲しいって思ってるのでARTISANにはすっごく期待してます!
関西の店頭で一回だけちょっと触ったことあるけどすっごい良かった記憶があります
あのクオリティでデカイサイズのんでたら欲しいなあ・・・
>alphaheavenさん
関西ならDosparaさんだっけな?
日本橋のsofmapがあるブロックの角にあるパソコンショップ。
あそこの2階かどこかで置いてましたよ。
サイズはLで45cmx30cmだったかな。
ちなみに7,8月に行った時はKai.g2置いてました。
後土日にいけばデバイスに詳しいアルバイトの方がおるそうです。
欲しくなってきた
>ARTISAN ボス: じゃあ作りましょう。これも作ります。
身軽すぎでしょ・・・
ARTISANのボスが何者か言われなかったらちょっとアブナイ系のボスに見える
http://usersside.client.jp/kobayashi.htm
興味深い内容が多いですねー
一番気になるのはプラパッドっぽい試作品ですね
いつお目にかかれるのだろう
面白かったです!
ソール楽しみ
ボスは職人やで!
人のもみじさん
俺もARTISANのパッドにすれば
1on1で勝てるかな笑
ほしくなってきた、パッドもTシャツも